組織における称賛と賞賛とは|称賛・賞賛文化で効果的な組織改善

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組織における称賛と賞賛とは|称賛・賞賛文化で効果的な組織改善

1. 称賛と賞賛の違いとは

「賞賛」と「称賛」の主な違いは、

金銭的な報酬か、精神的な報酬か」

という点です。 

具体的には、「賞賛」は金品や褒美を与えることを含む、物質的な讃美を表現します。一方、「称賛」は言葉でほめることを指し、精神的な讃美を意味します。 

 

称賛の意味、称賛と賞賛との違いとは

「称賛」は、

他人の行動や業績を口頭または文面上で認めたり、褒めたりすること

を指します。 

つまり、言葉で相手を讃える行為です。「賞賛」のような金銭的な報酬は含まず、精神的な評価を表現するために使われます。 

 

例えば、同僚がプロジェクトで優れた成果を上げた際に、「君の貢献は本当にすばらしい」と称賛することが挙げられます。 

ここで、上司が何かしらの具体的な報酬や評価を添えると「称賛」ではなく、「賞賛」になります。 

 

賞賛の意味、賞賛と称賛との違いとは

「賞賛」は、何らかの物質的な報酬や評価を意味します。 

つまり、

金銭や贈り物、賞品などを提供することで相手をたたえること

です。

通常は「賞賛」のみが単体で行われるのではなく、上記で説明した「称賛」に加えて行われることが多いでしょう。 

 

例えば、ある社員が新しいアイデアを出して会社のプロジェクトを成功させた場合、社員の上司が「君の発想は素晴らしい。君のおかげで期待以上の成果が出たよ。」というのは、言葉で褒める称賛です。 

しかし、「君のアイデアは素晴らしい成果を生んだ。その貢献により、ボーナスを付与しよう」と上司が当該社員にボーナスを与える行為は、物質的な報酬を加えた賞賛です。 

 

賞賛と称賛に関連した言葉として、レコグニションやリワードがあります。

レコグニションについても詳しく知りたい方はぜひこちらの記事もご覧ください。

レコグニションとは何?その概要をわかりやすく解説し導入方法も紹介します!

2. 組織における称賛の効果について

言葉で褒める「称賛」は、物質的・金銭的な報酬である「賞賛」と比べれば大きな効果がないのではないか、と考える方もいるかもしれません。 

本章では、つい私たちが軽視しがちな「称賛」が組織に与える効果について解説していきます。

 

モチベーションの向上

組織のマネジメントにおいて、称賛することはメンバーの自己効力感や仕事へのやりがいを向上することができます。 

自己効力感とは、自分が目標を達成できる可能性や、成功する能力を持っていると認知していることで、自己効力感が高まると、自分自身に対する信頼が高まり、やる気やパフォーマンスが向上することが知られています。 

称賛によって自分自身が成功したという実感を得ることができるため、自己効力感が向上し、モチベーションの向上につながります。 

 

例えば、

あるメンバーが発案したアイデアが採用されたことをリーダーや他のメンバーから称賛されると、そのメンバーは自分自身に対する自信(自己効力感)を高めることができ、同時に、他のメンバーとも協力して仕事を進める意欲が高まると考えられます。

 

チーム全体のパフォーマンス向上

称賛は、メンバーのパフォーマンスを向上させることができます。称賛を受けたメンバーが、自分の成果を維持・向上させるために、さらに努力を重ねることが期待されます。

加えて、自分以外のメンバーが高いパフォーマンスを発揮した場合、それを目の当たりにすることで自己啓発の機会になることもあります。

このように、各メンバーが自己啓発を図ることで組織全体のパフォーマンス向上につながります。 

 

