【Excel】バーンダウンチャートの作り方|見方や活用方法も紹介します

役割

【Excel】バーンダウンチャートの作り方|見方や活用方法も紹介します

2023年7月6日

バーンダウンチャートは、プロジェクト管理やタスク管理において重要なツールです。 

プロジェクトの進捗状況を可視化し、残り作業量やスケジュールの把握を容易にします。 

本記事では、「バーンダウンチャート」とは何か、その定義と概要について詳しく解説します。さらに、Excelでバーンダウンチャートを作成する手順や、効果的な活用法についても紹介します。 

1. バーンダウンチャートとは

バーンダウンチャートの定義と概要

バーンダウンチャートは、プロジェクトの進捗状況を視覚的に表現するグラフです。 

縦軸には作業量を、横軸には時間や期間を設定し、プロジェクトのスケジュールに応じた理想的な進捗を示します。 

また、実際の進捗と理想的な進捗の関係を、「実績線」「計画線」「理想線」の3つの線を用いて比較することで、プロジェクトの遅れや進行状況を把握することができます。 

バーンダウンチャート

 

バーンダウンチャートを使う場面

バーンダウンチャートは、プロジェクト管理のさまざまな側面で有効に活用されています。

特にシステム開発のプロジェクトでは、複数のメンバーからなるプロジェクトチームが協力してタスクを進めていきます。このような複雑なプロセスにおいて、バーンダウンチャートはよく使われます。 

 

システム開発では、プロジェクトが進行するにつれてタスクを適切に管理する必要があります。そのために、バーンダウンチャートが導入されます。バーンダウンチャートは残りの作業量と必要な時間を一目で把握できるため、チームは作業を効率的に進めることができます。

バーンダウンチャートはプロジェクトの進捗を視覚的に表現し、作業完了までの時間や残りの作業量を確認できるため、チーム全体の進捗管理に役立ちます。 

 

プロジェクトの完了後、バーンダウンチャートは振り返りの材料として利用されます。どのタスクやフェーズで問題が生じたかを分析し、その結果を踏まえて次回のプロジェクトに向けた改善策を導き出すことができます。

辞書

このような反復的なプロセスにより、チームは経験を積み重ね、効果的なプロジェクト管理手法を確立していきます。 

 

特にバーンダウンチャートはアジャイル開発において良く利用されます。アジャイル開発では、短い反復作業を行いながら柔軟かつ効果的にプロジェクトを進める手法が採用されるのが基本です。 

また、アジャイル開発で使われるバーンダウンチャートは、「アジャイルバーンダウンチャート」と「スプリントバーンダウンチャート」の2つに分けることができます。 

 

アジャイルバーンダウンチャートは、プロジェクト全体の進捗を示すために使用され、アジャイル開発の特性に合わせて作成されます。 

一方で、スプリントバーンダウン・チャートはスクラム開発の一環として、スプリント内での作業進捗を可視化するために利用されます。 

スプリントについてはこちらの記事をご一読ください 

スプリントとは?アジャイル開発との関係や体制・フローを理解しよう

 

2. バーンダウンチャートの作成手順

それでは早速バーンダウンチャートを作ってみましょう。 

ツールを利用するのも良いですが、Excelでも簡単にバーンダウンチャートを作成できます。 

ここではExcelを使った作成手順をご説明します。 

 

1. Excel上に新しいシートを作成し、左から「時間」「理想」「計画」「実績」の順で列を作成する

以下の図1のように入力してみましょう。

図1

図1

 

2.「時間」の列に、プロジェクト全体が完了する想定時間までの時間経過を入力する

以下の図2にはプロジェクト開始時を0、1週間目を1として入力しています。

図2

図2

 

3.「理想」の列に、タスクが完了まで等速で減少するように、それぞれの行に値を入力する 

*図2にはプロジェクト開始時のタスク量を1000と置いて入力しています。また、理想線は計画線の妥当性を確認するための指標であるため、実際のプロジェクトを理想線の進捗通り進めなくて結構です。

 

4.「計画」の列に、各期間におけるタスクの進捗の見積もりを入力する

タスクの工数や人員の増減メンバーの稼働可能期間や起こりうるアクシデントなどを考慮して余裕をもって見積もりましょう。

 

5.「実績」の列は作成時には空欄のままにする

この列は、プロジェクトが開始後に、進捗を入力する部分です。 プロジェクト開始前には図2のように空欄ですが、プロジェクト完了時には図3のようになっています。

図3

図3

 

