皆さんは無意識に偏見(アンコンシャスバイアス)を持っていませんか?
アンコンシャスバイスに気付けなければ、間違った判断や思い込みにつながり、職場の判断や人との関係性に大きな失敗を生むでしょう。
そこで、当記事ではアンコンシャスバイアスのチェックリストをご用意しました。 このアンコンシャスバイアスのチェックリストを活用して、自身がどのようなアンコンシャスバイアス持っているのかチェックしてみてください。
またアンコンシャスバイアスの種類や具体例等も説明しているので合わせてご一読ください。
1. アンコンシャスバイアスチェック
アンコンシャスバイアスをチェックしてみよう
早速以下のチェックリストを参考に、まずは自分がどれくらいアンコンシャスバイアスがあるのかチェックしてみましょう。
どうでしたか?
皆さんはいくつあてはまっていたでしょうか。
是非ドキッとした項目について今後意識するためにも、2章以降でアンコンシャスバイアスについての理解を深めていきましょう。
アンコンシャスバイアスとは
アンコンシャスバイアスは、直訳すると
「無意識の偏見」または「暗黙の偏見」
と呼ぶことができます。
つまり、アンコンシャスバイアスとは、意識して論理的に考えた時の判断ではなく、人々の脳が無意識下として素早く自動的に評価した際の「思い込み」「決めつけ」ともとれる判断や考えのことを指します。
それは、本人の経歴や個人的な経験、社会的なステレオタイプ、文化的な背景の影響を受けています。
性別や民族性など目に見える多様性の特徴だけでなく、身長や体重、名前など、さまざまなものがアンコンシャスバイアスの引き金になることがあります。
2. アンコンシャスバイアスの種類と具体例
無意識のバイアスの例として、以下のようなものがあります。
親和性バイアス
親和性バイアスとは、類似性バイアスとも呼ばれ、人々が同じような興味、経験、背景を持つ人とつながろうとする傾向を指します。
これは、私たちが自身と共通点を持つ人々との関係を好むという心理的な傾向です。
具体例1
ある採用担当者が自分と同じ大学の出身者である候補者に対して親和性バイアスが働く可能性があります。
採用担当者は、自分と同じ大学出身者との共通点を感じ、その候補者に好意的な印象を持つかもしれません。
しかし、この候補者が他のバックグラウンドを持つ候補者よりも優れたスキルや経験を持っているかどうかを見極め、採用の可否を検討することが大切です。
確証バイアス
確証バイアスは、ある状況や人物について、客観的なメリットではなく、個人の願望、信念、偏見に基づいて結論を導こうとする傾向を指します。
採用活動において、確証バイアスはよく見られます。
履歴書を見る段階で、候補者の名前、出身地、出身校などの重要でない属性に基づいて、採用担当者が最初の印象や意見を形成することがあります。
この意見は面接のプロセスにも影響し、結果的に候補者の最初の印象を確認するために質問を誘導することになります。
具体例1
採用担当者が特定の出身校の学生に対して好意的な印象を持っている場合、その学校の出身者に対して有利な評価をする傾向があるかもしれません。
この場合、候補者の実際の能力や適性よりも、学校名に基づいて結論を導いてしまう可能性があります。
帰属バイアス
帰属バイアスとは、ある人の行動を、状況的な要因ではなく、その人の性格に言及して説明しようとする傾向のことです。
つまり、その人の性格的特徴の重みを過大評価し、個々の状況の影響を過小評価してしまうということです。
具体例1
候補者が面接に遅刻した場合、採用担当者がその候補者のタイムマネジメント能力がないために仕事に向かないと決めつけるのは適切ではありません。
もしかしたら候補者は面接に来る途中で事故に遭遇したかもしれませんし、候補者が住んでいる家が面接の当日の朝に火事で焼失したかもしれません。
遅刻の理由を根拠なく推測する代わりに、遅刻の理由を尋ねることが重要です。
同調バイアス
同調バイアスは、自分の信念や個性に関係なく、周囲の人と同じように行動しようとする傾向を指し、同調圧力とも呼ばれます。
具体例1
グループのメンバーが同じような意見を持ち、それに同調しようとする傾向があります。
ある会議で他のメンバーが特定の提案に賛成していると、他のメンバーも本心に関わらずその特定の提案に同じように賛成する傾向があります。
具体例2
人々はある流行やトレンドが社会で広まっていると、人々はその流行に従って同じような行動を取ろうとします。
例えば、周囲にコーヒーを飲む習慣がある人が多い場合、本人は特にコーヒーが好きでいなくても「飲んでみようかな」と思う傾向にあります。
ハロー効果
ハロー効果は、他人の印象的な部分を知ると、その人を高く評価する傾向がある現象です。以下に具体例を挙げながら説明します。
具体例1
