本日は総合エンタメサイト「DMM.com」のプラットフォーム開発を担うプラットフォーム事業本部部長とVPoE室を兼務する 石垣雅人様にお話を伺いました。
若くしてリーダーを任された経験から現在に至るまでにどのような挑戦があったのか。
インタビューを通して石垣雅人様のリーダー像に迫ります。
石垣雅人|合同会社DMM.com プラットフォーム事業本部 部長 / VPoE室
2015年、エンジニア職で新卒入社し、翌年からプロジェクトマネージャーを務める。
2020年、DMM.comの入り口である総合トップなどを管轄する総合トップ開発部の立ち上げを行い、部長を従事。
現在はDMM.com プラットフォーム事業本部 部長 / VPoE室 / アルファ室を 兼務。DMMポイントクラブサービスの立ち上げからグロース、DMM .com の3 ,914万会員のID 基盤 ・個人情報を管轄する開発部の部長、DMM全体のエンジニア・デザイナー・PM組織の組織課題を解決するVPoE室を兼務している。
若くして直面したチームの課題
--ご経歴から、新卒でDMMに入社してからわずか1年半でプロジェクトマネージャー、5年で部長に就かれたと拝見しました。初めてリーダーを任された経験と早い段階からのリーダー経験から苦労した点について教えてください。
初めてリーダーを任された時はエンジニア採用の面で苦労しました。
当時、私自身のエンジニア経験が浅い中でどういったエンジニアがチームに必要なのかが全く分からない状態でした。
そこで私はプロジェクトの振り返りに加えて「チーム戦略会議」を新たに実施しました。
各チームによって必要としているエンジニアや良いエンジニアの定義が異なると感じていたので、 会議で出た意見をもとに求めるエンジニア像をすり合わせて、明確にすることで採用に活かそうという取り組みです。
結果的に、チーム戦略会議を定期的に実施することで、皆の意見を採用に反映することができ、上手く採用をすすめることが出来ました。
また、価値観やカルチャーをエンジニア同士で擦り合わせることができたので、チームマネジメントの点でも非常に価値ある取り組みになりました。
チームを動かす秘訣
--チームを動かす上で、タスクを振る際に意識していることをお聞かせください。
前提としてチームメンバーにタスクを振る時には何かしらの解決して欲しい問題があります。
そのため問題が起こった経緯や原因、そして解決してほしい問題を明確化することやタスク完了の定義を言語化することを意識しています。
こうすることで、チームが課題に対して適切に取り組むことができ、成果が出ると考えています。
さらにチームを動かす上では言語化する能力も重要になってきます。 役職が上がり、より高い視座を持って仕事をしていると現場で私が直接手を動かすことが少なくなります。
そうすると、言葉で人を動かして仕事を回す必要があり、私の考えを的確に相手に伝える力が重要になると考えます。
またメンバーによってモチベーションの拠り所が異なることも意識しています。
メンバーが何をやりたいのか1on1などですり合わせていくことでメンバーのモチベーションが上がるタスクやキャリアを考えてプロジェクトを振り分けるようにしています。
いかに各メンバーのモチベーションを上げながら前進していくかだと思います。
そうすることで自ずと生産性も向上していくと考えています。
--本人の希望と合わないタスクを割り振らなければならないときはどういったことを意識していますか。
そのような場合にはメンバーに、段階としてここを通る必要があるとキャリアに沿って逆算したロードマップを作り、しっかりと伝えています。
例えば、新卒の社員でプロダクトマネジメントを希望していてもいきなり任せることは難しいのが実情です。
なぜそのプロダクトを作るのか、どう作るのかを理解しないとプロダクトマネジメントができない事を伝えます。
その上でキャリアに沿って逆算したロードマップを示してあげて、「今は自身の武器を増やす段階にあるよね」と伝えるようにしています。
1on1と人材育成について
--プロジェクト推進をする上で、どういったコミュニケーションを意識していますか。
言語化すること、そして私の伝えたいことが伝わるまで徹底することが重要です。 これくらい伝えれば相手に伝わるだろうと考えていても実際には伝わらないことがあります。
話は聞いているように見えても相手がそれを理解していない場合もあります。
プロジェクトのキックオフをプロジェクトメンバー20名ほどで実施し目的を説明しても正しく理解できているメンバーは数人だと思います。
そのため1on1で1人1人にプロジェクトの目的やその人に期待していることを愚直に何度も伝えることを意識しています。
また、私の考えを理解している人よりも私の考えを理解していない人に話をして価値観をすり合わせていくことも大事です。
特に若手の場合だと、経験が豊富なメンバーがいる場で発言しにくい人もいると思うので、こちら側からコミュニケーションをとることを意識しています。
--人材育成においてはどのようなコミュニケーションを意識されていますか?
人材育成の面では定期的に振り返りの場面を作ることを意識しています。
定期的に1on1を行い、プロジェクトごとの振り返りをし、先ほど申し上げたチーム戦略会議でチームの成長フォーズを振り返ります。
こうすることで、細かい軌道修正も可能になり、持続的に成長する組織が作れると考えています。
またチームの中でキーマンとなる人を見つけるようにしています。
私の感覚的な所にはなりますが、チームに大きな影響を与えている人を見つけて支えるようにしています。
チームで影響力がある人は良い意味でも悪い意味でもチームの生産性に影響を与えるので、しっかりとその人をモチベートします。
そうすることでその人が最終的にチームに良い影響を広げてくれると考えています。
--メンバーの目標設定について意識していることはありますか。
私はあえて無理に部下の目標を設定してほしいとは思いません。
目標を決めてしまうと目標がノルマ的になってしまうからです。メンバーによっては目標設定を憂鬱に感じるメンバーもいます。
その理由は、立てた目標が期が終わったときに身になっていなかったり、自分主体ではなく組織の目標を記載しているだけになっているといったことが多いです。
例えば目標として技術の習得とか、プロジェクトの遂行とかを設定するとそれがノルマになってしまいます。
そのためノルマのような目標ではなく、基本的にはどういう状態でありたいかをメンバーには決めて貰います。
そうすることで自分のコアとなるメンタルモデルが出来上がり結果として自らから目標を生み出すようになります。
あるべき姿を自分で考えて、能動的に動いてもらうためにもあえて 、こちらから無理に目標は設定進めないということです。もちろん、期待値は伝えます。
プロジェクトに参加して遂行するだけでは自分の成長を言語化できない人が多くいましたが、能動的に考えて仕事をすることで新しいことに気づき学びを実感する人が多くなりました。
怖いことへ、とにかく立ち向かう
--最後に、若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。
怖いことにも恐れずに立ち向かうことをアドバイスします。
リーダーになると抽象的な問題に向き合うことが増え、正解が無い状態に孤独や不安を感じることが多いと思います。
しかし、不確実性の高い問題に対しても決断と覚悟を持って意思決定をすることで私は成長したと考えています。
結局、知らないことが1番怖いことです。
特に若いうちは知らないことが多く、知らないことは全て怖いと感じると思うのですが、経験を積むことで解消ができます。
怖いことでもあえて選択して、立ち向かっていくことは人生経験上必ず大事になると考えています。