ビジネスにおけるフレームワークは数えきれないほど存在します。
事業戦略を策定・立案する際、どのフレームワークを活用して進めればよいのか、圧倒されてしまうでしょう。
事業に限らず、実行の前段階である戦略の重要性は企業経営においてますます高まっています。
競争の激化や市場の変化により、企業は差別化や持続的な成長を達成するために、適切な事業戦略を策定する必要があります。
そこで、本記事では、目的に合ったフレームワークを選べるように、事業戦略の基本的な概念、策定に役立つフレームワーク、策定におけるポイントについて分かりやすく解説していきます。
1. 事業戦略とは?
事業戦略とは
事業戦略とは、企業が特定の事業領域において競争優位性を確立し、市場で成功するために採用する戦略です。
事業部門が直面する課題や目標に基づいて策定され、その実現に向けた行動計画を指す場合もあります。
具体的な事業戦略は企業や業界によって異なりますが、一般的な目標は
- 市場シェアの拡大
- 収益性の向上
- 顧客満足度の向上
などです。
事業戦略と経営戦略の違い
事業戦略と経営戦略は密接に関連していますが、異なる概念です。
経営戦略は、企業全体の方向性や目標を設定するための戦略であり、組織全体のリソース配分や事業ポートフォリオの管理を含みます。
経営戦略についてより詳しく知りたい方はぜひこちらの記事もご覧ください。
経営戦略とは?|事業戦略との違いと役立つフレームワークを紹介
一方、事業戦略は特定の事業領域に焦点を当て、その事業の競争力を強化するための戦略です。
事業戦略は経営戦略の下位レベルであり、具体的な事業の運営や市場競争における優位性の獲得を追求します。
2. 事業戦略の策定に役立つフレームワーク7選
それではさっそくフレームワークを見ていきましょう。
今回紹介するフレームワークは大きくこのように分けられます。 気になるものから読んでみるのも良いでしょう。
3C分析
3C分析は、もともと経営コンサルタントの大前研一氏によって生み出されたものです。
事業戦略のフレームワークとして古くから活用されており、現在ではWebマーケティングの分野でもよく使われています。
この方法は、「顧客」「競合」「自社」という3Cに焦点を当てて分析するものです。
この3つの要素を分析することで、重要な成功要因( Key Factor for Success )を見つけ出し、実行可能なマーケティング戦略を構築することができます。
手順としては、3つの「C」のどれから始めても構いませんが、顧客、競合他社、自社企業の順番で分析することをおすすめします。
自社を最初に分析すると、競合他社や顧客を分析する際に、自社のデータを基準にしてしまいがちです。 マーケティングの観点から考えると、顧客の視点を理解することが重要です。
したがって、まず顧客を知り、次に市場における競合を知り、最後に企業を知る流れが自然でしょう。
【手順】
Customer(顧客)の分析
顧客のニーズや要求を理解し、市場のトレンドや顧客の行動パターンを調査します。
顧客セグメントやターゲット市場を明確にし、顧客価値を提供するための視点を得ます。
特に顧客分析において、ビジネスのターゲットとなる市場とそのニーズを把握することは、マーケティング戦略を実行に移した後の成功率に大きく影響します。
顧客のペルソナの把握も顧客ニーズの把握のための重要な部分です。
顧客の可処分所得、好き嫌い、情報の入手先、衝動買いの有無、すでに提供されているサービスや商品への反応など、貴重なデータです。
綿密なインタビューやアンケート、ユーザーテストなどの回答から、消費者心理を分析することで、ペルソナを作成しましょう。
ペルソナのニーズに基づいたマーケティング手法を取る事で企業の人気を高め、製品やサービスを広く認知させることが可能になります。
顧客分析においては、以下のポイントにも注意が必要です。
- 目的に合わせた質問や調査方法を選択する
顧客の特性や調査の目的に応じて、適切な質問や調査方法を選択しましょう。質問が明確で具体的であること、バイアスがかかっていないことに注意しましょう。
- サンプルの選定に注意する
顧客分析のためのサンプルは、ターゲット市場を適切に代表するものである必要があります。偏ったサンプルを使用すると、結果が歪んでしまう可能性があるため、サンプリング方法に注意しましょう。
- データの分析と洞察の抽出
収集したデータを適切に分析し、洞察を抽出することが重要です。データの傾向やパターンを見つけ、顧客のニーズや傾向を把握しましょう。この洞察を基に、マーケティング戦略や製品開発に反映させることができます。
Company(自社)の分析
