働く上で必ず目にする目標設定。設定したは良いものの、それを実際達成することはできていますでしょうか。目標を立てることは仕事に限らず、日常生活にも役立てることができます。
そこで今回は、目標設定を行う目的や特徴を解説し、実際に使えるフレームワーク10選を紹介します。
この記事を通してご自身に合った効果的な目標設定を行うことで、モチベーションやパフォーマンスが高まるでしょう。
目標管理制度(MBO)とは
目標管理制度(Management By Objectives)とは、『マネジメント』を手掛けたアメリカのピーター・ドラッカーという経営学者が提唱した制度です。
具体的には従業員が自分自身で目標を設定し、設定した目標を達成する過程を管理する制度を指します。この目標設定では、従業員の自主性を重視しています。この制度を導入する目的は以下の通りです。
人材育成につながる
従業員は自分自身の目標を設定し、達成までの過程を管理しなければなりません。
そのため、目標達成に向けて自分の行動やモチベーションを管理することで、自己管理能力向上につながります。また、常に目標があることでモチベーション維持につながります。
マネジメントスキル向上
部下や後輩に目標を立ててもらったのであれば、その目標の達成に向けて指導する必要があります。上司や管理者は指導を繰り返すことでマネジメントスキル向上につなげることができます。
コミュニケーションが活発
上記のように指導・フィードバックする機会が増えるため同時にコミュニケーションを取る機会も増えるでしょう。上司と部下のコミュニケーションが活発になることで社内の雰囲気も良くなり、働きやすい環境を創ることができるでしょう。
人事評価の基準
仕事に関わる目標を設定することで、達成した際、組織にも影響を与え、評価アップにつながるでしょう。したがって従業員も仕事や目標に対してモチベーション維持ができます。
目標設定に使えるフレームワーク
ここからは実際に使えるフレームワークの概要や特徴を解説していきます。
SMARTの法則
SMARTの法則とは、5つの基準に沿って具体的かつ、達成可能な目標の設定をする考え方です。5つの基準は以下を指します。
- Specific:具体的
- Measurable:測定可能
- Achievable:達成可能
- Result-Oriented:成果志向
- Time-bound:期限設定
これらを意識することで具体的な目標を立てることができるでしょう。明確な目標を立てることができるため、従業員のモチベーション向上につながります。また、この目標に対してPDCAサイクルを回すことができるため、従業員の成長につながります。
目標を設定する上で、成果目標や行動目標を決めることが重要になります。目標達成のゴールを定量的に表したり、具体的な行動を明確にしたりすることで、それらを達成するために毎日どのように過ごすべきか、ロードマップを明確にできます。
SMARTの法則に関しては、以下のサイトでは詳しく紹介しているため、併せてご覧ください。
OKR
OKR(Objective and Key Results)とは、「目標と主な結果」と訳し、その訳通り目標とその目標達成に必要な成果を定量的に表し目標管理を行うフレームワークです。
達成したい目標の方向性を決め、一定期間ごとに成果の進捗を確認することで、課題の特定や改善を行うことができます。そのため、柔軟に目標を設定ができる点や変化が激しい時代でも従業員の成長を伸ばす点に期待ができるでしょう。
まずは、目標を設定し、ガイドとなる成果指標と期限を合わせて設定することがポイントです。進捗を定期的に確認することで成果を測定していき、その結果を基にPDCAを回すことでより高い成果を目指すことができます。
OKRに関して、以下のサイトでは詳しく紹介しているため、併せてご覧ください。
KPIツリー
KPI(Key Performance Indicator)とは、重要業績評価指標を表し、組織やプロジェクトが設定した最終的な目標に向かって進捗を評価・測定するための指標です。この指標があることによって目標達成のために、改善アクションが必要か、現在の進捗はどうかなどを把握できます。最終目標を達成するためには多くのKPIが必要になります。それらをツリー上で可視化したものをKPIツリーと言います。
まずは最終目標を決め、その目標を達成するためにはどのような行動が必要か洗い出し、要素を細分化します。そして、それら1つ1つがKPIになります。それらのKPIを達成していくことで最終的な目標を達成するための効果的なアクションとなるでしょう。
KPIツリーに関して、以下のサイトで詳しく紹介しているため、併せてご覧ください。
マンダラチャート
マンダラチャートとは、目標を明確にし、それを達成するために用いられるフレームワークです。これは、大谷翔平選手が高校時代に作っていたことで話題となりました。やるべき行動や施策を明確化・可視化して目標達成までのプロセスを作り上げることが目的です。
目標達成の施策やアイデアを洗い出すことができるため、しっかりとした計画を持つことができます。
