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インタビュー

「自分1人では成し遂げられないこともある、人を巻き込む大切さについて」ARアドバンストテクノロジ社 技術責任者が語る

「先進性ある技術を通して、顧客の問題解決と社員の幸せを創造し、社会の未来発展に貢献する」という普遍的価値観を大切にクラウド技術とデータ・AI活用によるデジタル化サービス事業を展開するARアドバンストテクノロジ株式会社(略称:ARI)。本日はARアドバンストテクノロジ株式会社の中野 康雄氏にリーダーのあり方についてお話を伺いました。 

中野 康雄 | ARアドバンストテクノロジ株式会社

ITコンサルティングファームにて大手製造業PJ管理を経験された後WEBサービスプラットフォーム事業者でサービス企画/開発(総勢約50名)の責任者を経験

その後独立を経てARアドバンストテクノロジ社へ入社。現在は取締役専務執行役員として全社を俯瞰しながら、主に技術者組織の品質管理、採用、育成、標準化、技術広報などを統括

プロジェクトリーダーとしての成功と失敗 

--はじめてリーダーを任されていた時のお話をお聞かせください。 

新卒で入社したITコンサルティング会社で2年間ほどアプリケーションの保守等を経験したのちに、3年目ではじめて大手製造業の文書管理システムの開発チームリーダーを任されました。 

大きなプロジェクトの最初のリリースで、チームのみなが熱量高く仕事していました。 

メンバーは本当に優秀な方ばかりで、みなの支えもありながら、結果として予定通りカットオーバーすることができ、うまく行ったプロジェクトだったと思います。 

部下もパートナーも、プロジェクトの成功に対して意欲が高く本当にいい人達に恵まれたのが、初めての開発チームリーダーとしての経験です。 

今振り返って思うのは、自分がなんでもやりすぎたことと、全ての問題に対して時間をかけることで解決していたことは良くなかったと思っています。

当時は今のように仕事の時間に制限などがなかったので1日中仕事していましたし、仕事が好きだったこともあって土日も夜まで働いていました。 

 

--CTOに至るまでに多岐にわたる領域で様々なプロジェクトに携わってきたかと思うのですが、一番印象に残っているプロジェクトの話を教えてください。 

どうしても、苦戦したプロジェクトが印象に残ってしまいます。 

30〜31歳ぐらいのタイミングで大規模なシステムの刷新を行うプロジェクトのマネージャーに着きました。 

まだ経験は浅かったのですが、クライアントに評価していただき、部署の上長が自分のことを押してくれたこともあって、周りもサポートしてくれる形で始まりました。 

しかし、難易度の高い大規模プロジェクトということもあって、上手く全てのことに対応しきれませんでした。 

徐々にキーメンバーが離職し、新しいメンバーを入れてもワークしないことがあったり、リスク管理が上手くできていなかったり色々なことが裏目にでて空回りしてしまったことがありました。 

本当に大変な2年間でした。自分の力不足でお客様や自社、多くの仲間達に迷惑をかけてしまいました。

本質的な問題に向き合う勇気も不足していたし、 当時は自分が何とか頑張ろうと仕事に取り組むあまりに、自分に足りていない部分があることを認めきれず、チームに自分の味方となって協力してもらうためのひと手間や具体的なアクションが分かっていませんでした。 

要はシステムを作る前のチームを作るところが上手くいかなかったのが自分の中での教訓になっています。

ARI 中野さんの写真

チームを動かすコミュニケーション

--おっしゃられていたようにプロジェクトが上手くいく時もあれば、行かない時もある中で中野さんのチームマネジメントの軸はいつ形成されたのですか? 

1社目のITコンサルティング会社、2社目のWebサービスプラットフォーマーでキャリアを積み、独立しました。 

この時期にマネジメントの軸が形成された気がします。 

実は独立した時は、そこまで携わったITと全く関係がない経営コーチングという仕事を約2年間、色々なクライアントを相手にやっていました。 

端的にいうと「ハイパフォーマンスのチームを作る」というコンセプトのもと、意図的に高い目標を設定することで組織にイノベーションを促進するサービスです。 

問題を理想と現実とのギャップであると定義したときに理想が低いと問題が起こらず、イノベーション起こらないのです。

そのため意図的に問題を起こしてイノベーションを促します。 

理想と現実の間にギャップがある状態を前向きに捉えて意思決定者である経営陣とメンバーみなで問題解決する方法をインストールするところまでをサービスとしていました 

高い目標をどのように皆でアグリーメントし、プランを立て、役割を分担するのかアクションプランまでセットで出すのです。

このメソドロジーはかなり確立した手順で、自分のなかでも今のベースになっています。 

 

--経営コーチングはどのような企業を相手にやられていたのですか? 

