「アジアを代表する会社」を目指し、「関わるすべての人の前進と成長に貢献すること」をミッションに掲げて、士業・管理部門特化の転職サイト「ヒュープロ」を運営する株式会社ヒュープロ。そんな会社の開発部 部長である堀江秀和様にリーダーのあり方についてお聞きしました。
堀江 秀和|株式会社ヒュープロ 開発部 部長
2018年に神戸大学大学院理学研究科卒業。
新卒では大手コンサルティング企業にて、金融機関の業務管理アプリ開発を担当。
2019年に株式会社ヒュープロに参画し、現在はヒュープロの開発部を牽引。
新規機能や新規事業開発まで幅広く開発業務を行いながら、数値分析を行う経営企画も担う。
事業目標への意識を明確に
--初めてリーダーを務めた経験から現在に活きていることを教えてください。
チームとして開発での目標もさることながら、何のために開発をするのか?という上位ゴール、すなわちビシネス観点での目標を明確に立て分かりやすく伝えることの大切さが、メンバーのモチベーションにつながるということを学びました。
私が初めてリーダーという役割を経験したのは弊社に入社してからです。
入社当時は、私が1人目の正社員エンジニアでした。チームは、デザイナーの社員の方と私、そしてインターン生が2名という4名体制でした。
その環境で開発を前に進めていくには多くの苦労がありました。
私自身、手を動かしての開発経験も、経営管理に関するドメイン知識も乏しかったため、インターン生に教わりながら手探りでコードを書き、また、サービス自体もローンチしたばかりでブラッシュアップする箇所が多々あったため、何から手をつけるかという優先度や目標が明確に定まっていない状況だったことに苦労しました。
ただ、幸いなことに、知識を増やしたり技術力を高めることに貪欲なメンバーが多かったため、チーム全体のモチベーションは高く保てていました。
まだまだ売上が少ない状態だったので、求職者、転職者の登録数を増やし売上向上に直結するエンジニアリングだけに集中する事に旗を立て、フロントエンドの開発からコンバージョンを軸に、目標を明確に立てていきました。
その目標と自分の開発した成果物との連動性をグラフ等で見える化する仕組みも導入し、メンバーが自分の成果を体感できる体制を構築しました。
強いエンジニアチームとは
--強いエンジニアチームを作るために必要な能力はどのようなことだと思いますか。
技術力、知的好奇心に加えて、ビジネス観点に基づいた理解とコミュニケーション能力が必要だと思います。
淡々とチケットを消化していくのではなく、開発中のシステムがユーザーに重宝されるのか、具体的には、どのようなユーザーが、いつどのような目的でシステムを利用し、それがビジネス目標のどこに貢献しているのかといった点を意識したコミュニケーションを行う能力です。このような能力を持つエンジニアが募ったチームは組織の中で価値を発揮していくことができます。
またチームがビジネス観点を養っていくためにも、ユーザーの事業ドメインについて意識的に話すよう心がけています。私たちの事業は士業・管理部門の方がユーザーとなるため、その方々の仕事内容や転職理由などのヒアリングを基に最終的なUIを固めます。その際、成果物だけでなく、ヒアリング内容も詳細に共有するよう心掛けている一方で、issueを渡す際は、あえて細かく作りすぎないということも意識しています。
メンバー自身がユーザーの目的や利用するシチュエーションを想像し、逆算して開発を進めてもらうためです。
--一人のエンジニアが要件定義からリリース後の数値管理まで裁量をもって担当しているとお聞きしました。チームとして具体的なフォロー体制はありますか。
組織全体として、様々な部署とのコミュニケーションのハードルを下げ、業務フローなどのキャッチアップがし易い環境を作っています。
例えば、1人のエンジニアが開発の全工程を行う機会があります。
私たちが注力している開発プロジェクトの1つに、営業担当者が使用する管理画面(SFA)があります。セールスフォースのような営業管理システムをイメージしていただければ分かりやすいかと思います。SFAを作る際の要件定義がうまく進まない場合の多くは、営業職の業務フローへの理解が不足しているためです。
単純な業務フローのヒアリングだけではなく、営業担当者とエンジニアが対面で話し合い、真のwants(顧客欲求)を理解することを心がけています。情報収集の段階で表面的な業務フローのみを把握して満足してしまい、開発した機能が実際に活用されずに終わるケースを幾度も体験してきました。エンジニアとして、開発した機能が誰かの役に立たないということは、非常に悲しいものです。