自社の内部要素、つまり組織内のリソースや能力、製品やサービスの特徴、ブランド価値などを評価し、強みと弱みを明確にします。
もし見つけるのが難しい場合は、実際の顧客の意見を取り入れてみましょう。
顧客に自社製品を好む理由、そんな製品やサービスが気に入っていて、改善点はどこにあるのかを聞くことで、競合との比較ポイントや、現在のマーケティング活動への顧客の反応を知ることができます。
しかし、この場合、既に自社製品やサービスを利用している顧客にのみ対象が限られるため、潜在的な顧客から見た意見を集めることはできません。
そこで、他の方法としては、Google Analyticsなどのウェブ解析ツールを使用してウェブデータを確認することも参考になります。 魅力的なコンテンツは、平均セッション時間やページビュー数が高い傾向にあります。
このようなデータを基に、ユーザーが自社サイトのどのページに興味を持ち、どのページに興味を持たないかを調べてみましょう。
これは、既存ユーザーのニーズに合った商品やサービスを考える手がかりとなります。
予算に余裕があり、入念に顧客のニーズについて追究したい場合、調査会社に依頼するのも一つの手段でしょう。
しかし、その場合、事前に調査の目的と予算、期間を明確にする必要があります。
Competitor(競合他社)の分析
競合他社の戦略や市場シェア、製品やサービスの特徴、マーケティング手法などを分析します。 競合環境を理解し、差別化ポイントや自社の競争優位を把握します。
簡単な方法としては、ウェブサイトや検索エンジンの結果を活用することで、自社の提供するデータに加えて競合ブランドや企業を見つけることができます。 比較サイトは幅広い業界で人気があり、製品やサービスの調査を簡単に行うことができます。
重要なのは、牛丼チェーン店の例で言えば、競合はファーストフード業界だけでなく、類似している顧客のジョブ(顧客のジョブ:顧客のアクションに至るまでの解決したい悩みや課題)をターゲットとする他業界、つまりレストラン業界やスーパーマーケット業界にも存在することです。
そのため、業界を問わず競合他社3〜5社に焦点を絞り、結果を絞り込む必要があります。
主要な競合企業を特定したら、それらの企業を分析します。
彼らが自社のウェブサイトにどれだけ力を入れているのか、どのようなキャッチフレーズを使用しているのか、どのようなサービスを提供しているのか、どのようなツール(メルマガやSNSなど)を使用して顧客を引き付けているのか、全体的なマーケティング戦略はどのようなものかなどを調査します。
できるだけ多くの視点から競合を分析し、彼らのマーケティング活動を完全に理解することが理想です。
競合他社の分析は、ウェブサイトの訪問、ニュースレターの購読、店舗の訪問、提供されるサービスの受け入れ(ヒューリスティック分析)などを通じて行われます。 さらに、ユーザーテストを実施してクライアント企業と競合他社を比較することも可能です。
競合他社がウェブ上でどのように注目されているかやSEO関連情報を調べるためにSEOツールを使用すると効率的です。
STP分析
STP分析は、アメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー氏によって提唱されたマーケティング戦略の一つです。
セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つの要素から構成されています。
セグメンテーション(Segmentation)
セグメンテーションでは、大きな市場をより小さなセグメントに分割します。 これにより、異なる顧客グループのニーズや要求を理解し、効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
例えば、自動車市場では、顧客の収入レベル、年齢、ライフスタイル、購買動機などに基づいてセグメントを作成することがあります。
セグメントは、高級車市場、家族向け車市場、燃費重視の市場などに分けられます。
成功事例
セグメンテーションに成功した企業のビジネスモデルの一つに、 Airbnb社(英: Airbnb, Inc.)があります。
Airbnb社は旅行好きや地域文化に興味のある人々をターゲットにし、個人の宿泊施設を提供することで、他の宿泊オプションとの差別化を図ったことで成功しました。
ターゲティング(Targeting)
ターゲティングでは、セグメンテーションで特定したセグメントの中から、最も魅力的なターゲット市場を選択します。 ターゲット市場は、企業のリソースや能力とのマッチング、市場の成長ポテンシャル、競合状況などの要素を考慮して決定されます。