IT企業もありましたし、塾や結婚式場、中古自動車販売店まで本当に色々な会社がありました。 

今までのシステム開発の世界とはある種真逆の世界で、新しいマネジメントの手法をクライアントに伝えていく過程で自分自身も多くの学びがありました。 

経営やチームに関しては、経営を常にアップデート・アップグレードしていかないといけないということに気付けましたし、多様性のある集団の中で何か一つ目標を作りみなでルールを決めてチームを動かすにはどのようなコミュニケーションの仕方をすればいいのかを学ぶことができました。 

 

--チームを動かすためのコミュニケーションでは具体的にどのようなことを意識していますか? 

相手のことを考えて、相手に合わせてコミュニケーションをとることです。 

例えば、当社では外注という言葉は使いません。 

外注ってどこか疎外感がありませんか? 

なのでビジネスパートナーさん略してBPさんと呼ぶようにしています 

自分がされて嫌なことは言葉遣いの面でも同じだと思っています。 

少し説教くさい話にはなってしまいますが、やっぱり相手の立場になって物事を考えるということは大切で、自分が言いたいことだけを言うのではなく、受け取り手に配慮をしたコミュニケーションを意識しています。 

ただコミュニケートしたという事実に満足を覚えないようにも注意しています。  

例えば町中華が食べたいなと思っている人に最高のフレンチコースを用意して、「すごいでしょ、やってあげたんだよ」という感じを出してもこの状態は親切の押し売りでしかないと思っています 

 

--部下とのコミュニケーションではどういったことを意識しているのですか? 

仕事のミスだけを指摘するのではなくて褒める、個性を活かして成長の機会をつくってあげることは意識しています。

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自分のために、そしてチームのために

--一緒に働く人と共有したい価値観などはありますか? 

やはりチームに対して責任感をしっかりと持つことは大事だと思います。 

自分さえ良ければ良いという感じではない人が望ましいですね。 

当然チームのなかで役割分担はあるとは思いますが、自分のアサインメント通りの仕事をやっていたとしても、結局はチームがうまくいかなかったら意味がないと思える価値観は大事だと思っています。 

それぞれ役割や担当があるものの、最終的にはチームとしてのゴールを達成するということに全員が100%の責任感を持っている状態が理想だと思います。 

ただチームだけではなく、当然自分のことを大事にしてほしいと言うことも伝えたいです。ARIの人らしさ3要素の1つに「51対49で自分のことも大切だが、それ以上にチームの成功を自分ごととして喜べる人」とあります。 

チームの成果とともに自己実現も最大限達成してほしいということを私自身もARIとしても考えています。 

自分が将来やりたいことと会社に指示された仕事にギャップがあった場合、自分の夢を諦めるのではなくて、自分もチームも大事にできるバランス感を持つのは一人の成熟した大人としてかっこいいと思います。 

だからこそリーダーとして、個人と会社の両方を大事にできるバランス感のあるチーム運用をするというのが、自分のリーダーシップの理想形であるとも考えています。

ARI 中野さんの写真

頭の発想を切り替える

--最後に、若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。   

カーネギーの「人を動かす」という本もし未読なら是非読んでみてください。「盗人にも5分の理を認める」「相手の立場に身を置く」など、マネジメントにおいて重要なことが色々と書かれており、まさしくその通りだと感じています。 

私自身も最初のうちは資格を取ることや、自分がどう動いて生産性を上げるのか、パフォーマンスを上げのるかということに関心がありました。 

勿論、この軸は大事ではありますが、自分が影響を及ぼせる範囲の中でどうやって皆に前向きに動いてもらえるか、という視点に発想を切り替えないと自分のキャリアにも限界が来るということを当時の自分にも伝えてあげたいです。 

私自身このように発想を切り替えられるようになるのは簡単なことでは無かったです。 

ただ、自分の技量とスペシャリティだけでトップを目指せる人はごく僅かだと思います。 

自分個人の限界を知って、皆が気持よく仕事ができるような付加価値をつけていった方がトータルとして提供できる価値が大きくなると思います。 

どうやって人に動いてもらうかに目を向けて、ぜひ自分とチームの幸せを考えてもらえるようになってほしいと思います。 

ARI 中野さんの写真

 

 

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