組織文化の形成

称賛は、組織文化を形成する上で重要な役割を果たします。組織内で積極的に称賛を行うことで、メンバーが共感し、ポジティブな気持ちが広がります。

称賛が行われる文化が組織文化として定着することで、メンバーは自分たちが働く組織に誇りを持ち、組織全体での成果に貢献するための意欲が高まります。

誇りを持って働く人の画像

例えば、

ある会社で優れた成績を収めた社員に対して、上司が公的に称賛をすることで、その社員が組織全体で評価されることになります。

その結果、他の社員たちも同じような成績を収めることを目指し、高いモチベーションで仕事に取り組むようになることがあります。

 

チームワークの促進

称賛は、チームワークを促進することができます。一人だけが称賛された場合でも、その成果がチーム全体のものであることを強調することで、チーム全体がより一体となり、協力しやすくなります。

 

例えば、

一人のメンバーが良いアイデアを出した場合に、他のメンバーから称賛を受けることで、そのメンバーの自信が高まります。

その結果、次のアイデアに繋がったり、他のメンバーとのコミュニケーションもスムーズになり、良いアイデアを出し合ったりすることができます。

 

また、称賛はメンバー同士の信頼関係を構築するのにも役立ちます。

例えば、

プロジェクトが順調に進められている際に、リーダーがチームメンバーに対して「このプロジェクトが遅れなく進行できているのはあなたたちのおかげです。本当にありがとう。」と言った場合、

チームメンバーはリーダーが自分たちの努力を評価していることを感じ、リーダーに対する信頼と尊敬が高まります。

 

イノベーションの促進

称賛はメンバーのアイデアや意見を積極的に取り入れ、イノベーションを促進することができます。

イノベーションには、新しいアイデアを出し、それを実現するためのリスクを取る必要があります。しかし、失敗する可能性があることから、心理的安全性の低い組織のメンバーたちはリスクを取ることに躊躇する傾向があります。 

協力関係の図

称賛は、メンバーたちにリスクを取る勇気を与え、新しいアイデアを試すことを促すことができます。

 

3. 称賛、賞賛の重要性

組織、特に社員において「賞賛」は大きな価値を持っています。特に「称賛」と違い、物質的な報酬と結びつけることで、目標達成への意欲が高まり、活気が溢れますこれによって、目標達成に向けた生産性向上が期待できるでしょう。 

一方で、「賞賛」は物理的な報酬が伴うため、どんな状況でも簡単に実行できるわけではありません。また、「賞賛」を得たメンバーはチームのための行動よりも個人の成果を追求する行動が多くなる傾向があります。 

そこで、本章は主に「称賛」の重要性について解説していきます。 

 

ではなぜチームや組織において称賛が必要なのでしょうか。 

それは、時代の流れが予測不可能な時代において、称賛を意識しないと組織のチームワークを高めることが難しいためです。

称賛を取り入れるのが難しい理由は以下の3つがあります。 

 

他人に関心を持ちにくい働き方

組織が大きくなったり、リモートワークだったり、分業が進みそれぞれの業務のフローが明確だったりすると、自分が担当している業務のみを遂行すればよいという考え方に陥り、称賛の前提である他人への関心が持ちにくい場合があります。

 

多忙で余裕のないチーム

また、称賛を行うことが困難な組織やチームもあります。 

例えば、繁忙期やプロジェクトの締め切りが迫っている場合、メンバーは時間的・精神的・肉体的余裕がないために称賛をすることができない場合があります。 

この場合、称賛を含む十分なコミュニケーションが不足すると、各メンバーが他責思考になる傾向にあり、チームワークが低下する恐れがあります。

 

トップダウンのチーム文化

また、トップダウンの文化である場合、上司が部下に対して称賛をすることがなく、チーム全体での賞賛の文化が形成されづらい場合があります。 

さらに、組織やチームの風土がネガティブである場合、称賛よりも批判や責任転嫁が優先されることがあり、称賛の文化を育むことが困難となる場合があります。

 

 

トップダウン以外の文化としてティール組織やホラクラシー型組織が存在します。

どちらもフラットな組織を作成する上で導入する企業が多々あります。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

