「仕事をラクに。オモシロく。」をビジョンに掲げ、[Google Workspace]や[salesforce]といったサービスと連携する業務サービスであるrakumoシリーズを提供しているrakumo株式会社。
取締役CTOである石田和也様にお話をお聞きしました。
石田和也| rakumo株式会社 取締役CTO 兼 プロダクト部長
大学卒業後、独立系SIerで多種のWebサービス・システム開発に従事した後、2010 年に株式会社日本技芸(現rakumo株式会社)に入社。
rakumoのサービス立ち上げ初期からエンジニアとして開発に携わる。2013 年より同社プロダクト部長としてプロダクトデザイン・開発・運用を指揮。
2022 年に取締役CTOに就任。
メンバーが輝ける環境づくり
--初めてリーダーを任された時の成功や苦労した経験、そこから学んだことについてお聞かせください。
メンバーのスキルを活かした業務分担がメンバーの活躍につながるということを学びました。リーダーを任された当初は自分が頑張るということが第一にあり、足りない部分をメンバーに補ってもらうような働き方をしていました。
しかし、プロジェクトを進めていくうちに自分でできることには限界があることを認識し、チームの限界を作らないようにメンバーを頼り、メンバーが輝ける環境を作ることが大切であると気が付きました。
チーム内でやりたいこと、やらなければならないことを、誰に何を任せたらその人が1番成果を出せるのかというところを考えることが大切だと思います。
このようなことは、自分がメンバーとより近い距離でメンバーを管理するというのが前提にあります。そのため、段々チームが大きくなる中で自分が管理できる範囲に限界が出てきたときには、ミドルリーダーを置いて任せていました。
そのような場合には、ミドルリーダーとのコミュニケーションを密に取ることで、各メンバーのスキルを活かした業務分担を実現できるようにしていました。
ビジョンを見据えたメンバーのキャリア設定
--会社のビジョンとメンバーのキャリアアップを実現させるために心がけていることはありますか。
メンバーのキャリアやスキルを会社の方向性と結びつけて仕事を任せることを心がけています。仕事を進める上で何を任せるのかという選定が重要です。
メンバー本人が興味・関心を持てたり、キャリアを考える上での意義を見出せる仕事の方が、仕事の面白みを感じてパフォーマンスが上がると考えています。ただ、会社の事業の方向性も考慮しなければならないため、いつも必ずメンバーに合った仕事を任せるというのを実現することは難しいです。
そのような場合は、事業の状況や、メンバーのスキルの成長のために行う仕事という背景を丁寧に伝えたうえで仕事を任せるようにしています。
メンバーのキャリアについてはヒアリングを通して、将来的に組織を見るマネジメント側に行きたいのか、技術的なスペシャリスト側に行きたいのかを聞いています。
メンバーによっては、自分の方向性に迷いを感じている人もいます。そのようなメンバーに対しては、そのメンバーの現在地から大まかな選択肢を3つほど提示しています。
例えば、リードエンジニアとして奮闘中のメンバーがキャリアの方向性に迷っていたとします。
その人に対して、エンジニア組織や人材マネジメントに寄るエンジニアリングマネージャー、開発プロセスや技術基盤の構築に寄るアーキテクト、プロダクトの戦略や横断的な実行監督ならばプロダクトマネージャーのような選択肢を提示します。
そのうえでより近い方に進んでいくにはどのようなことをするべきなのかを伝えていきます。
--先ほどの話に関連して、メンバーのキャリアの選択肢を若手リーダーが増やすためには何をお行うべきですか。
会社の解像度を少しでも上げるために、自身の役職の1つ上の人と多く話すことです。そうすることで広い視野で会社を見られるようになります。
また、部門を超えた人にも相談するというのも良いと思います。会社の隅々までわかる必要はありませんが、部門の方向性、会社の目指すところなどをしっかり話をすることで理解していくことが重要です。
そして、会社の中だけではなく、世の中のトレンドにも目を向ける必要があると思います。自分たちの職種の中でそのトレンドをチームでどのように取り入れていくことができるのか考えられることです。そうすることで必然的に選択肢は増えていくと思います。
1人ひとりに合わせたメンバー育成
--メンバーを育成するうえで心がけていることを教えてください。
メンバー1人ひとりに合わせた育成を心がけています。その人のスキル、経験、仕事の緊急性や重要性などを踏まえてコーチングを行うのかティーチングを行うのかを使い分けています。
そのためには1on1を通して、メンバーへの理解度を高めていくことが必要です。
直接1on1を行っていない人に対しては、リーダーや担当を通して意見することを行っています。メンバーにどのような期待があるのか、どのような目標をもって仕事をしてくれているのかというのを、会話を通して知っていくことで、目標設定が行いやすくなります。
--石田さんが考えるリーダーに必要な心構えは何ですか。
明るくポジティブな態度を崩さないことだと考えています。
リーダーにとってコミュニケーションは必要不可欠です。その中で否定的な見解から話してしまうと、メンバーとのコミュニケーションはうまくいかなくなってしまうと思います。ポジティブでいることでメンバーとのコミュニケーションも進めやすくなります。
また、メンバーとの信頼関係を築くためにも、心を開くことも大切です。リーダーという立場になると、どうしても強がってしまうことがあります。
自分が悩んでいる部分や不安なことを思い切ってメンバーへ相談することも必要なことだと思います。
例えば、もっと良くしていくためにはどのようなことをしたらいいのかなどの建設的な悩みです。 前に進むための悩みをメンバーに打ち明けて頼れる力はリーダーにとって必要な要素だと思います。
何に対しても誠実に向き合う
--最後に若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。
何事も誠実に、真摯に向き合ってください。
仕事に関わるお客様や他部署の人、部下や上司、自分自身に対してそれぞれ向き合うことです。相手に寄り添って話を聞くこと、問題を正確に捉えてどのようにしたら解決できるのかを一生懸命探すこと、自分の考えには説明を尽くすことなど1つずつ向き合ってください。
手を抜いたり、発言が二転三転すると、仕事で成果は出せず、信用もされなくなります。リーダーになるとより誠実さは求められると思います。
私は発言を変えないことにこだわっているわけではありませんが、もしも変わったことがあった場合、しっかりとした説明を加えて言い直すようにしています。
あとは、素直に謝ることや考えの背景を明らかに伝えるなどをコミュニケーションの中で意識しています。
このような細かい行動1つひとつを周りのメンバーはよく見ているので、意識して行動していくことが大切だと思います。