「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」をビジョンに掲げ、一人ひとりにあわせたコーディネートを提案するファッションレンタルサービスを提供する エアークローゼット。
本日は株式会社エアークローゼットのCTOの辻 亮佑氏にリーダーのあり方についてお話を伺いました。
辻 亮佑 | 株式会社エアークローゼット 執行役員 CTO
大学卒業後、エンタープライズ向けの開発会社に入社。インフラやDB、バックエンド、フロントエンドなど多岐にわたる開発に従事。
2012年、楽天株式会社に入社。フロントエンドに特化して新規立ち上げビジネスの設計、開発、チームマネジメントを担当。
2015年、株式会社エアークローゼットにジョイン。執行役員 CTOとして、サービス・システム開発を担当。
オフィスカジュアルから普段着まで幅広いお洋服が届く、月額制ファッションレンタルサービス『airCloset(エアークローゼット)』・メーカー公認月額制レンタルモール『airCloset Mall(エアクロモール)』・ディズニーアイテムのファッションレンタル『Disney FASHION CLOSET』・『パーソナルスタイリング診断』等の技術戦略を統括。
密なコミュニケーションが主体性に
--初めてのリーダー経験で苦労したこと、そこから学んだことについて教えてください。
初めてのリーダー経験はシステム開発のプロジェクトリーダー経験で、その際にエンジニア間のコミュニケーションの重要性について学びました。
最初の方は、各要件の詳細と工数からアサインする人を決めアサインすればプロジェクトが回ると思っていました。
もちろんそんなにうまくいくわけもなく、コミュニケーションの活性化が大切だと感じました。
システム開発は業務を分担することはありますが、1人1人が独立しているわけではないので、情報共有やコミュニケーションがとても大事です。
コミュニケーションを活発化させるために、朝礼の設置やグループマネージャーと話してメンバー間の席を近くなるように調整するなど、コミュニケーションを密にとれる環境を整えました。
最初の土台となる仕組みを作り、コミュニケーションが取りやすい環境に改善をしたことでメンバー同士のコミュニケーションが活発化していきました。
--初めてのリーダー経験でコミュニケーションの重要性について学んだことから、それ以降コミュニケーションをとる際に意識していることはありますか?
まず相手を理解することを心がけていました。
相手が意見や考えをすべて伝えてくれるとは限らないので、常に「本当に考えていることは何だろうか」ということを考えながら話を聞くことを特に意識して行っていました。
また、メンバー同士のコミュニケーションで間に入る際にも、お互いの意見を聞いてどのようなことを考えているのかを意識して聞いていました。
そうすることで、コミュニケーションを円滑に進められるようにフォローすることができます。
結果的に、メンバー間のコミュニケーションを密に取ることで、メンバーのモチベーションが高まり、プロジェクトの改善を行うことができました。
メンバーのキャリアを踏まえたチーム編成
--チーム編成をするうえで意識していることはありますか?
メンバーそれぞれがプロフェッショナルとしてどんなキャリアを描きたいのか、自分がどうありたいのかを大事にすることを意識してチーム作りをしています。
メンバーが今後どのように成長していきたいかや将来的に目指したい方向と、エアークローゼットが期待する姿に接点を見出してあげることが最も重要だと考えています。
メンバーが今後進んでいきたいキャリアと、エアークローゼットが作りたいチーム、その2つの方向性を意識してチーム編成を行っています。
弊社でいうと、昔はお客様向けの機能開発をするチームと倉庫等にて在庫を管理するシステムを開発しているチームとなど業務ごとにチームが存在していました。
しかし、改めて各メンバーの今後のキャリアプランを考えた上で、チームとして最適な形を考え、再構築しました。
またスキル面だけではなく、UXやフロントにより近いところの経験をつけたいメンバーはお客様と関わる事が多いチームに編成するなどと工夫しました。
良いプロダクトは密なコミュニケーションから
--組織が拡大していく中でチームも拡大すると思いますが、大きなチームでも生産性を高めるために心がけていることはありますか?