例えば、自動車メーカーがセグメンテーションで特定した高級車市場に焦点を当てることを選択した場合、富裕層、企業役員や高級官僚などをターゲットとし、彼らのニーズに合った製品やサービスを提供します。
ポジショニング(Positioning)
ポジショニングでは、自社や製品が競合他社と比較して、ターゲット市場内でどのような独自の価値を提供するかを明確にすることを目指します。 これにより、顧客の心に響くメッセージやイメージを構築し、競争上の優位性を確立します。
例えば、高級車市場において、自社の車が最高の品質と高級感を提供するというポジショニングを選択した場合、広告やマーケティング活動でそのメッセージを強調し、他の競合メーカーとの差別化を図ります。
SWOT分析
SWOT(Strengths, weaknesses, opportunities, threats)分析とは、企業の競争力を評価し、戦略立案を行うために用いられるフレームワークの一つです。
SWOT分析では、内部要因と外部要因、そしてプラスとマイナスの可能性を評価します。
SWOT分析は、組織、取り組み、または業界内の強みと弱みを、事実に基づき、データに基づいて現実的に検討することを容易にするように設計されています。 組織は、先入観や曖昧な判断を避けることで、分析を正確に保つ必要があります。
強み (Strengths)
組織やプロジェクトの内部要因のポジティブな側面や優位性を指します。強みには、特定のリソースや能力、優れた製品やサービス、優れたブランドイメージ、優れた顧客関係などが含まれます。
強みを明確に把握することで、組織やプロジェクトの競争力や戦略的な優位性を理解することができます。
例えば、ある企業の強みとしては、独自の特許技術や高度な専門知識、優れた品質管理システム、優秀な従業員などが挙げられます。
弱み (Weaknesses)
組織やプロジェクトの内部要因のネガティブな側面や制約を指します。弱みは、リソースの不足、組織の内部の問題、競合他社に比べて劣っている点などが含まれます。
弱みを正確に把握することで、改善のための施策やリスクの管理に取り組むことができます。
例えば、ある企業の弱みとしては、過去の品質問題、限られた予算や人材不足、競合他社に対する技術的な遅れなどが挙げられます。
機会 (Opportunities)
組織やプロジェクトの外部要因のポジティブな側面や成長の可能性を指します。 機会は、市場の成長、新たな需要の発見、技術の進歩、規制緩和などの外部環境の変化から生まれます。 機会を把握することで、新たな市場参入や事業拡大の方向性を見出すことができます。
例えば、ある企業にとっての機会としては、新興国市場の成長、新たな技術やトレンドに基づく市場ニーズ、競合他社の問題や不在などが挙げられます。
脅威 (Threats)
組織やプロジェクトの外部要因のネガティブな側面やリスクを指します。
脅威は、競合他社の存在、経済的な不確実性、規制変更、技術の進歩による市場の変化など、外部環境の要素から生じます。 脅威を把握することで、リスク管理や競争力強化のための対策を検討することができます。
例えば、ある企業にとっての脅威としては、競合他社の新製品や価格競争、貿易政策の変更、技術の進歩による業界の構造変化などが挙げられます。
成功事例
事業戦略の立案においてSWOT分析を活用し、成功を収めた企業に、 テスラ(英: Tesla, Inc.) があります。
強み(Strengths)において、テスラは革新的な電気自動車技術とブランドの強みを持ち、機会(Opportunities)として成長するクリーンエネルギー市場を見出しました。
高価格と生産量の制約といった弱み(Weaknesses)に対しても生産効率を向上させるための工場の自動化や供給チェーンの最適化に取り組みました。
競合他社の 脅威(Threats)への対抗策として、テスラは技術革新とブランドの強みを活かし、継続的な製品開 発とイノベーションを追求し、市場において成功を収めました。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、以下の5つの対象を評価、分析することでビジネス環境を理解し、競争力を評価するためのフレームワークです。
- 買い手(顧客)の交渉力
- 売り手(サプライヤー)の交渉力
- 業界への新規参入者
- 代替品の存在
- 業界内での競争
成功事例
ネットフリックス(英:Netflix, Inc.)は、ファイブフォース分析により、映画・テレビ業界における競争状況を把握し成功した企業の一つです。
