「個のエンパワーメント」の実現を目指して、フリーランスマッチングプラットフォームを運営するランサーズ株式会社のCPOである中嶋信博様にリーダーとしての価値観をお伺いしました。
中嶋 信博|ランサーズ株式会社 執行役員 CPO
1996年より富士ソフト株式会社で、ソフトウェア・アーキテクトとしてキャリアをスタート。
2000年よりフリーランスに転身し、大手企業の様々なウェブサービスの立ち上げ、研究開発、プラットフォーム開発に従事。
2013年よりスタートアップ企業の創業メンバーの最高技術責任者として、グローバル・ウェブサービスの立ち上げ、グロースを推進。
2017年2月より当社に参画し、開発部部長やオンラインマッチング事業部副部長を務め、開発組織、プロダクト開発を推進。
2020年5月より執行役員に就任。
リーダーは自分から掴むもの
--初めてのリーダー経験から学んだことを教えてください。
リーダーは任せられるよりも自分から掴むものだと学びました。
私が初めてリーダーを務めた経験は、富士ソフトでモバイル端末の基地局を監視するシステムを作る部署に配属された時です。
その部署で役立つものを作りたいという思いで、困っていることを聞き出していきました。
その中で、基地局をテストすることが大変という話を聞き、テストするための高価な機器をソフト化してPCでできるようにすることを提案した結果、そのPCが多く使われるようになりました。
自分で提案して仕事を取りに行くことができた瞬間が、リーダーの始まりだと思います。
何かを始めると自然とチームが作られていきます。
始めたときは一人かもしれませんが、その始めたことに共感してくれたメンバーが次第についてきて、メンバー自身がチームを大きくするために主体的に行動してくれるため、チームが自然と大きくなっていきます。
決められたリーダーやチームではなく、自分から主体的にやりたいことを行動していく中でリーダーになることが理想です。
自分で行動が選択できることでモチベーションにもつながるため、リーダーのあり方について感じた経験でした。
--初めてのリーダー経験からチームで活動していく中で課題だったこと、どう乗り越えていったのか教えてください。
変化を起こすことは軋轢を生じるということを知った上でチームや組織のゴールに対する意識をそろえることが大切です。
私が当時ソフト化の提案をしたことは、今までの業務の中では突拍子のないことでした。
開発を進める上での課題として、今までの仕組みややり方を変えることに恐れを感じる人との軋轢が生まれました。
変化への恐れを感じる人もいる中で、自分が変化を起こす立場であるということを考え、行動するべきです。
また、それを乗り越えるためにもチームでゴールをそろえることが必要です。
例えば、自分たちが生み出すものは関係者にとって良いものであることを全員が感じているかどうかや定量的な売上の目標を決めることなどです。
当時の自分にとってゴールをそろえることはできていなかったかもしれません。
しかし、一生懸命に取り組んでいくことでゴールを作っていくことにつながりました。 仕事に対して夢中になっているときが一番成果を出せると思います。
チームにとって夢中になることは結果を出すことにつながっていきます。また、仕事に対して夢中になる姿勢が、メンバーがついてくると思います。
明確なゴールの共有
--リーダーに必要な資質はどのようなことだとお考えですか。
チームとしてのゴールをメンバーに対して明確に共有できることが必要です。
例えば、私たちのビジネスのゴールはユーザーに対して価値を作り上げることです。
そのため、ユーザーにどのようにアプローチすれば喜んでくれるのかというのが明確に想像でき、それを言語化してメンバーに共有することでチームとしての団結力が高まると思います。
一人ひとりのメンバーがユーザーの喜ぶ顔を思い浮かべ、1年後そのユーザーを喜ばせる方法の計画をメンバー自身が自発的に立てることにつながります。
このようにメンバー自身がユーザーの喜ぶ姿を想像できるようにすることがリーダーが行うべき事だと考えています。
しかし、リーダーとなると会社としての売上を考えることなどの会社が求めるゴールも実現しなければならなりません。
このゴールはメンバー自身が業務をする上で、思い描きにくいゴールだと考えます。
会社が求めるゴールをメンバーが理解しにくいこともあるので、粘り強く繰り返し伝え続けながら、ユーザーが喜ぶことと会社が求めていることをうまく紐付けて、チームを本気にさせることがリーダーの役割だと思います。
夢中になるための困難な選択を
--最後に若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。
人生において選択肢があり悩んだ時には、難しい方の選択を選び挑戦することです。
私は、全ての人は自分を過小評価していると思っています。
私自身、現在に至るまでもっと頑張れたことや、こうしたらもっと良い展望が開けたのかもしれないという思いがあります。
今振り返ると、選択肢の中で難しい方が自分のやりたいことにつながっていたと感じます。当社を選んだきっかけもこれが理由にあります。
そういった経験から、難しいことで夢中になれることが理想であると思います。
また夢中になるためには、期間を決めて全力でやり遂げることです。 何かを任された際、初めは難しいこともあり楽しめないこともあると思います。
しかし、どこかのタイミングで楽しめる時は必ず来ます。そして、物事に対して夢中に取り組んでいる人は周りのメンバーも応援してくれるはずです。