このような失敗をメンバーにはして欲しくないからこそ、営業担当者とエンジニアが対面で話す機会を設け、真の顧客のニーズを理解する努力をしています。
心理的安全性を高める環境づくり
--貴社は若手メンバーの活躍が目立っているかと存じますが、彼らが成長するために心がけていることはありますか。
メンバーの心理的安全性が高い環境づくりを心がけています。
その一つとして、フラットに意見や結果を言える雰囲気づくりをしています。
私たちの社内の文化は、メンバー1人ひとりの声に対して大きなリアクションを起こすことが魅力です。
例えば、slackで何かを発信した際には部署の垣根を超えて、多くのスタンプなどのリアクションがつきますし、新規機能をリリースした際の全社周知には感謝の声や率直なフィードバックのコメントがたくさん投稿されます。
また、私たちの会社独自のbgGという振り返りのフレームワークを用いて、挑戦したことに対するフィードバックをメンバー全員で行うことも行っています。
bgG(Bad・Good・GAT)はロジックツリーのような形式で、うまくいったこと、うまくいかなかったことをツリー状に要因を分解していき、最もコアとなる原因を突き詰めていくものです。
毎週のbgGタイムで、次回からの改善点や継続する点を見える化していきます。
bgGのフレームワークイメージ
BRAT:「目標に対する進捗を支援できていない」という課題に対し、因果関係をもとに課題の要因分解を行うフレームワーク
会社としてもメンバー1人ひとりが挑戦していい、という自己認識を持てるかどうかが重要だと考えています。
自分のアウトプットに対してフィードバックが必ず返ってくる環境だからこそ、安心して挑戦し、成長につながると思います。
--多様なバックグラウンドがあるメンバーが多くいる中で、彼ら各々の個性を生かすためにもメンバー理解を高めるためにコミュニケーションで意識していることはありますか。
会社として行っていることは2つあります。
1つ目は、1on1です。上司との1on1を月に一回のペースで定期的に行っています。
内容としては、ミッションの進捗状況に加えて、メンバーに対して不安に思っていることはあるのかなど、ダイレクトに話を聞き、本音を正面から伝えてもらうようにしています。
私たちの会社は上司との年齢が近く、また目標達成への本気度が高い水準でそろっていることもあり、このように本音で話し合えるのだと思います。
2つ目は、チームラーニングです。
チームが発足して一カ月程度経過すると、メンバー間でお互いのことが少しずつ分かり始めたけれど、仕事の進め方がすり合わない、というような時期があると思います。
そのようなタイミングを狙って、チームラーニングを行います。
内容としては、事前にメンバー個人で自分の長所や短所、自分がチームに貢献できること、チームが自分にやってもらいたいこと、仕事の進め方などを書き出します。
そのうえで、チーム内で書き出してきたことに対してざっくばらんにディスカッションを行い、仕事の進め方に対しての相互理解を促進しながら、最終的にチームのルールを文章化してチーム全体のアウトプットの最大化に役立てることをしています。
このようなことをベースにコミュニケーションをとり、多様なバックグラウンドがあるメンバーの中でも、マネジメントやチーム運営を行っています。
自分らが楽しめる感覚
--最後に今後リーダーを目指す若い世代に向けてアドバイスをお願いします。
常にワクワクし、チャレンジングな道を選んでください!
挑戦できる環境に身を置くことは非常に重要ですが、
自分が本当に挑戦したいことなのか?
自分が挑戦できるフィールドが本当にあるのか?
は、実際に飛び込んでから分かることの方が多いのではないでしょうか。
そのため、環境を選ぶ際には、自分が楽しいと感じるか、ワクワクするかどうかを重視して選択することが良いと思っています。
私自身も転職や新たな挑戦をする際には、最終的に心が躍った瞬間やワクワク感を基準に決断しています。自分のワクワクを追求することで、失敗し続けても、成功するまで継続する、ということができると考えています。
ですので、皆さんには、自分の心が躍る道を選び、自分のワクワクを追求することをお勧めします。その道が必ずしも簡単な道ではないかもしれませんが、自分自身が情熱を持って取り組むことができれば、リーダーシップの道を歩んでいく上で必要な力を身につけることができるはずです。
皆さんには、自信を持って自分の夢を追いかけ、自分自身のワクワクを大切にして欲しいと思っています。応援しています!