競合他社との競争力を高めるために、独自のコンテンツ制作とオンデマンドコンテンツを配信しました。
これにより、映画館や伝統的なテレビ放送とは異なる新しいビジネスモデルを確立し、消費者に「いつでもどこでも」見ることができるサービスを提供することで差別化に成功しました。
【手順】
1)買い手の強さを評価
買い手の交渉力、価格感度、需要の変動などを考慮し、買い手の立場から見た競争環境を分析します。
2)売り手の強さを評価
売り手の交渉力、供給の安定性、代替品の有無などを考慮し、売り手市場の影響を分析します。
3)新規参入の脅威を評価
新規参入障壁、市場へのアクセスの容易さ、既存企業への競争力などを考慮し、新規参入の脅威を分析します。
4)代替品の脅威を評価
代替品の価格競争力、代替品の品質や性能、顧客の切り替えコストなどを考慮し、代替品の脅威を分析します。
5)競合他社の競争状況を評価
競合他社の数、競合他社との差別化、業界内の成長率などを考慮し、競争他社の影響を分析します。
【具体例】
例えば、スマートフォン市場においてファイブフォース分析を行う場合、以下のような要素が考慮されます。
- 買い手の強さ: スマートフォンの需要は高いが、価格感度も高いため、買い手は価格や機能に敏感であり、競争企業の商品に簡単に切り替える可能性がある。
- 売り手の強さ: スマートフォンの製造に必要な部品や技術は限られた売り手によって提供されており、彼らの交渉力が高い。
- 新規参入の脅威: スマートフォン市場への新規参入は高い障壁があり、既存の大手企業やブランドの影響力、特許や独自技術の保有などが必要
- 代替品の脅威: スマートフォンには代替品として、タブレットやノートパソコンなどの他のデバイスが存在します。顧客はこれらの代替品への切り替えが比較的容易であり、価格や機能面で競争の脅威となります。
- 競合他社の競争状況: スマートフォン市場では、多くの競合他社が存在し、大手企業間の競争が激しくなっています。競合他社との差別化やブランド力、市場シェアの獲得などが重要な要素となります。
これらの要素を総合的に評価することで、スマートフォン市場における競争力や市場の魅力度を把握することができます。
PPM分析
PPM分析は、BCGマトリックス(Boston Consulting Group Matrix)とも呼ばれ、企業の製品や事業ポートフォリオを分析するための戦略フレームワークです。
PPM分析では、市場成長率と相対的市場シェアを軸にして事業を4つの象限に分類します。
左下から時計回りに、「金の成る木」、「花形(エース)」、「問題児」、「負け犬」という4つのカテゴリに事業を配置します。
これにより、自社製品やサービスに今後投資すべきか、収益を伸ばすか否かを明確にすることができ、事業戦略の計画を立てる際に役立てることができます。
成功事例
アマゾン(英: Amazon.com, Inc.)は低価格と広範な品揃えを持つオンライン小売業の分野で急速に成長し、市場独占率を拡大しました。
基本的な説明としては、以下のような特徴があります。
- 金の成る木:成長率が低くなっているが、市場シェアが高い事業。投資を抑制して収益を最大化する戦略が求められます。
- 花形(エース): 成長率が高く、市場シェアも高い事業。積極的な投資によって成長を促進する戦略が必要です。
- 問題児:成長率は高いが、市場シェアが低い事業。将来の成長ポテンシャルを評価し、投資や戦略の選択を検討する必要があります。
- 負け犬:成長率も市場シェアも低い事業。収益性が低く、撤退や再編成などの戦略が検討されます。
【手順】
1)製品や事業の選定
分析の対象となる製品や事業を選定します。
通常、企業の事業ポートフォリオ内で重要な製品や事業が選ばれます。
2)成長率の評価
選ばれた製品や事業の市場成長率を評価します。
市場の成長率が高い場合、成長の機会が豊富であり、市場の需要を取り込むことが期待できます。
3)市場シェアの評価
選ばれた製品や事業の市場シェアを評価します。
市場シェアが高い場合、競合他社よりも強力なポジションを持ち、市場での影響力があります。
4)マトリックスへの配置
成長率と市場シェアの評価結果をもとに、PPM分析上で製品や事業を配置します。
PPM分析は、成長率を縦軸に、市場シェアを横軸にとった4象限で表現されます。
VRIO分析
VRIO分析は、企業のリソース(資源や能力)が競争上の優位性を持つかどうかを評価するためのフレームワークです。
これにより、事業の成長戦略や、リソースの最適配置について見なおすことができます。
