「働くひとの健康を世界中に創る」をパーパスに掲げ、健康創りのプロフェッショナルである産業医や保健師といった専門家と共に健康管理システム【Carely(ケアリィ)】を展開する株式会社iCARE。本日は株式会社iCAREのCOO 石野良朋氏にリーダーのあり方についてお話を伺いました。
石野良朋 | 株式会社iCARE COO
埼玉大学卒業後ソフト技研に入社。その後ベイカレント・コンサルティングにて数多くのプロジェクトを経験し、Marvelous ではインフラ部門のマネージャーとして従事。
CYBIRD では開発統括部長として組織戦略や採用など幅広く従事。
2017年よりiCAREにCTOとしてジョイン。プロダクトオーナー、開発組織の立ち上げ、人事部長も兼任し、2020年7月より取締役COO。
失敗の経験がリーダーとして成長の糧
--これまでのリーダー経験を振り返って、起点となったエピソードを教えてください。
開発組織を中心に、いくつかの企業・組織でリーダーを務めてきたのですが、起点となったのはどれも失敗した経験です。
30代前半にMarvelous社にて初めてリーダーを務めた際には、進捗や成果を気にしすぎるあまり、納期ややり方を細かく管理するなど、メンバーに対して強いマネジメントをしてしまったことがあり、結果的にメンバーとのコミュニケーションがうまく行かない経験をしました。
その失敗がトラウマになり、次にリーダーを任された際には優しいことしか言えないマネジメントになってしまいました。メンバーに遠慮し、自分で多様な業務を抱えてしまった結果、業務が進まなくなりました。
さらに次の CYBIRD 社では、ハイレイヤー層のマネジメントに従事する中で、常に高い視座と目標をもつメンバーたちと自分自身も真正面から向き合い、時に叱りながら成長させないとついてきてもらえない、その統率力の本質みたいなものを学びました。
この三段階の経験を踏まえて、やっといい塩梅のマネジメント方法がわかるようになりました。
成功のパターンに絶対はないと思っています。逆に、失敗にはパターンがある。その失敗パターンをしっかり分析し、経験を繰り返すことによって成功の確率をあげていく、というのが私の考えです。
メンバーを導く、マネジメントのポイント
--メンバーへフィードバックするときにどのような事を意識されていますか?
メンバーが立てた目標に向けて、できていない点をしっかりと擦り合わせてフィードバックすることを意識しています。
目標設定をする際には、まずアドバイスやヒントを与えて、目標達成に導いていく方法をとっています。
例えば、「今こういうところができていない」「こういう将来のキャリアを考えているならこっちの方面がいい」「こういうことができたらいいよ」などの目標達成に向けたヒントを与えて、相手のイメージを固めていく形です。
例えば、iCAREでも毎月リーダー・メンバーの1on1を実施 していますが、その際には、「何が大事なことか、何を目指すのか」、その人のライフステージ・ライフイベントの状況と掛け合わせて整理して行きます。
個々によって人生の中で大事なことは一つではないんですよね。
価値観も違うし、比重も変わる。そのベースを聞いたうえでできることをその人に合わせて提案していきます。
特に、最近の若いメンバーは目標設定に悩んでいる人も多くいます。その人たちにアドバイスする際も同様に、価値観や大事なこととその比重、それらを引き出してあげることを意識しています。
引き出していく過程で、しっかりとした信念やこだわりが出てくるのでその信念を具体化してあげることを心がけています。
信念がチームとプロダクトを形にする
--チームを率いる上で大切なことを教えてください。
「統率力」が大切だと思っています。
私の考える「統率力」とは、自分の中で信念・軸がしっかりあった上で、周りや上司の意見を加味して方針を決め、伝えることです。
それがあってこそ、チームを率いることができると思っています。
また、自分の得意なところをチームで生かすことも大切だと思います。
自分の信念をメンバーに常に発信し、共感してもらえるような関係性・組織を作っていくことが、これからの時代のリーダー像に通じるのではないでしょうか。
--石野さんの信念を教えてください。
私の信念は「最高の組織を作って最高のプロダクトを作る」ということから始まりました。
最高の組織がその中で働くひとのやりがいやモチベーションに影響し、成果、つまりプロダクトにも反映されていくと思っているからです。
その過程で一人ひとりが成長機会を楽しみ、事業成長に繋げていくというのが理想です。
この信念を発信しているからこそ、当社にも信念を持った人が多く集まっています。
「健康」という領域で最高のプロダクト・サービスを創るために、一緒に組織を強くしていきたいと思います。
--チームメンバーの役割設計で大事にしていることはありますか?
お互い得意なところを生かす役割設定が大切だと思います。
お互いが得意なところが違う、それを補完できるチームが1番良いチームだと思います。
例えば、私はどちらかというと引っ張っていくマネジメントスタイルで業務を行っているため、そこに合わないメンバーが出てくる可能性もあります。
そのような場合、メンバーの悩みを相談できるような優しく包み込んでくれる役割がうまく補完に入って機能してくれると良いチームワークに影響していくかな、と。
メンバー内で自分自身の役割を明確化して、得意分野、人間性を生かしていけることが大事です。
チャレンジと経験が成長へ
--最後に、若手リーダーに向けてアドバイスをお願いします。
開発者であれば、プロダクト開発の過程での失敗をたくさん積むことはもちろん重要ですが、リーダーであれば、対人関係で失敗することも成長に繋がる経験です。
私自身の例でいうと、初めてリーダーを務めた時に、強いマネジメントをしてしまって、メンバーのコミュニケーションにおいて失敗を経験しました。
しかし、その当時に戻れるとしても、優しいマネジメントを行うことはしません。経験を積むことで大事なポイントを学んだからです。
今の若手リーダーの中には、失敗をよけながらゴールを目指しますという方もいます。
人には感情があるので、自分が耐えていくことで、対人関係においてぶつからない方法に進むこともあるかもしれませんが、必ず立ち行かなくなります。
失敗を重ねてこそゴールに近づけるからです。
だからこそ当社でも敢えて若手リーダーには難易度の高い役割を与え、チャレンジし、失敗を重ねることで成長の機会を作っています。