【リーダーシップ理論】条件適合理論とは?|条件適合理論の種類、問題点とともに解説!

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【リーダーシップ理論】条件適合理論とは?|条件適合理論の種類、問題点とともに解説!

リーダーシップにおいて、一つのスタイルやアプローチがすべての状況に適していると仮定することは難しい現実があります。そのため、リーダーシップの理論と実践は、状況や環境に適合させる必要があります。 

条件適合理論は、リーダーシップの多様性と状況への適合性に焦点を当てた理論です。

この理論を理解することは、リーダーシップの複雑さに対処するための鍵となります。 

 

本記事では、条件適合理論の基本概念から歴史、さまざまな種類、そしてその問題点までを詳しく探究し、リーダーシップにおける適合性の重要性を明らかにしていきます。 

 

1. 条件適合理論とは

条件適合理論の基本概念

条件適合理論は、リーダーシップに関する理論の一つで、行動理論における「業務への関心度」と「人間への関心度」の2軸からリーダーシップを評価するアプローチを発展させたものです。

行動理論では優れたリーダーとされる行動パターンがありましたが、これらのパターンが常に成果を生むわけではないことが示されました。

そのため、条件適合理論はリーダーシップが一様でなく、状況や構成員の性質に合わせて変化する必要があるという観点に焦点を当てています。 

この理論は、リーダーシップの多様性を認識し、社会や組織の複雑な現実に対応するための貴重なツールとなっています。 

 

2. 条件適合理論の歴史

リーダーシップ理論の歴史は、過去のアプローチから条件適合理論への進化を経てきました。

1940年代までは、リーダーには生まれつきの資質が求められました。特性や資質、性格などがリーダーの成功に関連付けられ、歴史上の偉大な人物がその研究対象でした。 

しかし、これらの資質とリーダーシップの相関関係が明確には示されず、特性だけでリーダーシップを説明するのは難しいことが分かりました。さらに、組織環境が複雑化し、多様化したことで、従来の一つのリーダーシップスタイルがすべての状況に適しているわけではないことが浮き彫りになりました。 

 

そこで、効果的なリーダーの行動を探求する理論である行動理論が登場しました。しかし、行動理論によって提示された理想のリーダー像と実際のリーダーシップの実態との間には齟齬が生じることが、実証研究を通じて明らかになったため、行動理論が示すリーダー像は特定の条件下でのものであり、一般化されるには限界があることが明らかになったのです。 

 

こうした課題に対処するため、1960年代から条件適合理論が登場しました。

条件適合理論は「どのような仕事」を「どのような条件」で行うのかを総合的に考慮し、行動理論を一般化するために生まれたアプローチです。これにより、リーダーシップ研究は新たな段階に進むこととなり、リーダーシップ理解の進化に寄与しました。

ゴールに向かう人

 

3. 条件適合理論の種類

コンティンジェンシー理論

1964年に、F. フィドラーによって提唱された「コンティンジェンシー理論」は条件適合理論の中で有名で、その中で「リーダーシップ・スタイルは集団が置かれている課題状況によって異なる」という考え方が示されました。

このモデルでは、リーダーシップを資質ではなく「役割」と捉え、コンティンジェンシー理論の基盤としています。 

 

さまざまな組織や組織状況が存在し、それに応じてリーダーシップスタイルも異なるという経験的な観察から、リーダーシップと組織状況の相互関係を探求しました。

F.フィドラーは、組織状況に関連する変数を3つの視点から考えました。 

 

リーダーの受け入れ度と支持度 

リーダーが組織のメンバーに受け入れられている度合い

組織でメンバーに支持されているか、または支持されていないか

 

仕事や課題の明確性

仕事や課題の明確性に関する評価

業務目標、手順、成果が明確で構造化されているか、不明確か

 

リーダーの部下へのコントロール権限

リーダーが部下をコントロールする権限の強さ

 

これらの視点に基づいて、状況変数の度合いにより、どのようなリーダーシップスタイルが組織のパフォーマンス向上に寄与するかを探求しました。

このスタイル評価には「LPC(Least Preferred Coworker)」という指標を用いています。 

コンティンジェンシー理論は、リーダーシップが単一のスタイルではなく、環境に応じて変化することを強調し、リーダーシップの柔軟性と適応力を考える上で貴重な理論となっています。 

リーダーシップを振る舞う女性

 

SL理論

SL理論(Situational Leadership Theory)は、リーダーシップ理論の一つで、1977年にP.ハーシィとK.H.ブランチャードによって提唱されました。この理論は、リーダーシップの効果を部下の状態や状況に合わせて調整することを強調しています。 

要するに、一つの特定のリーダーシップスタイルがすべての状況に適しているわけではなく、状況に応じて適切なスタイルを選択する必要があるという考え方です。 

SL理論では、リーダーシップは以下の4つの主要なタイプに分類されます。 

 

教示型リーダーシップ

部下が能力が低く、具体的な指示と指導が必要な場合に使用されます。

新入社員や経験の浅いメンバーへのリーダーシップに適しています。

 

説得型リーダーシップ

部下の能力はあるが、積極的な行動を促す必要がある場合に適用されます。

部下は意欲的で責任感のあるが、リーダーからの説得が必要なケースです

 