VRIOは「Value(価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣性)」「Organization(組織の整備)」の4つの頭文字です。
成功事例
Meta (旧称Facebook社) はVRIO分析を活用した企業の一つです。
Metaはユーザーベースの規模とソーシャルネットワーキングのプラットフォームを通じて提供する価値を確認しました。
この特徴は競合他社には模倣が困難であり、Meta の競争優位性と言えます。
【手順】
1)リソースの特定
企業の持つ主要なリソースを特定し、明確にリストアップします。
2)VRIO要素の評価
各リソースについて、以下の項目を評価します。
- それが価値を持つかどうか、
- 希少性があるかどうか、
- 模倣が困難かどうか、
- 組織内で効果的に活用されているかどうか
3)分析結果の整理
各リソースについて、VRIO要素の評価結果をまとめ、分析結果を視覚化します。
4) 戦略の立案
VRIO評価に基づいて、リソースの強みを活かす戦略を策定します。
【具体例】
スポーツ用品メーカーのVRIO分析は以下のようなものが考えられます。
1)リソースの特定
- ブランド価値: メーカーが持つ人気のあるスポーツブランドとそのロゴ
- 研究開発施設: 新しい素材や技術を開発するための研究開発施設
- 製造施設: 高品質な製品を効率的に生産するための製造施設
- 専門知識を持つ従業員: スポーツ用品業界における専門的な知識や経験を持つ従業員
2)VRIO要素の評価
- ブランド価値:価値があるが、競合他社も同様のブランド力を持っている可能性があり、模倣が容易である。
- 研究開発施設:希少であり、競合他社が追いつくのが難しい。
- 製造施設:希少であり、競合他社が同等の製造能力を持つのは困難である。
- 専門知識を持つ従業員:希少であり、競合他社が同様の専門知識を獲得するのは困難。
3)分析結果の整理
- ブランド価値:価値あり、希少性が低い、模倣が容易
- 研究開発施設:価値あり、希少性が高い、模倣が困難
- 製造施設:価値あり、希少性が高い、模倣が困難
- 専門知識を持つ従業員:価値あり、希少性が高い、模倣が困難
4)戦略の立案
- ブランド価値に基づいて、広告やマーケティング活動を強化し、ブランドの差別化を図る。
- 研究開発施設と製造施設の強みを活かして、新しい製品や技術の開発に注力し、競合他社よりも先進的な製品を提供する。
- 専門知識を持つ従業員の育成や維持に注力し、業界内での専門性と競争力を高める。
PEST分析
PEST分析は、企業や組織が外部環境を評価するためのフレームワークです。
PESTは政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の要素を指し、これらの要素を分析することで、ビジネスや事業に影響を与える外部環境の要素を理解します。
これにより、チャンスとリスクを特定することができ、ビジネス戦略の立案に役立てられます。
成功事例
アプリで配車できるサービス、Uberで知られるウーバー・テクノロジーズ(英: Uber Technologies, Inc.) はPEST分析に基づいて、シェアリングエコノミーの成長とスマートフォン技術の進化に注目した企業の一つです。
スマートフォン技術の進歩により、Uberはアプリを通じて簡単に車の予約や支払いを可能にし、利便性とアクセス性を向上させました。
ウーバー・テクノロジーズの新しいビジネスモデルは、タクシー業界における伝統的な枠組みを破り、顧客とドライバーに新たな選択肢を提供しました。
この革新的なアプローチにより、Uberは世界中で急速に成長し、モビリティサービス業界におけるリーディングカンパニーとなることに成功しました。
【手順】
1)政治的要因の分析
政府の政策や規制、法律、政治的な不安定要素を評価します。
2)経済的要因の分析
GDP成長率、インフレ率、為替レート、消費者の購買力など、経済の健全性やトレンドを評価します。
4)社会的要因の分析
人口統計、社会の価値観、生活スタイル、トレンド、文化的な影響を評価します。
5)技術的要因の分析
技術の進歩、イノベーション、デジタル化、業界のトレンドを評価します。
【具定例】
スーパーマーケットチェーンを例に挙げると、以下のように考えられます。
- 政治的要因の分析:政府の規制が厳しくなり、食品安全基準や環境保護に関連する法律の遵守が必要となる。
- 経済的要因の分析:消費者の購買力が低下し、価格競争が激化する可能性があり、需要の変動に対応する必要がある。
- 社会的要因の分析:健康志向や持続可能性への関心が高まり、オーガニック食品や環境に配慮した製品への需要が増えている。
