「金融の力を解き放つ」をパーパスに掲げ、生命保険・損害保険、投資信託・債券・株式、住宅ローン、不動産など、幅広いソリューションをワンストップで取り扱い、お客様の人生を共に歩む「フィナンシャルパートナー」として活動しているブロードマインド株式会社。
そんなブロードマインド株式会社の代表取締役社長の伊藤清様にリーダーのあり方についてお伺いしました。
伊藤 清 |ブロードマインド株式会社 代表取締役社長
大学卒業後、日本電気にソフトウェアエンジニアとして就職。その後、スポーツインストラクターを経てソニー生命に転職。
最年少で同社のエグゼクティブライフプランナーとなり、成績優秀エージェントの世界指標である「MDRT」にも入会され、2007年には終身会員に。
2002年1月にブロードマインドを創業。
信頼関係を構築するゴール設定
--メンバーとの関係性を築く上で大切なことは何だとお考えですか。
メンバーとの信頼関係を崩さないこと、ゴールを設定した上での指導をすることが大切です。 メンバーから何か相談された際に、とりあえず話を聞き同意するリーダーが多々見受けられます。
これは最もよくある失敗する例です。
メンバーからすると、その同意は自分達の気持ちをわかってくれたと理解し信頼感を抱きます。
しかし、その後同意した内容に対する適切なアクションがなく環境が変わらない場合、期待値が上がってしまっている分一番信頼を失います。
そのため信頼関係を崩さないためにも、同意するならばきちんとアクションまで実施する必要があります。
同意しない場合に対しても、なぜ同意しないのかなぜ駄目なのかをきちんとした根拠を持って説明する必要があります。
「今は時期ではない」、「上が決めたことだから」などと誤魔化してしまうと何が問題か分からず信頼が崩れると共に、疑問が残ったまま何の解決にもつながりません。
そのため伝えることがゴールなのか、きちんと理解させることがゴールなのか、理解させた上で納得してもらい次の行動に活かしてもらうことがゴールなのか、きちんとゴール設定をすることが大切です。
加えて、メンバーに頼ることも信頼関係を築くために必要です。
何事も完璧な人よりも弱みを見せてくれるリーダーの方が相談しやすいと思っています。
何においても一定以上は専門的な知見や経験が必要なので、全てのことに対してパーフェクトな人はいません。
それをきちんと理解して、メンバーを頼ることが大切です。
私も現在は経営がメインで現場から離れているので、例えば生命保険の最新の商品ラインナップまで全て詳しいわけではありません。
顧客の課題抽出やどの金融商品を使えば解決できるかは、今までの経験で分かりますが、金融商品の中でこの課題だとどの会社の商品が一番良いかという情報は現場社員へ聞きに行きます。経営においても、取締役や執行役員の意見を聞くことや、専門性のある人に相談してすり合わせていくなどメンバーを頼ります。
そのように自分にも分からないことがあるから助けてほしいと弱さを見せることが関係性を築く上で大切です。
達成感を与える目標設定
--メンバーのモチベーションを保つために心がけていることはありますか。
自分自身の成長を日々感じてもらうことです。
人は日々成長を感じることが最もやりがいにつながると考えています。
そのためにも最低目標と最高目標を設定し、達成感を感じるポイントを2段階で設定しております。
よく、大きな目標と最終結果だけをみて指摘するリーダーがいますが、それは評論家のやり方です。各メンバーは要所要所必要な目標を達成し日々格闘し成長しています。
それをしっかり見て誉めるべきところは誉める、足りない所は指導することが大切です。
最低目標を突破していたらそれで十分で、最大目標はプラスアルファの道標のようなものです。
また最低目標を突破するために修正が必要であれば具体的に指導することが必要です。
必ず伝えてくる言葉や、課題を見つけて必ずお客様と1つ合意を取ってきなさい、などとにかく具体的に指導していました。
これができない規模までメンバーが広がっているなら、ミドルマネジメント層に任せるタイミングです。
自分事に考える広い視野
--リーダーとして必要な要素は何だと考えていますか。
自分の部署だけではなく、会社全体を自分事にとらえて知ろうとする視野の広さがあることです。
責任範囲をしっかりやりきるという気持ちからセクショナリズム的な思想を持っている方がいます。
セクショナリズムが起きないように会社全体を見ることが必要です。
マネージャーの立場になるときに他部署のことを理解していないと他部署の人たちとの協力を得ることができません。
例えば、人事部は人を集めてくる部署という認識ではなくて、当社のパーパスやミッションに賛同した仲間を見つけてくる仕事と認識しているかどうかが大切です。
私はマネージャーやシニアマネージャーになる際に問うべきことは、やりたいことだけではなく、そういった各部署の役割や大変さを正しく理解しているかどうかだと考えています。
--マネジメントキャリアを歩もうとする人材に求めることは何でしょうか。
まずは目の前の仕事に全力で取り組んで、結果を出している人が最低条件だと思っています。
そこからプレイヤーであるべき人材とマネージャーとなりメンバーの管理にも務める人材、管理に徹する人材と適材適所で正しく配置していくことが大切です。
またマネージャーといっても、プレイヤーとして優秀な人材のマネジメントが得意なマネージャーと、成長途中のプレイヤーを育てるのが得意なマネージャーもいます。
そのため、マネージャー一人ひとりの得意不得意を見て、適材適所を見極めるようにしています。
常に課題を与えられるリーダーに
--最後に若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。
全てのことにきちんと目を向けて課題を与えられるような人を目指してください。
私がいつも意識していることは、メンバー1人ひとりの様子をよく見ています。
顔色が悪かったり、挨拶も元気がなかったら話を聞いてみることです。話を聞いてみたら実は悩みを抱えていて、転職活動をしていたということもあります。
このような状態になる前に、メンバーの異変に気付いて、メンバーの悩みを把握したうえで適切な選択を導いてあげることです。
リーダーによくあることが、結果を残しているメンバーに口出しをしないことです。
結果を残しているメンバーほど成長意欲は高いです。
成長過程のメンバーだけを気にかけるのではなく、視野を広く持ち、常に全員に課題を与えられるようなリーダーにならなければなりません。
そのためには、リーダー自身も新しい情報、考え方、テクニックを身に着けていくことが大切です。
課題を与えられるような人は自分も成長していくことが求められます。