インタビュー

「信念を突き詰めるプロセスこそが成長の糧に」 株式会社ベーシックのCTOが語るリーダーのあり方

「マーケティングとテクノロジーで問題解決する」を理念に掲げ、難しいと言われているマーケティングを誰もが扱える簡単なものにする「Webマーケティングの大衆化」へ向けた挑戦を行う株式会社ベーシック。 同社の執行役員CTOである櫻庭洋之様に、リーダーとして成長していくためのお話をお伺いしました。 

 

櫻庭洋之|株式会社ベーシック 執行役員CTO  

高校時代から自宅サーバでWebサービスを開発運営。Webサービスを運営する会社に拾われ、その後2010年にベーシック入社。 新規事業開発室にて、スマートフォンアプリや広告プラットフォーム等、数々の新規事業の開発と運用に携わる。  

2013年、最高技術責任者に就任。全社の共通開発基盤の構築やスクラム開発の導入など、開発文化の醸成を推進。  

初学者がプログラミングを学べるYouTubeチャンネルも個人で運営中。  

  

リーダーとして活躍するために  

--今後新たなリーダーが活躍するためにも、彼ら自身の考えを主張するためにはどういったことが必要ですか?  

会社や上司と信頼関係を築くことが大切だと思います。 

そのためには信頼残高がどれくらいあるかが重要で、それは突発的に作れるものではありません。信頼残高が多ければ多いほど、自身の考えや意思を伝えたときに「この人がいうならその通りにしてみよう」などと思ってもらえ、周りも納得して動いてもらえると考えています。 

 

--チーム開発を進めていくうえでメンバーとの信頼関係を構築するために具体的にどのようなコミュニケーションを意識していますか? 

相手の立場になって相手の仕事のしやすさを考えること、常に開示し続けることです。

前者の「相手の立場になって相手の仕事のしやすさを考える」については、小さなことで言えば、コードレビューを依頼する際にどこをレビューしてほしいか明記していたり、動作確認するための URL が記載されていたりといったものがそうですね。

ベーシックの開発部門ではコンピテンシーを3つ定めているのですが、そのうちの1つが「他者の生産性に配慮する」というものです。個人の効率を追い求めた結果、他のメンバーが非効率になってしまっては意味がありません。チーム全体としてのスループットを意識し、配慮ができることが重要だと思っています。

開発部門のコンピテンシー

開発部門のコンピテンシー 

後者の「常に開示し続ける」については、今抱えている問題や、今後問題になりそうなことなどを日々チームに共有することが重要だと思います。 

例えばシステム開発における、スケジュールの不確実性はどうしても高くなってしまいますが、早い段階でリスクやネガティブ要素を開示していれば周りも動きやすくなります。一方で、締切間際に色々共有されてはチーム全体としてのスループットは落ちてしまいますよね。

 

仕事を通してその人に貢献していくためにはどうすればよいのかを逆算して考え、コミュニケーションをまめにすることで、信頼関係は醸成させていくと思っています。  

それ以外でも、多くの人は上司は自分よりエンジニアリングができる人であってほしいと思っているはずなので、技術面でも劣らず、何かあっても最終的になんとかしてくれる力がある、というのも大事だと思います。 

 

--リーダーとして成長するために、必要な意識や心構えを教えてください。 

フィードバックを素直に受け入れることです。 

若くからリーダーになるような方は吸収が早いタイプであるか、元のスペックが高いタイプです。後者の場合は、フィードバックは弱みを突かれるようで苦手に感じている方が多いです。 

 私は、自分にできないことがあることが嫌なタイプではあるので、自分の弱みを指摘されることを得意とはしていませんでした(笑) 

ですが、フィードバックによって自分の視野が広がり知見が深まると気づいてからは、むしろどんどんフィードバックが欲しいと思うようになりましたね。 

 

今は自分の脳内に、私の他にも日頃からフィードバックをくれるメンバー2人が常にいる状態で、一度自分の中で議論して予行練習して、ブラッシュアップさせてから意見を出しています。 

仕事するというのは誰かと一緒に動くということでもあるので、リーダーになるには色んな価値観を受け入れられる柔軟性が必要だと思います。 

株式会社ベーシック 櫻庭様のお写真

 

皆を支えるフォロワーシップ 

--メンバーのキャリア形成を行う上で、やりたいことや好きなことを引き出すために意識していることはありますか? 

2つあり、1つ目は自分が楽しんでいる姿をメンバーに見せることです。 

私はよく「Enjoy Hacking」というキーワードをメンバーによく伝えているのですが、仕事を楽しむための挑戦や工夫がその人の中でできているか、ということは常に考えています。 

先ほど紹介したコンピテンシーの1つにもありますが、質とスピードを妥協せずに「今よりも良くできるんじゃないか」という考えを持ちながら取り組むと、挑戦機会がどんどん増えていき、仕事を楽しめると思っています。なので、自分自身も仕事を楽しんでいる姿を見せるようにしていますね。 

  

2つ目はフォロワーシップを心がけることです。 

私は、チームのリーダーにより求められることは、リーダーシップよりもフォロワーシップだと考えています。 

フォロワーシップとは誰かが意見したことに対してすぐに肯定から入ることです。一番最初に賛同する人がなかなか出てこなければ、能動的に意見を言える人がいなくなってしまいます。自分の意見をリスクなくアウトプットできるようにコミュニケーションすることでメンバーの自主性・自律性を育てることにつなげています。 

 

--自分から助けや意見を出せないメンバーもいると思いますが、そのようなメンバーに対して意識的に行っていることはありますか? 

まずは自分の弱みをさらけ出したり、実行可能な中であえて1番レベルの低いアイデアを出したりしています。 いわゆる「マクドナルド理論」と呼ばれるものですね。  

自分の弱みをさらけ出すことへの抵抗は誰もがあると思っています。だからこそ、まずは自分がレベルの低い発言をする。それがメンバーの心理的障壁を取り除くことに繋がるので、相手も意見を出したりヘルプを出しやすくなり、わからないことを聞きやすくなると思っています。 

 

また、私自身がメンバーに対して相談することも多いです。例えば、細かい技術の内容を質問したり、困りごとを改善するための策を聞いています。そのようなことを積極的に行うことで、質問しやすい雰囲気を作ることにつながっていると思います。 

株式会社ベーシック 櫻庭様のお写真

自分の持つ信念を突き詰めること

-- 今後リーダーを志す若い世代に向けてアドバイスをお聞かせください。  

自分が持っている信念をオープンにして、突き詰めることです。突き詰めるそのプロセスが非常に重要です。 

 

私の信念は「常に最高なものを作り続けること」です。 

私の初めてのリーダー経験では、スケジュールや求められているものに答えることが精一杯でした。その過程で形にすることを優先してしまったため、コードの品質やユーザーにとっての理想の体験などを追及することを妥協しながら着地させてしまったので、行ってしまい上手くいきませんでした。 

 

そこを妥協しないことこそがその後の事業の継続性、成長率に影響するため、どんな時でも妥協せずに向き合うことが必要だと思っています。 

自分が持っている信念を突き詰めることこそが自分自身の成長の糧になると思います。 

株式会社ベーシック 櫻庭様

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