- 技術的要因の分析:デジタル化が進み、オンラインショッピングやモバイル決済の普及が顧客の購買行動に影響を与えている。
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3. 事業戦略の策定で注意すべきポイント
フレームワークへの依存
フレームワークは有用なツールですが、ただフレームワークに従って戦略を策定するだけでは十分ではありません。
具体的な事業の状況や環境を考慮し、フレームワークを柔軟に適用することが大切です。
【対策方法】
フレームワークを参考に使用しつつ、独自の洞察や経験に基づいた分析を行いましょう。
フレームワークを適用する前に、事業の状況や目標、競合状況を評価し、フレームワークをカスタマイズして使うことが重要です。
不十分な市場分析
市場の動向や顧客のニーズを正確に把握せずに戦略を立てると、市場への適合性や競争力に欠ける可能性があります。
【対策方法】
徹底した市場分析を行いましょう。
市場の成長率、競合状況、顧客の傾向や要求などの情報を収集し、戦略の基盤となる洞察を得ることが重要です。
顧客インタビューや市場調査、競合分析などを活用して市場に関するデータや情報を収集しましょう。
実行計画の欠如
戦略の策定だけでなく、具体的な実行計画がないと、戦略の実現が困難になります。
【対策方法】
戦略に基づいた具体的なアクションプランやタスクの設定、担当者の明確化、期限の設定などを行いましょう。
実行計画を作成し、進捗をモニタリングし、必要に応じて修正を行うことで、戦略の実現に向けた具体的な行動を取ることができます。
外部環境の変化への対応不足
外部環境は常に変化しています。
戦略策定後も市場や競合状況、技術の進歩などの変化に対応しないと、戦略の有効性が低下する可能性があります。
【対策方法】
つい内部のサービスや製品に対するアプローチに集中しがちですが、 定期的に外部環境をチェックしましょう。
市場トレンドや競合動向、規制や法律の変更などの情報を収集し、戦略に適応する必要があるかどうかを評価しましょう。
柔軟性を持った戦略を策定し、必要に応じて調整や修正を行うことが重要です。
実行と監視の欠如
戦略の策定は重要ですが、それを実行に移さず、進捗や成果を適切に確認しないと、戦略の効果を把握することができません。
【対策方法】
実行計画を具体的に立て、責任者を明確にしましょう。
定期的な進捗レビューや成果の評価を行い、戦略の実行状況を確認しましょう。
必要な修正や改善を行うためのフィードバックフローを確立し、戦略の実行とモニタリングを継続的に行いましょう。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。適切な事業戦略を策定するために、本記事の内容を以下にまとめました。
事業戦略の策定に役立つフレームワークとして、以下のようなものがあります。
- 3C分析:顧客、競合、自社の要素を分析し、事業戦略の基盤となる情報を把握する。
- STP分析:セグメンテーション(市場を細分化)、ターゲティング(ターゲット市場の選択)、ポジショニング(競合との差別化)を行い、マーケティング戦略を立案する。
- SWOT分析:自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を評価し、組織の環境分析を行う。
- ファイブフォース分析:業界の競争激度を把握するために、顧客の交渉力、サプライヤーの交渉力、代替品の脅威、新規参入の脅威、競合他社の存在を評価する。
- PPM分析:製品・サービスのポートフォリオを評価し、リソース配分と優先順位付けを行う。
- VRIO分析:企業のリソースを評価し、その価値、希少性、模倣の困難さ、組織内での活用の可否を分析し、競争優位性を判断する。
- PEST分析:政治、経済、社会、技術の要素を分析し、外部環境の影響を把握する。
注意点として、 以下のものがあります。
- フレームワークに依存しすぎない
- 市場分析を十分に行う
- 実行計画を適切に立てる
- 外部環境の変化に対応する
- 実行と進捗の定期的な監視を怠らない
これらのポイントに留意しながら、綿密な分析と計画、柔軟性と継続的な改善を行い、成功に向けた事業戦略を展開していきましょう。
フリーランス戦略コンサルの働き方や年収についてはこちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:フリーランス戦略コンサルの独立の実態!年収や働き方、メリット・デメリットを解説|コンサルキャリア