自分のチームメンバーの能力を正しく把握できていますか?
チームでプロジェクトを実行していく際、チームメンバの能力値を正しく把握しておくことで、各個人の能力を最大限に活かすことのできる戦略を立てやすくなります。
そのような場合に役立つのが「スキルマップ」です!
本記事では「スキルマップとは?」などの基本的な情報から、作り方、事例まで解説していこうと思います。
1. スキルマップとは
はじめに、スキルマップとは各個人の業務に関する能力を可視化した一覧表にしたものです。
スキルマップを見れば、社内のメンバーが各々どのような能力、もしくは技術を持っており、そのレベルはどの程度か一目で把握することができます。
2. スキルマップを作るメリット
スキルマップの作成・活用は個人に対しても、組織に対しても多くのメリットがあります。
メリットとしては以下のものがあります。
目標設定の指標にできる
スキルマップを作成することによって、メンバーの各々の能力を数値の形で可視化します。
それによって、個人の目標設定を設定しやすくなり、その後の進捗管理においてわかりやすい指標になります。
メンバーのモチベーション向上につながる
自身のスキルの現状が視覚的に認識できるようになれば、努力や成果が反映されていると感じやすく、モチベーション向上につながります。
また、スキルマップを全体に共有する、もしくは全員が見ることのできる状態にしておくことで、自身が今、組織においてスキル的な面でどのような立ち位置にいるのか確認することができ、競争心を刺激することができます。
ただし、競争心というのは必ずしも良い結果を生むものではありません。
職場の環境や状況に応じて全体への共有を行ってください。
メンバーの能力向上を促すことができる
メンバーの能力向上においても、とても有力な手段といえます。
数値として現在、自分自身がどの能力をどの程度持っているのかを把握できるため、
「どの能力の数値が低いのか」
「今後業務を遂行していくためにはどの能力をどこまで向上させれば良いのか」
が分かりやすくなります。
それによって、効率的に学習、もしくは経験を積むことができ、能力向上に直接的に効果があります。
また、リーダーやマネージャーの立場からもスキルや能力の把握・管理がしやすくなるため、リーダーやマネージャーが望むスキルの習得を促しやすくなります。
効果的な人材配置を行う指標となる
また、人材配置を行う際にも、スキルマップが役に立ちます。
繰り返しになってしまいますが、スキルマップはメンバーの能力値・性質・スキルが一目でわかるようになっています。
なので、それぞれの業務を遂行するのにどのようなスキルが必要なのか把握していれば、あとはスキルマップを確認して適切な人員を配置することができます。
組織単位での人材育成が行いやすくなる
スキルマップはあくまでも同じ基準で各メンバーを把握するというものです。
そのため、個人の持つスキルを集積することで、組織における不足点や強化すべきポイントを明確にすることができます。
それを行うことによって、組織単位で行うスキル等の改善・向上を目的とした研修等を効率的に行うことができます。
加えて、組織の技術的な弱点を把握しておくことは新しい人材の採用にも有効活用できます。
3. スキルマップを作成・活用する上での注意点
スキルマップを作る事にはたくさんのメリットがありますが、同時に気を付けなければならない注意点も存在します。
正しく注意点を理解し、スキルマップを効率的に活用しましょう。
スキルの設定に時間がかかる
スキルの設定のためには、実際にその業務においてどのようなスキルを活用しているのかを洗い出す必要があります。
時には、実際に現場に出て確認しなければならない場合があります。
また、数値化しにくい「ビジネスマナー」や「人材育成」などの項目も考えられるため注意が必要です。
これに関しては一人で全ての項目を決めるのではなく、複数人の意見を反映しながら作成していくことで有効性の高いスキルマップを作成することができます。
メンバーのスキルの熟練度を判断する人の選定を慎重に行う
スキルマップはメンバーのスキルを公平に可視化するものです。
スキルマップを作成することだけに注力するのではなく、スキルマップを使用し、メンバーのスキルの熟練度を判断する人の選定にも慎重になりましょう。
通常、上司や教育担当者がその役割を担うことが多いですが、スキルマップの項目や状況に応じて対応できるよう、複数の評価者を選定しておくようにしましょう。
その分野における知識、技術、経験がある人物を評価者に選び、共通の基準でスキルレベルの判断が行われるような環境においてスキルマップは有効性を発揮します。