ある候補者が評価の高い大学を卒業していることを知った場合、その候補者に対して肯定的な印象を持ち、優秀な能力や知識を持っていると仮定することがあります。
しかし、ハロー効果によって、大学名だけで候補者を判断することは避けるべきです。
具体例2
例えば、有名企業での勤務経験 候補者が有名な企業で働いた経験を持っている場合、その候補者に対してポジティブなイメージを持ち、高い能力や専門知識を期待することがあります。
しかし、ハロー効果によって、企業の名前だけで候補者を判断することは危険です。
個々の成果や貢献を見極める必要があります。
ホーン効果
ホーン効果は、他人について不快なことや否定的なことを知った後、その人を否定的に見る傾向のことです。
具体例1
採用候補者が以前に自分が嫌いな会社や競合他社で働いていたと知った場合、その情報によって候補者全体に対する否定的な印象が生まれることがあります。
ホーン効果を鑑みて、その経歴だけで候補者を不適格と判断してしまうことは避けるべきです。
コントラスト効果
コントラスト効果は、自分が接触した2つ以上のものを比較することで、一方の性能を他方に対して誇張してしまう傾向のことです。
具体例1
チーム内の従業員を評価する際に、同じチーム内の他の従業員と比較することでコントラスト効果が現れることがあります。
一人の従業員が他のメンバーよりも目立った成果を上げた場合、他のメンバーのパフォーマンスが相対的に劣って見え、公平な評価が行われない可能性があります。
コントラスト効果を避けるためには、審査と面接のプロセスを構造化し、メンバーを直接比較(相対評価)するのではなく、個別に評価(絶対評価)することが重要です。
ジェンダーバイアス
ジェンダーバイアスは、ある性別を他の性別よりも好む傾向のことです。
具体例1
職場でのジェンダーバイアスの一例は、男性が女性よりも昇進やリーダーシップの機会をより多く得ることです。
男性が同じポジションで同じ業績を上げている場合でも、女性よりも優先される傾向があることがあります。
具体例2
リーダーシップのポジションは男性向けと見なされ、女性はソフトスキルを必要とするポジションに留まる傾向があるというステレオタイプが存在します。
このように、男女でそれぞれの典型的なイメージを当てはめて業務の役割分担を決めてしまわないように気を付けましょう。
エイジズム
職場におけるエイジズムは、年齢に基づいて他者に対して否定的な感情を抱く傾向のことです。
具体例1
年配の労働者は技術に疎い、柔軟性がない、パフォーマンスが低下するといった先入観が存在し、それに基づいた評価や扱いが行われることがあります。
具体例2
また、エイジズムの影響で、年配の従業員はトレーニングやキャリア成長の機会が制限される場合があります。
新しいスキルや知識の習得の機会が若い世代に集中し、年齢が進むにつれて学ぶ機会が減少する傾向があり、これが評価に影響するという悪循環が発生します。
ネームバイアス
ネームバイアスとは、ある種の名前(米国では一般的にアングロサクソン系の名前)を持つ人を判断し、好む傾向があることです。
これは、採用プロセスにおける無意識の偏見の最も広範な例の1つであり、数字がそれを証明しています。
ある研究によると、白人の名前の方が黒人の名前よりも面接に呼ばれる数が圧倒的に多いそうです。
また、別の研究では、アジア系の名字は、イギリス系の名字に比べて、書類審査を通過し面接に呼ばれる確率が28%低いことが分かっています。
具体例1
採用担当者が履歴書を見ている際に、氏名から外国籍らしき名前だと感じた場合、その名前を持つ候補者に対して「日本人と比べて、日本語能力が不足しているのではないか」などといった先入観を持つことがあります。
アンカリングバイアス
意思決定や判断において、最初に提示された情報(アンカー)に過度に依存する傾向のことです。
人々はアンカーとなる情報を基準とし、その周囲での変動や修正を行う傾向があります。
このバイアスは、合理的な判断からの逸脱や誤った評価を引き起こす可能性があります。アンカリングバイアスは、交渉、価格設定、意思決定などのさまざまな状況で影響を及ぼすことがあります。
具体例1
ある会社が商品の価格設定を検討しているとします。
最初に提示された価格が比較的低かった場合、それがアンカーポイントとなり、他の価格を比較する際に低い価格を期待してしまうことがあります。
その結果、実際には適正価格よりも高い価格で商品を販売する可能性があります。
非言語バイアス
非言語バイアスは、コミュニケーションにおける非言語的な要素が意思決定や評価に影響を与える傾向を指します。
表情や身振り、声のトーン、姿勢などの非言語的なサインを受け取り、それに基づいて他人を評価したり、意思決定を行ったりします。
非言語バイアスは、直感的な判断や偏見の形成に影響を与える可能性があります。
具体例1
