「世界縁満」をミッションに掲げ、「自分らしく輝くためのプラットフォームをつくる」をビジョンに、社員教育で人と企業の持続的な成長を促進することを目指す株式会社manebi。
社員教育のオンライン学習システム「playse.(プレース)」を提供する株式会社manebiのCTO兼CPOである岡田大輔様にリーダーのあり方についてお伺いしました。
岡田大輔|株式会社manebi 取締役 執行役員CTO兼CPO
東京電子専門学校卒、専門卒業後、株式会社e-it入社しエンジニアとして従事。
2006年に株式会社ラック(旧A&I)社に入社。同社では人材業界向けの基幹システム開発中心にプロジェクトマネージャを経て人材ビジネス向けシステムコンサルタントとして、マネージャーとコンサルの両輪を務める一方で、認定スクラムマスター・プロダクトオナーとして同社のアジャイル開発センターの立ち上げに貢献。
2018年株式会社エスアイ・システムに入社。営業本部長兼人材ビジネスコンサルタントを担当、同2019年、株式会社manebiに参画。
取締役 執行役員CTO兼CPOとして従事。
弱さを隠さず素直に学ぶこと
--初めてリーダーを経験したときに、学んだことを教えてください。
初めてのリーダー経験から学んだことは、自分の能力を正しく認識し、自分の弱さを隠さずに必要に応じて素直に支援を求めることです。
私が初めてリーダーを務めたのは新卒3年目の頃でした。
新卒3年目までは、プログラミングとは無関係の仕様書の体裁を修正する業務をしていました。 当時は、リーダー経験はもちろんのことプログラミングを業務で行うのも、ほぼ初めての状態でした。初めてのリーダー経験は、大きなプロダクトへの参画で、チーム構成は、私とフリーランスの方が1人、同期のメンバーが4名の6名チーム。
チームの中でプログラミング経験者はフリーランスの方のみという、メンバーのほとんどがプログラミング初心者という状態でした。
そのような状況で、進捗管理や報告方法もわからず、さらには自分が担当する機能の実装も進めなければならない。
しかし、逆境の中でもプロジェクト成功への想いが強くあったため、今の自分が出来ること、出来ないことを整理し、調べてもわからないことは、現場の他のチームの方に教えてもらいながらチームを成功に導けるよう進めていきました。
当時、自分の中のリーダー像は「頼りになる」「率先して引率する」という強いリーダー像があったので、周りに教えてもらうリーダーは頼りないのではないか?という葛藤がありました。 ですが自分の弱みを相手に見せて、自己開示することで、周りの多くの人が協力してくれるようになり、他のチームとのコミュニケーションが良好になりました。
いつの間にかプロジェクト全体のハブ的な存在になり、どの会議にも呼ばれるようになりました。気が付けば、他のチーム状況まで把握できるチームとして、プロジェクト全体で一番頼られるようになりました。
--当時の経験からリーダーの役割について感じたことはありますか。
リーダーは役割でしかないと感じました。
リーダーはこうあるべきとは思っていません。リーダーという役割は、会社が与えてくれる責任や裁量の違いだと考えています。
会社が求めることや進捗報告などのリーダーとしてのタスクはありますが、メンバーとリーダーはそういったタスクの違いだけで、心構えは同じものだと思います。
リーダーに限った事ではないですが、この人と一緒に働きたいと思われるような人間性、倫理観が特にリーダーには求められるのではないかなと思います。
フィードバックし合える関係性
--メンバーのモチベーション向上のために意識していたことはありますか。
マネジメントをするのではなく、仲間としてフラットに何でも言い合える関係を心がけています。
裏表なく全て正直に話すことで、情報の格差をなくし、メンバーを信頼し合うことができます。時には、弱みを見せることや、辛いフィードバックも顔を合わせてお互いにするようにしています。
これは信頼関係を築けているからこそ、実践できることだと思います。
フィードバックが振り返りや内省の機会を作り、それらが自分を見つめなおすキッカケや自身を成長させる糧となるのです。成長するチャンスを逃さないことが大切ですね。
また、責任と自由を大事にしています。
一つは、自身の責任をこれでもか、これでもかと果たした先に少し生まれる余白を自由と考えています。自己の高い目標をコミットメントして自由を勝ち取ろう、とチームで共有しています。
その一方で「結果さえ出していれば、自由になんでもして良い」という考え方も違うと考えています。
プロダクトを最速で最短に最高に仕上げるためであれば、可能な限り最大限の権限をメンバーに譲渡する、やり方も自由で良い、しかしお客様、会社、メンバー、自分にとって必要なことは、いつ、いかなる状況下でも責任をもって実行するという事を心にとめて、自分を、そして仲間を奮起できるように心がけています。
--フィードバックし合える関係を築くために行っていることはありますか。
会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をベースに開発チーム独自のMVVを詳細に作り、同じ物差しと価値観を持てるようにしています。
その中でフィードバックについてのやり方も設定し、明文化しています。
開発チームのフィードバックの心がけ
- フィードバックをする際は相手を想い、相手の成長の糧となる愛のあるフィードバックをする
- フィードバックしてくれた仲間に対して「ありがとう」と言葉で伝える
- フィードバックをしっかり受け止める。実行するか否かは本人に任せる
- 相手がフィードバックを実施しなかった場合でも、次はもっといいフィードバックしようと前向きに!