6. 5までで入力した表の範囲を選択し、挿入タ」>折れ線/面グラフの挿」>折れ線グラフ」でグラフを作 

図4

図4

縦軸に「タスク残量」、横軸に「時間」を配置した折れ線グラフを作成します。 

最終的に図5のようになれば完成です。 

図5

図5

 

3. バーンダウンチャートの読み解き方

バーンダウンチャートの構造と要素の解説

バーンダウンチャートは、縦軸と横軸から成り立っています。縦軸には作業量や残り作業量を表す指標が配置され、横軸には時間や期間が表示されます。 

また、冒頭でも説明したように、バーンダウンチャートには「実績線」「計画線」「理想線」の3つの要素が含まれます。 

  • 実績線:実績線は、実際の作業量や進捗を示す折れ線グラフです。プロジェクトが進行するにつれ、実際の進捗に応じてグラフが更新されます。 
  • 計画線:計画線は、タスクごとの所要時間見積もりを表す線です。プロジェクトの開始時点で設定され、時間経過とともに減少していきます。 
  • 理想線:理想線は、プロジェクトの理想的な進捗を示す線です。通常はまっすぐ右肩下がりの形状をしており、プロジェクトの完了までに必要な作業量の推移を表します。 

これらの要素は、バーンダウンチャート上で相互に関連しています。実績線は実際の進捗を表し、計画線は予定通りの進捗を表し、理想線は理想的な進捗を表しています。 

これらの線の動きや重なり具合から、プロジェクトの進捗状況や遅れの有無を把握することができます。 

 

バーンダウンチャートを使った進捗把握方法

以下の手順でバーンダウンチャートを読み解きながら進捗を把握することができます。特に重要な3つの把握方法をご紹介します。 

 

実績線の確認 

バーンダウンチャート上の実績線を見て、実際の進捗状況を把握します。

実績線が計画線や理想線よりも上に位置している場合、作業が予定よりも進んでいることを示しています。 

 

実績線と計画線との比較 

実績線と計画線の関係を確認します。計画線が実績線よりも上に位置している場合、作業が予定通りに進んでいることを示しています。

逆に計画線が実績線よりも下に位置している場合、遅れが生じていることを意味します。

実績線と計画線との比較

 

実績線と理想線との比較 

理想線と実績線の関係を見て、プロジェクトの進捗が予想通りかどうかを確認します。理想線よりも実績線が上に位置している場合、プロジェクトが順調に進んでいることを示します。

逆に実績線が理想線よりも下に位置している場合、遅れが生じていることを意味します。

実績線と理想線との比較

 

バーンダウンチャートの読み解き方は、これらの要素と関係性を理解することにあります。 

正確な進捗把握を行いながら、プロジェクトの遅れや進行状況を把握し、適切な対策を講じることが重要です。

 

バーンダウンチャートのパターン別の読み解き方

予定通りに進んでいる

 プロジェクトが順調に進んでいるとき、実績線は計画線に近い傾向にあります。ただし、計画通りに進捗しているだけでなく、成果物が仕様にそったものになっているかにも注意が必要です。 

 

中間学習者

実績線の中間部分が膨れ上がっているパターンで、途中から進捗状況が遅れていることを示します。原因としては、タスクの詳細が不明瞭なまま残っている、技術的な問題、スケジュールの変更などが考えられます。 

 

早期学習者

実績線が早期に膨らみ上がり、その後減少していくパターン。プロジェクトや各タスクの課題を早期に発見し、効率的に解決している可能性があります。 

 

高原状態

最初は順調に進んでいたものの、後半で進捗が停滞し、実績線に変化がなくなる状態。原因を突き止め、早期に解決策を見つけるためにミーティングやコミュニケーションの頻度を増やすなどの対策が必要です。 

 

作業の増大

途中で新しいタスクが追加されたことを示すパターン。プロジェクトのタスクについて不明瞭だった可能性があります。計画段階での十分な理解が必要です。 

 

学習遅延の状態

グラフ終盤に突然実績線が上昇し、バーンダウンしないパターン。プロジェクトの進め方に問題があり、課題が終盤に発生し、解決に多大な工数がかかっている可能性があります。

早期に原因を究明し、解決策を見つける必要があります。 

 

 

4. バーンダウンチャートの重要性とメリット 

バーンダウンチャートは、プロジェクトやタスクの進捗管理において重要な役割を果たします。 

ここでは具体的なメリットを3つ紹介します。 

 