このようにスキルの熟練度を判断する人の選定を慎重に行うことで、「人によって判断基準が変化する」という事態を未然に防ぎ、メンバーの不安や不満を減らすこともできます。
定期的に見直しをする
スキルマップは一度作成したら終わりではありません。
会社やチーム、課題が変われば、求められるスキルも変化していきます。
また、個人の成長や目標の変化によって使用されているスキルマップが適切でなくなる可能性もあります。
このように環境が変化していく中で項目やスキルの熟練度の判断基準を調整しなければ、状況にそぐわない無意味なものになってしまいます。
可視化するだけで終わらせず、市況も含め本人がどういった方向性を目指しているのかをヒヤリングしながらスキルマップを調整していきましょう。
4. スキルマップの作り方から運用まで
スキルマップの作成には
- 目的確認
- 骨子の調整
- スキル項目と粒度の設定
- 達成レベルの検討
- フィードバック回収
の5段階あります。
運用後は
- スキルマップの更新
- スキルマップのマニュアル整備
- スキルマップの普及
の3段階あります。
ここからはそれぞれの段階の詳細を説明していきます。
スキルマップの目的を確認する
スキルマップは作成する目的によって項目が変わってきます。
なぜなら、目的によって求められるスキルが異なるためです。
目的に合ったスキルマップを作成するためには、まず、スキルマップを使って何を行いたいのかを明確にする必要があります。
例えば、単純にメンバーの業務遂行能力を数値化し、メンバーのスキルアップを促したい場合には項目にその業務の技術的なものが並んでくるかと思います。
しかし、人材育成を目的とした場合、そういった技術的なものではなく、マネジメントやリーダーシップなどそういった項目が使われることになります。
目的は、部署やチーム、プロジェクトごとに大きく異なります。 最初に目標を明確にすることで、スキルマップの有用性を向上させましょう。
骨子を整える
続いて骨子を作成します。この工程では、横軸と縦軸のフォームを決定してください。
組織によって細かなものは異なりますが、大まかには横軸には「メンバー名」、縦軸には「スキル名」のような形になっています。
これらの記入方法に厳格な決まり等は存在しません。
しかし、視覚的にスキルを認知していくためのものなので見やすく、シンプルになるように意識してください。
スキル項目の設定
次にスキルマップに記載する項目を決定します。
その際には、スキルマップを作成する目的から外れないように、それぞれの組織で必要なスキルや能力を洗い出していきましょう。
また、実際の業務内容から逸脱した内容になっていないかを確認するために複数のメンバーにフィードバックをしてもらい、項目を調整しましょう。
業務以外で身につけているスキル等を記載するかなどの細かい基準に関しても、ヒアリング等を行い、この段階で検討しておきましょう。
達成レベルの検討
各レベルの基準を検討しましょう。
レベル設定の際には現在のメンバーのスキルレベルや実際ごとに求められているレベル等を考慮しましょう。
また、レベルの達成条件を明確にしていくことも必要です。
しかし、レベルの達成基準に関してはスキルマップ全体で使用されるものなので、資格等の取得ではなく、「状態」で表せるようにしましょう。
例えば、このようなものがレベル達成の基準として挙げられます。
対象外:担当していない(やったことがない)
レベル1:担当になったがその業務をしていない(やったことがない)
レベル2:指導者の下で実施している(できる)
レベル3:独力で実施している(できる)
レベル4:人に教育している(できる)
このように、どのスキルにも当てはまる明確な基準を作成しましょう。
メンバーからのフィードバックを回収
作成したスキルマップをメンバーに確認してもらいましょう。
各項目に疑問点や不足している点はないかを確認していればその後、全員が納得した状態でスキルマップを使用することができます。
フィードバックを回収し、何度も作り直し、調整しましょう。
運用後の手順を説明します。
スキルマップの更新
スキルマップの運用開始後、部署やチームといった組織や業務ごとに必要なスキルに合わせて、定期的なスキルマップの更新が重要です。
従業員のフィードバックや実績データを収集し、新たなスキル項目の追加や既存のスキルレベルの見直しを行います。
これによって、組織のスキルマップを最新の状態に保ち、従業員の成長と組織の目標達成に貢献します。
手動で行うのが手間に感じる方は、Webツールや管理システムを導入してみるのもよいでしょう。
スキルマップのマニュアル整備