4. 称賛を行う場面

成果に対する称賛

メンバーが目標を達成したり、優れた業績を挙げたりした場合には、それに対して直接的な称賛をすることが大切です。 

成果に対する称賛のポイントは、

その成果がどのようにチームや組織の目標達成に貢献したか、そしてその成果によって誰がどのように利益を得たかにフォーカスすることです。

 

一方で、気を付けるべき点は、

成果が得られなかった場合でも、その努力や取り組みを称え、次に向けてのモチベーションを維持することです。

その場合、次の項で紹介する努力に対する称賛を意識してみましょう。  

 

努力に対する称賛

成果が出せなかった場合でも、メンバーが努力していることに対して称賛をすることが大切です。

努力に対する称賛のポイントは、

その努力がどのように目的に向かっていたか、どのようなチャレンジを乗り越えたか、そしてその努力がどのような結果をもたらしたかにフォーカスすることです。

 

気を付けるべき点は、

努力だけでは成果が得られなかった場合でも、その努力を称え、改善点を共有して次に向けての成長を促すことです。

 

行動に対する称賛

メンバーが業務上の問題を解決したり、新たなアイデアを出したりした場合には、その行動に対して称賛をすることが大切です。

行動に対する称賛のポイントは、

その行動がどのようにその人やチーム、組織の文化や価値観に沿っていたか、またその行動がどのように他の人に影響を与えたかにフォーカスすることです。

 

気を付けるべき点は、

行動がうまくいかなかった場合でも、その行動を行った意図を理解し、ポジティブな側面にフォーカスして評価することです。

 

5. 称賛の具体的な方法

まず、本章では称賛の種類について解説し、その後、称賛の具体的な方法について解説していきます。 

 

称賛の種類

称賛には、チーム内には称賛する人、される人別に3種類の称賛があります。  

上司から部下への称賛

上司から部下への定期的なフィードバックや評価による称賛。上司からの称賛は、部下の自信を高めたり、モチベーションを向上させたりする効果があります。  

また、部下の仕事に対する意欲や生産性を向上させ、組織の成果につながることが期待できます。  

  

同僚から同僚への称賛

仕事の協力や支援に対する称賛。同僚からの称賛は、仕事のパフォーマンスに対する自己評価を高めたり、チームワークを向上させたりする効果があります。  

  フィードバックしている写真

同僚からの称賛は、より近しい関係にあるため、部下からの称賛よりも、より具体的で深い影響を与えることが期待できます。  

  

部下から上司への称賛

部下から上司への称賛は、上司の行動やリーダーシップスタイルについて、感謝の気持ちや尊敬の念を表明することです。  

例えば、上司が公平かつ適切な指導を行った場合や、困難な状況に陥った際に上司がサポートしてくれた場合に、部下から感謝の意を表すことができます。  

また、上司自身も、部下からの称賛を受けることで、自身の指導やマネジメントの方法を改善するきっかけになることがあります。  

 

賞賛の方法

具体的な賞賛の方法には、次のようなものがあります。 

直接的なフィードバックを行う 

マネージャーがメンバーに直接的なフィードバックを行い、成果や行動に対する称賛の言葉を伝えることができます。  

適切なフィードバックについて詳しく知りたい方はぜひこちらの記事もご覧ください。

 

第三者からフィードバックをもらう・行う

第三者からのフィードバックをもらうことで得られる効果の一つには、ウィンザー効果があります。  

ウィンザー効果とは、自分自身や自分に近しい人からもらったフィードバックよりも、第三者からのフィードバックの方が自分にとって価値があると感じる傾向のことを指します。  

  

例えば、あるチームメンバーが自分のプレゼンテーションについて第三者からフィードバックをもらった場合、そのフィードバックはより客観的なものとなり、自分自身や自分に近しい人からもらったフィードバックよりも価値が高いと感じることがあります。  

このような効果があるため、第三者からのフィードバックをもらうことで、より客観的な視点や新たな気づきを得ることができ、自己啓発やパフォーマンス向上につながることがあります。  