会話中、候補者が目を合わせることが難しい場合、それを自信の欠如や不誠実さと解釈することがあります。
しかし、目を合わせる能力は文化や個人の背景によって異なる場合があります。
そのため、目を合わせることだけで候補者の信頼性や能力を判断するのは適切ではありません。
また、面接中の候補者の表情やジェスチャーも影響を与える要素です。
具体例2
笑顔が少ない場合や緊張によるジェスチャーが見られる場合、採用担当者はそれを候補者の不適格や興味がない仕草だと解釈するかもしれません。
しかし、人々は表情やジェスチャーには個人差があり、それがそのまま能力や意欲を反映するわけではありません。
権威バイアス
権威バイアスは、権威がある人物や専門家の意見や判断を過度に信頼し、それに従って行動する傾向を指します。
大げさに言うと、たとえ権威がある人の意見が実際には根拠に乏しいとしても、また自分の意見や大多数の意見が異なるとしても、権威がある人物の意見が「もっともらしい」と感じてしまうことを意味します。
権威バイアスは、権威的な地位や知識に基づく影響力が、個人の判断や意思決定に大きな影響を与えることがあります。
具体例1
ある会議で、メンバーが考えを述べるよりも、同じ意見でもリーダーが自身の考えを述べた場合のほうが、他のメンバーがそれぞれ異なる意見を持ちながらも、上司の意見に同調することが多くなります。
上司の意見がより重要視され、他の意見が抑制される権威バイアスが働いた結果だと言えます。
自信過剰バイアス
自信過剰バイアスは、個人が自身の能力や知識を過大評価し、自信を持ち過ぎる傾向を指します。
つまり、自分の意見や判断が正しいと確信し、他の人の意見や情報を過小評価することが特徴です。
人は無意識に自身に対して肯定的な評価を持ちたいという心理的なニーズがあるためです。
また、人は他の情報や意見を十分に考慮せず、自身の経験や情報に基づいて自己中心的な視点で判断してしまうことがあるために自信過剰バイアスを引き起こしてしまいます。
具体例1
あるプロジェクトのリーダーが自身のアイデアだけを追求した結果、プロジェクトは他の視点や知見を取り入れる機会を逃し、最適な解決策を見つけることができない事態が発生します。
自身のスキルや経験に対して根拠なく過剰な自信を持ち、彼は他のメンバーの意見や提案をあまり重視せずにプロジェクトを進めると、上記のような事態が発生する恐れがあります。
3. アンコンシャスバイアスに気を付けるべき理由
アンコンシャスバイアスによって、組織内の不平等や不公正な状況が生じ、個人のモチベーションやエンゲージメントが低下し、チームのパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。
また、近年は様々な雇用形態や経歴、性別、年齢、国籍の方々が同じ職場で働くことがよくあります。
アンコンシャスバイアスに気づかないことは、多様性と包括性の促進の壁となってしまいます。
意識的に自分のバイアスについて注意していないと、自分でも気づかないうちに異なるバックグラウンドや経験を持つ人々の声や貢献が無視してしまったり、軽視したりする可能性があります。
これによって、組織全体の心理的安全性が低下することで最悪の場合、生産性が低下する恐れがあります。
多様性についてや、組織内の多様性を活かす方法について興味がある方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
さらに、アンコンシャスバイアスに気づかないことは、リーダーとしての信頼性と影響力にも影響を及ぼします。
メンバー達は、偏見を持つリーダーに対して信頼を失い、協力やフォローアップを躊躇する可能性があります。
これによって、チームの結束力や信頼関係が崩れ、意思決定プロセスやコミュニケーションに支障をきたすことがあります。
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4. まとめ
いかがでしたか。
最後に、本記事の内容を以下にまとめました。
アンコンシャスバイアスとは、
人々の脳が無意識下として素早く自動的に評価した際の「思い込み」「決めつけ」ともとれる判断や考えのこと
を指します。
また、無意識なもののため定期的に自分のアンコンシャスバイアスに気づけるようにチェックすることが大事です。
アンコンシャスバイアスには、以下のものがあります。
- 親和性バイアス
- 確証バイアス
- 帰属バイアス
- 同調バイアス
- ハロー効果
- ホーン効果
- コントラスト効果
- ジェンダーバイアス
- ネームバイアス
- アンカリングバイアス
- 非言語バイアス
- 権威バイアス
- 自信過信バイアス
ぜひ自分も知らないうちに偏った思考をしているかもしれないと内省する習慣をつけることで、是非チーム内の多様性を活かすチーム作りに活かしてみてください。