進捗の可視化

バーンダウンチャートは、作業量の推移や残り作業量の変化を一目で把握できるため、進捗状況を的確に把握することができます。 

進捗を見守る小人たち

例えば、1週間経過した時点でバーンダウンチャートの実績線が計画線よりも下になっていれば、プロジェクトは予定通り進んでいることがわかります。 

一方、バーンダウンチャートの実績線が計画線よりも上回っている場合、進捗が計画よりも遅れていることに気づくことができます。 

このような進捗の可視化により、プロジェクト全体の状況を迅速に把握でき、チームメンバーは目標に向かって効率的に作業を進めることができます。 

 

問題の早期発見

バーンダウンチャートを使用することで、プロジェクトの遅れやリスク要因を早期に発見することができます。 

バーンダウンチャートの実績線が計画線よりも上になっている場合、チームはリスク要因が発生している可能性があることに気付くことができます。 

リスク要因として一般的に考えられるケースとして、タスクや作業の複雑性が予想以上であった場合が挙げられます。また、リソースの不足や技術的な課題が発生した場合も、計画と実際の進捗に乖離を生じさせる要因となります。

バーンダウンチャートがこれらの進捗の変動を示すことで、チームは問題が発生していることに早期に気づくことができるでしょう。 

ここから、必要に応じて人員を調整したり、スケジュールを調整見したりなど、適切な対策を講じることができます。 

早期に問題を把握することで、チームは対策を講じるための時間を確保できます。 

 

チームワークの強化

バーンダウンチャートはチーム全体で共有されることが多く、進捗状況の共通認識を持つことができます。 

これにより、チーム全体が定期的にバーンダウンチャートを共有しながらミーティングを行うことで、進捗状況を把握し、課題や遅れがある場合には早めに議論して解決策を見つけることができます。 

 

また、進捗状況が透明化され、各メンバーが互いの貢献を認識しやすくなります 

これにより、プロジェクトの進捗を安定化させるだけでなく、チームのモチベーションにも影響を与えます。メンバーが問題を把握し、共有したことで、協力体制が築かれ、解決に向けた共同の努力がなされることでしょう。透明性のある情報共有により、信頼感が醸成され、チーム全体が協力してプロジェクトの成功に貢献することが期待できます。 

 

5. バーンダウンチャートの効果的な活用法

プロジェクト管理におけるバーンダウンチャートの活用法

バーンダウンチャートはプロジェクト管理で役立つツールです。 

具体的な活用法としては、主に2つの場面で役立てることができます。 

 

進捗の把握 

バーンダウンチャートを使うと、プロジェクトの進捗状況を一目で把握することができます。 

縦軸には作業量や残り作業量、横軸には時間や期間を設定します。実際の進捗と理想的な進捗の関係を比較することで、プロジェクトの遅れや進行状況を把握できます。 

計画を立てている画像

例えば、あるゲームの開発プロジェクトでは、バーンダウンチャートを使って、開発予定のゲーム機能の進捗状況を管理しています。 

計画線と実績線を比較することで、どの機能が予定通り進んでいるか、どの機能に遅れが生じているかを把握し、必要な対策を講じることができます。 

 

スケジュール管理 

バーンダウンチャートでは、理想的な進捗を示す理想線が設定されます。これにより、プロジェクトのスケジュールに応じた進捗を把握することができます。 

進捗が予定よりも速い場合や遅い場合、理想線との差異を確認することで、スケジュールの遵守状況を把握できます。 

 

例えば、あるウェブサイトのリニューアルプロジェクトでは、バーンダウンチャートを使って、各工程の進捗を管理しています。 

予定されたスケジュールに従って進められているか、進捗が予定よりも遅れているかをバーンダウンチャートで確認し、プロジェクトの進行状況を管理しています。 

 

チームのパフォーマンス改善に役立つバーンダウンチャートの利用法

プロジェクト管理だけでなく、チームで共同作業する場合にも、バーンダウンチャートを活用することができます。特に活用できる場面2つをご紹介します。 

 

目標の可視化 

バーンダウンチャートを使うと、チーム全体が達成すべき目標を明確に可視化することができます。チームメンバーは、作業量や残り作業量をグラフで確認しながら、プロジェクトの進捗に向けて共通の目標に向かって取り組むことができます。 

 

例えば、あるスポーツチームのトレーニングプログラムでは、バーンダウンチャートを使用して、選手たちのフィジカルトレーニングの進捗状況を管理しています。残りのトレーニングセッション数や達成すべき目標と比較することで、選手たちは自身の進歩を確認し、目標に向けて取り組む励みとなります。 

 

問題の特定と対策の立案 

バーンダウンチャートを見ることで、進捗に遅れや問題がある場合に早期に気づくことができます。そのため、チームは問題の特定と対策の立案に集中することができます。遅れが生じているタスクや工程を特定し、リソースの再配置やタスクの優先順位の見直しを行うことで、効果的な対策を講じることができます。 