 

公開で表彰する

公開の場で表彰式を行い、メンバーたちの成果や行動を表彰することができます。  

年に一回、または半年に一回など定期的にメンバーに対する称賛を公にすることにより、そのメンバーが自己評価を高め、自信を持つことができます。また、他のメンバーにも称賛の文化が広がり、良い競争心を促し、業績向上につながることが期待できます。  

 

社内報や社内SNSで取り上げる

社内報や社内SNSなどの媒体を活用して、メンバーたちの成果や行動を取り上げ、称賛の言葉を伝えることができます。  

さらに、社内報や社内SNSを通じて、メンバーがお互いに知り合う機会が増え、コミュニケーションが活発化することもあります。これにより、メンバー同士の信頼関係が構築され、チームワークの向上につながることが期待できます。 

 

6. 賞賛の具体的な方法

賞賛は主に上司から部下、会社から社員へ実施されることが多くあります。ここでは、賞賛の5つの具体的な方法について解説します。 

 

ボーナスや報奨金の授与

一番イメージしやすい賞賛の例として、優秀な成果を収めた従業員に対して与えられるボーナスや報奨金が挙げられるでしょう。 

従業員個人に対する報酬だけでなく、月間の売上目標を超えた営業チームにボーナスを支給することで、チームの成果を賞賛しモチベーションを高めることができます。 

 

昇進や昇給の機会提供

素晴らしい仕事を果たした従業員に対して、昇進や昇給の機会を与えることも賞賛の方法です。例えば、プロジェクトのリーダーシップを成功裏に果たした社員に昇進の機会を与え、その努力を評価します。 

 

特別な賞品や贈り物のプレゼント

成果を上げたチームや個人に、賞品や贈り物をプレゼントすることは、カジュアルな場面における賞賛としても効果的です。たとえば、プロジェクトの達成に貢献したチームに、食事券や優待チケットを提供することで、リーダーはチームメンバーとの心理的な距離を縮めることができます。 

 

公的な表彰や評価の提供

企業内外の評価や表彰を商品やトロフィーを付与することで、成果を称える方法もあります。業界内アワードや公的なランキングでの名前を挙げるだけでなく、表彰状やトロフィーを付与することで、従業員の優秀な仕事を評価できます。 

 

特別なセミナーや研修の提供

成果を挙げた従業員に対して、スキルアップの機会を提供することも賞賛の方法です。有料のセミナーや外部の研修への参加権を無償で与えることで、成長への支援を行いつつ、その成果を認めます。 

これらの方法は、従業員のモチベーションやエンゲージメントを向上させ、成果を賞賛すると同時に、長期的に組織の成功に貢献することができる手段でもあります。 

 

7. まとめ

最後に本記事の内容を以下にまとめました。 

  • 「賞賛」の意味:金品や褒美を与えることを含む、物質的な讃美。 
  • 「称賛」の意味:言葉でほめることを指し、精神的な讃美。 

 

称賛を行う場面には、以下の3つがあり、場面ごとにうまく使い分けることが大切です。 

  • 成果に対する称賛:成果がどのようにチームの目標に影響したかにフォーカスする 
  • 行動に対する称賛:努力を称え、改善点を共有して次に向けての成長を促すこと 
  • 努力に対する称賛:行動がどのようにチームや他人に影響を与えたかにフォーカスする 

 

「称賛」の具体的な方法の例として、直接的なフィードバック、公開表彰などが挙げられます。 

「賞賛」の具体的な方法の例としては、ボーナスや報奨金の授与昇進や昇給の機会提供があります。 

 

組織文化を改善するために、称賛や賞賛は非常に重要な役割を果たしています。 

称賛・賞賛ともに、適切なタイミングで、具体的な内容を伝え、個人的な関心を示すことが重要です。 

従業員のモチベーションや生産性を向上させ、組織として成長するためにも、効果的な称賛・賞賛を意識して行ってみましょう。 

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