ここまでもお伝えしてきた通りになりますが
コミュニケーションを密に取り、より良い物を開発することを心がけています。
私が新卒の頃、システム開発を任された時は各タスクをいかに早く終わらせるかというところに集中していました。
しかし、実際に納品したものに対して追加要望や改善依頼が多くあり、作ったものをそのまま納品できないことが多くありました。
そこから意識が変わり、仕様通りに作成する事だけではなく、自分の中でどのようにしたらより使いやすくなるのかを考え、お客様にヒアリング、提案していくことを意識的に行ってきました。
その結果、全体で見ると大幅なコスト削減と品質向上に繋がりました。
その経験から、お客様や他のエンジニアとコミュニケーションを取ることが品質を向上する上で最も重要だということを学びました。
その学びから現在の組織マネジメントにおいても、メンバー1人1人に日報を出してもらいコメントを返すといったことを行っていました。
各グループを超えたコミュニケーションや、プロダクトをよくするための発信・改善をしていくという機会を作るための施策のひとつです。
コミュニケーション活発化へのこだわり
--貴社はコミュニケーション活性化のための独特な施策や社風が多々あるようにお聞きしたのですが、具体的にどういったものがあるのかお聞かせください。
施策としては、
「メンバー間の関係性構築」、「弊社の設計思想や目指すべき場所をより理解し意思統一を図る」といった2つの目的から開発合宿を行なっています。
開発メンバー20人ほどで、ただただ開発に没頭する1泊2日の合宿を行います。
この合宿期間はいつもと違うメンバーでチームを組み、チーム毎に成果を出していきます。
いつもと違った環境で、チーム単位で1つの物を作るというところに楽しさを感じます。
また、新しいチームで行うことで、横のつながりを強くし、コミュニケーションの活発化につながっています。
また、会社全体の文化としては
お互いにニックネームで呼び合うことや、全社員と握手をして帰るといった文化があります。
(現在はコロナ禍の影響で握手ではなく、帰宅する際にオフィスを一周回って声をかけることをしています。)
このような文化のおかげで、カジュアルかつより活発なコミュニケーションを取ることができていると思います。
例えば、一般的な会社では、新しくチームに入ったメンバーが代表と頻繁に関わる機会はほとんどないと思いますが、このような文化があることで、一言二言ですが言葉を交わす機会が毎日発生し、気になることなどを気軽に話すことができます。
またメンバー同士でも、このコミュニケーションを起点に食事に行くことに発展するなど効果が現れています。
また、半年に1度の全社合宿や、週に1回の全社会議も行っています。
毎週の全社会議では、冒頭で代表が話す時間があり、代表が気になっていることや考えていることをシェアする時間があります。
今後の事業戦略についてなどを話したり、グループごとに設定したKPIの進捗状況についての共有をしたりなど、社員全員が今の会社の状況を知ることで、同じ方向を向いていくことを意識して行っています。
コミュニケーションの重要さ
--若手リーダーに向けたアドバイスをお願いします。
やはり「コミュニケーション」をおろそかにしないことが大事です。
人と人との関係は、ルールや仕組みを作ればうまくいくようなものではありません。
コミュニケーションを通じて相手を理解していくことが重要だと思います。
過去にタスクに追われて1on1をやらなかったことがあり、その時にコミュニケーションをとらなかったことが、その後のトラブルに繋がってしまったことがあります。
そういった失敗経験からもコミュニケーションをより活発にして大事にしていくことが必要だと思うようになりました。
また、コミュニケーションの方法として、相手を理解するために期待値の調整を行うことを意識しています。お互いの期待がズレてしまうことが、互いに不満がたまる原因になります。
できること、できないことを含めて期待値の調整を1on1などのコミュニケーションを通してすり合わせていくことが特に大事だと思います。