参加型リーダーシップ

部下が十分な能力を持つが、自信がなく不安定な場合に使用されます。

リーダーは部下と協力して問題を解決し、意思決定を共有する役割を果たします。

 

委任型リーダーシップ

高い能力と自主性を持つ部下向けのスタイルです。

リーダーは部下に大きな裁量を与え、彼らを自立させ、成果を報告する役割を果たします。

 

SL理論は基本的にリーダーは部下の状態や能力に応じて適切なリーダーシップスタイルを選択すべきであるという考えに基づいています。 

リーダーは状況に適切に対応し、部下の成長と発展をサポートするために、柔軟なアプローチを取る必要があります。 SL理論は、リーダーシップの個別の要求事項に合致する方法を提供し、組織内で効果的なリーダーシップの実現が可能です。

旗を掲げる人

 

SL理論については別途記事で解説していますので、ぜひご一読ください。

SL理論で求められるリーダーの役割とは?SL理論を用いるメリット・注意点を解説

 

パスゴール理論

パス・ゴール理論は、組織の構成員が目標(ゴール)を達成するために、リーダーはどのようなパスを道筋(パス)を出せば良いのかという考えに基づいたリーダーシップ理論です。

この理論は1971年にR.ハウスによって提唱され、目標達成におけるリーダーシップの戦略を明確に定義しました。

パス・ゴール理論では、リーダーシップが以下の4つに分類されています。 

 

指示型リーダーシップ

指示型リーダーシップは、組織の構成員に対してタスクを具体的に指示し、仕事のスケジュールを設定します。

このスタイルでは、リーダーは作業の手順や期待される成果を部下に明示的に伝え、作業をスムーズに進めるようにサポートします。

 

支援型リーダーシップ

支援型リーダーシップは、構成員との信頼関係を強調し、自発的な発想やその承認を重要視します。

リーダーは部下との信頼関係を築くことに焦点を当て、部下の自己成長と発展をサポートします。

 

参加型リーダーシップ

参加型リーダーシップでは、リーダーは部下と協力し、意思決定に関する提案を受け入れます。

リーダーは決定を下す前に構成員との協議を重視し、部下の意見やアイデアを尊重します。

 

達成志向型リーダーシップ

達成志向型リーダーシップは、高い目標を設定し、部下にその達成を追求することを奨励します。

このスタイルでは、リーダーは部下に挑戦的な目標を設定し、彼らに向かって高いパフォーマンスを求めます。

 

パス・ゴール理論の特徴は、リーダーが部下に適切なガイダンスを提供するために、 

  • 組織の状況要因 
  • 部下の個人的な特性 

を考慮することが必要です。

この理論によれば、組織の環境的条件や部下の認知能力、経験、自立性などの要因に基づいて、リーダーは上記のリーダーシップスタイルから選択すべきです。組織の成功には、リーダーが適切なパスを提供し、部下が目標達成に向かって効果的に行動することが不可欠です。 

この理論に基づいて、リーダーシップは柔軟で適応的であるべきであり、条件に応じて異なるアプローチを取ることが求められます。

条件適合理論の中で、パス・ゴール理論はリーダーシップの具体的なアクションプランを提供し、目標達成に向けた効果的な道筋を示す重要なツールとなっています。 

 

4. 条件適合理論の問題点

条件適合理論の問題点は以下の3です。 

  • 組織の柔軟性 
  • 環境への適合 
  • 専門性取得の困難 

それぞれ詳しく解説していきます。 

 

組織の柔軟性

条件適合理論は特定の状況や条件に焦点を当てており、急速に変化する環境に対応することが難しい傾向があります。この理論は状態に焦点を当てているため、変化に対する適応策については詳細に説明できません。 

 

環境への適合

条件適合理論に従う組織は状況に応じて柔軟に変化しなければならないため、組織のコントロールが難しくなります。組織は周囲の変化に素早く適応する必要があり、正確な判断ができない場合、誤った方向に進むリスクが高まります。これにより、組織の安定性が損なわれる可能性があります。 

 

専門性取得の困難

条件適合理論に基づく組織は状況に応じて変化するため、組織内で特定の知識やノウハウを蓄積するのが難しくなります。組織が状況に合わせて変わるたびに、以前の最善の方法や専門性が通用しなくなることがあります。この結果、組織内での知識の累積が難しくなり、組織の競争力が低下し、長期的な成長に支障をきたす可能性が高まります。 

 

5. まとめ

下記に当記事のまとめを行います。 

条件適合理論とは、 

リーダーシップは状況に応じて変化し、特定の環境条件に合致した行動が必要であることに焦点を当てた理論のこと

です 

また、行動理論における「業務への関心度」と「人間への関心度」の2軸からリーダーシップを評価するアプローチを発展させたものです。 

 

条件適合理論の種類は以下の3つがあります。 

  • コンティンジェンシー理論  
  • SL理論  
  • パスゴール理論 

条件適合理論の問題点は以下の3つです。 

  • 組織の柔軟性 
  • 環境への適合 
  • 専門性取得の困難 

 

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