立場に関係なく、メンバーと対等な仲間でいることが私の理想です。
そのために、自分自身がメンバーに自己開示すること、また、なんでも言い合える関係を築きたいと伝え続けることが大切だと思っています。
お互いがお互いのことを理解する
--以前は海外の方とチームを組み開発業務を行なっていたとお聞きしました。異文化を持つ人のマネジメントを行う際に、どのようなことを意識していましたか。
お互いのことをよく知るということを意識しました。
私が当社に入社し開発チームに入った際は、チーム内で初めての日本人開発者でしたので、文化の違いをとても感じました。まずは、チームメンバーと会話の時間を設け、毎日のように一緒に食事に行き相手の国の文化や人柄について知るようにしました。
また、内発的動機付けを高めるため業務内容の意義を説明することも行っていました。
このようなことは、異文化に限らないことだと考えています。相手の気持ちを尊重して接すること、そしてなぜこの業務が必要なのか、お互いにしっかり目的・目標を理解したうえで仕事に取り組むことが大切だと思います。
近年の私は、メンバーに対してマネジメントを行っている感覚が希薄で、同じ目的を達成するために同じ船に乗っている仲間的な感覚が強いですね。メンバーそれぞれが持っている能力を活かしお互いにサポートし合うといった関係です。
今後組織が拡大していっても、メンバー1人ひとりがお互いのことをよく理解するという文化を作っていくことができると思っています。
管理する・されるという関係ではなく、メンバー全員が同じ立場で行動するというチームを作っていきたいです。
学び合いから自立的組織へ
--社員のエンゲージメントを上げるために行っている施策はありますか。
ピア・ラーニングカルチャーの人材教育を実施しています。
この施策を行った背景には当社の代表との対話の中で、日々学びを感じていたということがあります。
座学だけでなく、相手との対話による学びの重要性に気が付き、ピア・ラーニングを社内で始めました。
ピア・ラーニングは、社員同士が学び合うという取り組みで、学んだ知識を共有するだけではなく、学ぶ過程も共有します。
現在ピア・ラーニングは社内全体で取り組んでいますが、当初は開発チームから始めました。
開発チームで困っていることをヒアリングしていき、その課題について学び合いを始めました。
共同作業で教え合うことで、自己認識が高まり、エンゲージメントが向上し、なんでも話していいんだという心理的安全性も高まりました。
このような活動を続けていく中で、開発チーム内の目的意識が高まったことが、先ほどの開発チームのMVVを作ることに繋がりました。
このピア・ラーニングを行っていく過程でチームとしての基盤が強くなり、自律的組織が構築されていきました。
現在は、自主的な社内活動として、R&D活動やクロスポジション勉強会、リリースパーティー(リリース説明会)なども取り組んでいます。
人間性を磨くために自分をよく知ること
--最後に若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。
一緒に仕事がしたいと思われる人を目指してほしいです。
スキルは短時間でも身につくことがありますが、人間性は長い時間をかけて磨き上げる必要があります。リーダーには人間性が最も重要なことだと思います。
一緒に仕事がしたいと思われる人物にならないと結局誰もついてこず、メンバー、そして自分のパフォーマンスを100%引き出せないと思います。
そのためには、自分のアイデンティティはどこにあるのか、何のために仕事をするのか、自身の内面と向き合って、自ら人生開発をしていくことが必要だと思います。
自らの人生を開発していくには良いご縁を大事にし、多くの人に会うこと。
そして仕事以外の様々な知識を得て自己内省の機会を作ることです。私はリベラルアーツなどを学ぶことも一つの良い方法であると思っています。
人類の歴史は長く続いています。人の幸せについては3000年前から多くの人が議論してきています。
そのようなことを知ることで私たちの人生の中で気づきがあると思います。
技術者、業務という枠に囚われずに人生という観点で、リベラルアーツなどの哲学や芸術、様々なことから人生の糧を吸収してほしいです。