 

例えば、あるソフトウェア開発チームでは、バーンダウンチャートを使用して、バグ修正の進捗状況を管理しています。進捗が予定よりも遅れている箇所を特定し、その原因や解決策をチームで話し合いながら改善しています。 

 

6. バーンダウンチャートの注意点

作業完了の定義を一元化する

プロジェクトチーム内で「作業完了」の定義が統一されていないと、進捗状況を正確に把握することが複雑化します。 

例えば、あるメンバーがタスクを「コード書き終わった状態」にて完了とし、別のメンバーが「テスト通過した状態」を完了とする場合、進捗の可視化が困難になります。 

悩める方々

計画段階で具体的な定義を決定し、全てのメンバーが共通の理解を有することで、進捗の一元的な管理が可能になります。 

これにより、チーム全体が同じゴールに向かって進むことが保証され、誤解や混乱が軽減されます。 

 

バーンダウンチャートだけで進捗を評価しない

バーンダウンチャートは数値的な進捗を示す強力なツールですが、それだけではプロジェクトの本質的な状態を正確に把握することは難しいです。

例えば、メンバーのモチベーションやコミュニケーションの問題、技術的な課題などは数値だけでは見逃されがちです。従って、バーンダウンチャートと共にデイリースクラムなどを活用して、各メンバーの作業状態やプロジェクトの全体像を総合的に理解することが不可欠です。これにより、問題を早期に発見し、迅速に対処できるでしょう。 

 

バーンダウンチャートを改善に活用する

バーンダウンチャートは進捗の可視化を可能にしますが、これは単なる完了を目指すだけではありません。進捗の遅れが発生した場合、その原因を特定し、改善策を見つけ出すことが求められます。 

特にチーム内のコミュニケーション不足が進捗に影響している場合、進捗を促進するためのコミュニケーション強化策を導入することが重要です。 

バーンダウンチャートを単なる観察ツールではなく、プロジェクトの健全性を改善するための手段として積極的に活用することが成功の鍵です。 

 

人事評価に使用しない

NGハンドサインをしている人の画像

バーンダウンチャートはプロジェクトの進捗管理のためのツールの一つにすぎないため、人事評価の指標として使うことは避けるべきです。 

人事評価に使用すると、メンバーは評価を過剰に意識し作業量を過大に見積もる可能性や、クオリティよりも完了したか否かといったステータス状況に集中が向いてしまう可能性を発生させるためです。 

プロジェクトの目的は単なる完了ではなく、品質の確保やチームの協力にも関わっています。従って、バーンダウンチャートの数値だけでなく、プロジェクトの全体像を総合的に見つめ、人事評価には別の適切な指標を用いるべきでしょう。 

 

7. まとめ

いかがでしたでしょうか。 

バーンダウンチャートは進捗状況を一目で管理できる便利なツールです。積極的に活用してみましょう。 

 

最後に本記事の内容を以下にまとめました。 

 

バーンダウンチャートは、プロジェクトの進捗状況を視覚的に表現するグラフで、作業量や残り作業量を縦軸に、時間や期間を横軸に設定し、プロジェクトのスケジュールに応じた理想的な進捗を示します。

以下の3つの線から、実際の進捗と理想的な進捗の関係を比較することで、プロジェクトの遅れや進行状況を把握することができます。

実績線:実績線は、実際の作業量や進捗を示す折れ線グラフです。プロジェクトが進行するにつれ、実際の進捗に応じてグラフが更新されます。

計画線:計画線は、タスクごとの所要時間見積もりを表す線です。プロジェクトの開始時点で設定され、時間経過とともに減少していきます。

理想線:理想線は、プロジェクトの理想的な進捗を示す線です。通常はまっすぐ右肩下がりの形状をしており、プロジェクトの完了までに必要な作業量の推移を表します。

 

弊社のチームマネジメントツールについて

  • チームメンバーの心身状態が見えていますか?
  • 目標達成に向けたメンバーマネジメントができていますか?

こんな課題を解決したく弊社はチームマネジメントツール【StarTeam】を開発しました。

チームワークを見える化し、チームリーダーのマネジメント課題解決をサポートします!

 

Starteamは

  • チームやメンバーの状態の可視化
  • 状態に応じた改善アクションの提供
  • 改善サイクルの自走化

ができるサービスとなっております。

目標達成に向けたメンバーマネジメントにより

  • 離職率が約30%→約15%への改善
  • 残業時間約1/3への改善

につながった実績が出ている企業様もございます。

ぜひ以下のバナーをクリックし詳細をご覧ください。

 

-役割
-