マネジメントするにあたり人を深く理解することは、重要なポイントの一つです。
人を深く理解するためにはどのような行動をとっているかをよく観察する必要があります。
今回は、行動分析学の概要からビジネスにおける活用例について解説していきます。
1.行動分析学とは
行動分析学とは、
「人間を含めた動物全般を対象として、行動の原理が実際にどう働くかを研究する学問」
であり、バラス・スキナー博士が創始した学問です。
端的にいうと、行動の理由を解明する心理学に分類される学問です。
人が行動を起こす原因を人格や性格のせいにせず、
人や組織の行動を科学的に変えることができる
という考え方です。
行動してもらうためには心理的安全性を高める必要があります。
心理的安全性についての記事はこちらに掲載しておりますのでご一読ください。
2.組織づくりへの活かし方
組織づくりに活かすためには、
ABC分析、好子(こうし)と嫌子(けんし)の
作用を考える必要があります。
*好子:行動の頻度を増やしたり強くする
*嫌子:行動の頻度を減らしたり弱くする
2-1.ABC分析
ABC分析とは 、その行動がどのような状況で起こるのか、
起きた結果どのようなことになるのかを分析する手法です。
【方法】
①直したい行動や癖について
「先行条件」、「行動」、「結果」に
分ける。
②その行動が起きる理由を好子、嫌子の
点から考える。
③その好子、嫌子を増やしたり減らしたりすることで行動を直せるよう考える。
具体的な例を挙げてみましょう。
リーダーがメンバーに対して課題に感じる事がある「言われたことしかやらない」を例に考えてみます。
A.(先行条件)資料制作の際
会議に用いるための資料作りをリーダーから命じられました。
B.(行動)言われたこと以上のことを補足してみる
その会議の資料を作っていく中で付随しておいたほうが良い情報をメンバーが見つけ、資料に組み込みました。
C.(結果)感謝も労いの言葉もない
資料に目を通してくれましたが、補足部分のところに何の反応も示さず、労いの言葉も感謝もなかったため言われたこと以上のことはしなくなりました。
理由:メンバーが自主的に行った行動に対して何らかのかたちでの感謝や労いの言葉をかけなかったために嫌子が出現し、今後は言われたことしかやらなくなります。
結果の部分で感謝や労いの言葉をかけると、逆に好子が出現するため今後も言われたこと以上のことをする可能性が高まります。
人に対する「どうしてこんなことしているんだろう?」という疑問も
ABC分析を使うことですんなりと理解できるかもしれません。
2-2.好子と嫌子
好子と嫌子のそれぞれが出現するとき、消失するときによって行動のパターンは変化します。
それぞれのビジネス場面における例を四つ紹介します。
ケース1)態度・マナーが悪い
好子が現れる例
メンバーにアドバイスをせず笑顔で話を聞きます。話を聞いてくれたと認識してもらうことで、
好子が出現し、次も相談しやすくなります。
また、そうすることで心理的安全性が高まり関係値も構築され態度が改められます 。
嫌子が現れる例
リーダーが途中で話を遮ると、嫌子が出現し、
メンバーは一層信頼が欠け、態度にも現れてしまいます。また、部下の態度が悪いことに対して、自身には非がないと感情的に叱るとより悪くなります。
こうなるとさらに関係値が悪くなり、最終的には修復不可となるでしょう。
ケース2)自発的に周りに協力する
好子が現れる例
自発的に周りのメンバーを協力したことが
リーダーから評価され、感謝されることにより、好子が出現し、以前よりも自発的に協力します。
嫌子が現れる例
自発的にまわりのメンバーを協力したことに対して
評価されず、感謝の言葉ももらえず、さも当たり前のようになってしまうと嫌子が出現し、自発的に協力しなくなります。
ケース3)報告・連絡・相談
好子が現れる例
仕事で大きなミスをしてしまったメンバーがすぐに報告に来てくれました。
報告してくれたことに感謝し、一緒に対処しようとすると好子が出現し、次も迅速に報告してくれます。
嫌子が現れる例
仕事で大きなミスをしてしまったメンバーがすぐに報告してくれました。
報告してくれたことよりも先に叱ってしまうと、嫌子が出現し次の失敗の時に報告が遅れたり、報告してくれなくなったりします。
ケース4)会議で積極的に意見が出る
好子が現れる例
メンバーが意見を述べ、リーダーであるあなたがその意見に賛同や興味を示し、
議論が盛り上がるとメンバーには好子が出現し、やる気やモチベーションが上がり、
その後も積極的に意見を述べます。
嫌子が現れる例
メンバーが意見を述べ、リーダーであるあなたがその意見に賛同せず、
議論が途絶えるとメンバーには嫌子が出現し、やる気やモチベーションが下がり、
その後は意見を述べなくなります。
好子・嫌子は良い悪いではなく
適切に与えれば、行動を起こさせること、やめさせることが可能になります。
また軌道修正したい時に上手く使い分けることで、マネジメントにも活かすことが可能になります。
3.まとめ
この記事では行動分析学の概要からビジネスにおける例について解説してきました。
組織づくりに行動分析学を用いることで以下のようなメリットが二つあります。
ABC分析は、行動の原因を解明することで問題点を抽出することができること
好子、嫌子の作用がメンバーの行動を変化させるための適切なアプローチができること
これらのメリットからわかるように行動分析学を組織づくりに活かすことで、
リーダーはメンバーの行動をより観察することで、このメンバーは「こういう性格だからな」といったレッテル貼りをせず適切なマネジメントが行えるようになります。
また観察を続けることにより、強みをさらに伸ばすことや、新しい強みなどを発見することもできるため
今よりもメンバーを活かすことができ、さらなるチームの飛躍につながります。
ぜひ行動分析学を活かしたマネジメントを実施してみてください。
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