スキルマップの運用後、スキルマップに関するマニュアルやガイドラインを整備することが重要です。
これによって、従業員がスキルマップを適切に理解し、活用できるように支援できます。
マニュアルには、スキルマップの使い方や評価基準、スキル開発のサポート方法などを明確に記載します。
スキルマップの一貫性や透明性を確保し、組織全体での適切な運用を促進します。
スキルマップの普及
スキルマップの運用後、組織内でスキルマップの普及を図ることが重要です。
これには、従業員や関係者への情報提供や教育プログラムの実施、スキルマップの利点や成果を積極的に共有することが含まれます。
組織のトップダウンなリーダーシップやコミュニケーションの強化によって、スキルマップの重要性と活用の重要性を従業員に浸透させます。
また、従業員の関与と参加を促し、スキルマップを組織文化の一部として定着させます。
5. スキルマップを活用した事例
ここからは実際にスキルマップを活用している企業の事例を紹介していきます。
株式会社富士通マーケティング
最初に、スキルマップを人材育成に活用した株式会社富士通マーケティングの事例をご紹介します。
株式会社富士通マーケティングのコンストラクション事業本部では、社員の能力の判断基準が「公的資格・ベンダー資格」の有無に偏ってしまう傾向があることが課題として挙げられていました。
その課題を解決するため、「職業能力評価シート(スキルマップ)」を導入し、より効率的かつ効果的な教育計画を実行しました。
最初にシートを使用し、自己評価と上司評価を行います。
その後、各数値の平均を算出し、事業部全体のスキルレベルの総括表を作成しました。
その結果、本来の基準を満たしていないスキルが浮き彫りになり、今後の強化育成ポイントを洗い出すことができました。
また、数値が低くとも外注することが多いため問題のない技術項目もあり、その項目は強化育成ポイントから外すことを決めました。
このように細かな項目を決め、スキルレベルを数値化することによって、余計な部分は外し、本当に必要な部分を抜き出すことに成功しています。
株式会社東京ソワール
次はスキルマップを採用に活用した株式会社東京ソワールの事例を紹介します。
株式会社東京ソワールは、婦人フォーマルウェアなどの製造・販売を行う会社です。
この会社では在籍している社員からの紹介を主として人材採用を行っていたため、人数を絞ったうえで1人1人と向き合い、この会社に「合う」、「合わない」を判断していました。
しかし、そのような面接だからこそ属人化しており、面接の質や評価基準の明確化ができていないなどの課題点を抱えていました。
その課題を解決するため、スキルマップを応用し面接用のチェックシートを作成し、人物像やコミュニケーション能力などの必要項目を明確な基準で確認できるようになりました。
以前まで採用担当者に一任されていたものを、共通の評価項目を作ることによって画一化し、自社に必要な人材を客観的に採用できるようになりました。
このように、スキルマップをそのまま使用せず、応用することによってさまざまな場面に適用することができます。
6. まとめ
スキルマップは、社員の能力を最大限に引き出すための重要なツールであり、ビジネスにおいても重要な役割を果たします。
スキルマップを作成することで、社員のスキルの偏りを把握し、適切な人材配置を行うことができます。また、社員のモチベーションアップや、目標設定の指標としても活用することができます。
最後に、本記事の内容を以下にまとめました。
スキルマップを作るメリットとして、以下の5つが期待できます。
- 目標設定の指標にできる
- メンバーのモチベーション向上につながる
- メンバーの能力向上を促すことができる
- 効果的な人材配置を行う指標となる
- 組織単位での人材育成が行いやすくなる
スキルマップを作成する際は、以下の点に注意しましょう。
- スキルの設定に時間がかかる
- メンバーのスキルの熟練度を判断する人の選定を慎重に行う
- 定期的に見直しをする
スキルマップの作成・運用手順は以下の通りです。
- スキルマップの目的を確認する
- 骨子を整える
- スキル項目の設定
- 達成レベルの検討
- メンバーからのフィードバックを回収
- スキルマップの更新
- スキルマップのマニュアル整備
- スキルマップの普及
以上のように、スキルマップは社員の能力開発や組織の成長に欠かせないものであり、ビジネスにおいて重要な役割を果たします。
作り方や注意点を参照しながら、スキルマップを正しく作成・活用していきましょう。
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