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インタビュー

「メンバーとのコミュニケーションこそが、マネージャーの1番の仕事」 株式会社オリィ研究所 CTOが語る

”孤独化の要因となる「移動」「対話」「役割」などの課題をテクノロジーで解決し、これからの時代の新たな「社会参加」を実現”をミッションに掲げ、人々の孤独を解決するため、分身ロボットOriHimeを開発・製造・提供する株式会社オリィ研究所のCTOの椎葉嘉文様にリーダーのあり方についてお伺いしました。 

 

椎葉 嘉文|株式会社オリィ研究所 CTO 

2008年、ソフトウェア制作会社勤務。システム開発部に所属し、Web制作業務を担当。

2012年、フリーランスプログラマとして独立。 かねてより親交の深かった福島のボランティア団体、および共通の友人を通じて当時OriHimeの製作を行なっていた現CVO吉藤と出会う。技術者として意気投合し、iPhoneを設置してインターネット経由で操作するロボットのソフトウェア部など、いくつかのプロジェクトを共同で行い、親交を深める。

その後、正式に株式会社オリィ研究所の共同創設者、ソフトウェア開発担当として参加。2012年オリィ研究所取締役CIO。

現在はCTOとして活躍。 

 

 

1番重要な業務はメンバーとのコミュニケーション

--初めてリーダーを務めた経験とその経験から学んだことについて教えてください。 

メンバーとのコミュニケーションの重要性を強く学びました。

コミュニケーションを通してメンバーのモチベーション管理や各個人が成長できる環境を理解し作ることで、目指すキャリアへ導くことが必要です。 

 

私は10年ほど前に弊社を立ち上げました。そのため会社のミッション達成のために従事してもらうことばかり考えマネジメントしていました。このようなマネジメントから、コミュニケーションを通してメンバーが持つ悩みや課題を解決していかなければ、チームの雰囲気の低下とともに生産性が下がってしまうということを実感しました。 

 

この経験から、会社のミッション達成だけではなく、コミュニケーションを通してメンバーが成長できる環境を見定め、導くことが大切なことだと学びました。 

オリィ研究所 椎葉 嘉文

 

業務効率は健康管理から

--マネージャーとプレイヤーのバランスを保つために気を付けていることはありますか。  

2つあります。 

1つ目は健康に対する意識です。

1日7時間は必ず寝ること、栄養管理を徹底することを心がけています。そうやって健康を保ったうえでハードに働くことが重要です。 

 

私は20代後半で会社を立ち上げ、家を引き払ってオフィスに泊まり込み、寝る間を惜しんで働いていた時期があります。

そのような生活を続けていると、疲れやすくなったり、イライラしやすくなったことで、メンバーとの信頼関係の構築がうまくできていませんでした。また、自分の意思決定にも影響が出ていました。 

この状態では、優れた組織が作れないと思った時に、健康管理を勉強するようになりました。栄養の知識を身に着けることで自分自身をコントロールできるようになり、組織状態も改善しました。 

 

2つ目はマルチタスクにならないようにすることです。

やることが多々あっても、目の前のことに集中して1つずつ行うようにしています。また、すぐできることはすぐに行うことです。 

プログラマーは複雑な仕事をミスなく素早く仕上げるために1つのことに集中することが大切です。また、マルチタスクでできる仕事ではなく、自分にしかできない仕事に振り切ることにしました。 

オリィ研究所 椎葉 嘉文

 

怒らないマネジメント

--1on1や、メンバーとのコミュニケーションで大事にしていることはありますか。 

 メンバーが持っているネガティブな要素を解消することです。 

最近困っていることや個人や会社に対して不満に思っていることなどを解決します。 

そのためには、不満を言いやすくする雰囲気をつくることが必要です。

雰囲気づくりのために普段から物腰穏やかに話すことやイライラしないこと、どんな場面でも怒こらないことといった日々の積み重ねが大事です。 

 

人は何かあったら怒られるかもしれないと思う人にセンシティブな話はできません。そのため、日々の態度は気を付けています。 

どんな場面でも怒らないことを大事にするためには、メンバーを理解することが大切です。業務への理解やメンバーの考え方への理解を示すことが必要です。 

メンバーのミスが起きた原因や誤った決断に対して、まずは私がしっかりと理解します。問題が起こる原因を理解したうえでメンバーに対しても自主的に改善してもらうようにしています。 

 

 

結果を出すための柔軟性

--最後に若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。 

イデオロギーに縛られないことです。 

自分のスタイルを考えることは大切です。 

しかし、人は多様性があるため、ほとんどの場合単純にはいかないことが多いです。そのため、状況に応じて1番合理的なやり方を考え抜くことが必要だと思います。 

 

例えば、物事はやってみないとわからないこととやらなくても準備できることがあります。 

例として、製品の仕様についてです。顧客の反応などはやってみないとどのような反応が返ってくるのかがわかりません。 

その一方で、ターゲットの市場規模はやらなくても調べることで準備できます。 

 

多くの人はやってみないとわからないこととやらなくても準備できることのどちらかに信奉しがちだと思います。 

完璧に準備しないといけないと思う人、あるいは、やってみないとわからないからまず行動に移す人。 

物事はそんなに単純ではないので、両方をしっかりやっていくことです。 

結果を出していくために、特定のイデオロギーに縛られないようにすることが重要です。 

オリィ研究所 椎葉 嘉文

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