マンダラチャートは縦3マス×横3マスの9マスをさらに縦3マス×横3マスに並べた全81マスから成り立ちます。81マスには「達成した目標」「基礎思考」「実践思考」という3つの要素を埋めて完成させます。基礎思考とは、目標達成のために取り組むべき分野をまとめたものを指します。実践思考とは、基礎思考の内容をより具体的な行動・施策に落とし込んだものを指します。このように8つのアクションを起こすため、バランスがよく成長することができるでしょう。
マンダラチャートに関して、以下のサイトで詳しく紹介しているため、併せてご覧ください。
GROWモデル
GROWモデルとは、サー・ジョン・ウィットモア氏によって提唱されたビジネスコーチングの手法で、頭文字は以下の内容を表します。
- Goal:目標
- Reality:現状
- Option:選択肢・対策
- Will:意志
この目標設定は1人で決めるのではなく、質問を通して設定するものです。したがって質問者は相手から顕在的な思いだけでなく、潜在的な思いを引き出すことが重要です。また、質問を通して設定するため、相手は現状の課題や自身の強み・弱みを把握した上で自己理解が深まるでしょう。
コーチングする際は、相手の意見を尊重することが重要です。面談や1on1を通して目標を設定する場合は、以下の内容を意識すると良いでしょう。
- 相手の話を聞いて受け入れる傾聴スキル
- 掘り下げる/広げる質問をすることで具体化させる質問スキル
- 変化や成長を言葉で伝え、モチベーション向上を目指す称賛スキル
これらを意識することで相手の本音や自由な発想を聞き出すことができるでしょう。
BHAG
BHAG(Big Hairy Audacious Goals)とは、社運を賭けた大胆な目標と定義され、会社を次のレベルに引き上げ、従業員たちを奮い立たせるような長期的な目標を指します。企業のMissionのようなものだと考えると分かりやすいでしょう。この目標は今まで紹介した短期的な目標ではなく、達成まで10~20年かかる目標を指します。目標を設定するためには以下のことを意識すると良いでしょう。
・目標志向型BHAG
企業を鼓舞することに対して十分かつ、目標達成までに少なくとも10年かかる壮大な目標を選ぶこと
・競争的BHAG
長期にわたって競争する可能性が高い相手を特定し、その相手を超えるような目標を立てること
これらを意識した目標を設定した場合、達成することで多くの人々に影響を与えることができます。
人材育成ロードマップ
人材育成ロードマップとは、現時点の状況や環境をスタートとして将来実現したい目標をゴールに設定し、それまでの過程を時系列で表した表を指します。
従業員を育成する表であるため、理想の人材を育てるために必要な道筋や手順を示します。したがって、経営企画や企業理念をベースに計画を立てることで、組織のビジョンを取り入れた理想的な人材を生み出すことができるでしょう。
まずは企業理念を見直し、その上で理想の従業員像を作ります。これを作ることで、人材育成の目標や方向性を具体的に示すことができます。その後、従業員にどのタイミングで、どのようなスキルを学ぶのかを明確にし、具体化させます。このようなロードマップを作ることで、進捗状況を把握することができ、それに伴った指導を行うことができるでしょう。
人材育成ロードマップに関して、以下のサイトでは詳しく紹介しているため、併せてご覧ください。
PDCAサイクル
PDCAサイクルとは、以下の内容を繰り返し、目標設定や業務改善を行うフレームワークです。
- Plan:計画
- Do:実行
- Check:評価
- Action:対策/改善
Actionを起こすことで継続的に改善することができ、今やるべきことは何か明確にできるでしょう。また、このサイクルを継続することでナレッジの蓄積につながります。改善のナレッジを蓄積することで、最終的な目標に向かう着実性やスピード向上などといったスキルが身に付くでしょう。
まずは、サイクルを回すスケジュール感を決めておくことが重要です。このサイクルが滞ると改善スピードが遅くなってしまうため、事前に期限を決めておくことが大切です。また、Checkで数値化させ、記録しておくことも重要です。数値を記録しておくことで成功要因や失敗要因を把握し、Actionを決める際に改善策を見つけやすくなります。これら2つに着目しながら設定をすると効果的なPDCAサイクルを回すことができるでしょう。
Will-Can-Must
Will-Can-Mustとは、目標達成のためのアクションプランを決めるために開発されたフレームワークです。アクションプランは以下の内容を指します。
- Will:自分自身がしたいこと/目標
- Can:自分自身の強み/活かせること
- Must:自分が求められていること/必要とされている理由
これに加え、優先順位付けと期限を設けることによって、目標達成に必要なタスクを洗い出しやWillを達成する時期を明確にできます。また、Canでは自分自身の強みや活かせることを考えるため自己理解が深まる機会になるでしょう。
Will-Can-Mustに関して、以下のサイトでも詳しく紹介しているため、併せてご覧ください。
NLP式目標設定法
NLP式目標設定法とは、Neuro(神経)、Linguistic(言語)、Programming(プログラミング)の頭文字を取り、心理学・言語学・神経科学を組み合わせたコミュニケーション術を指します。
この設定法は、五感を使った目標設定が挙げられます。例えば、目標達成した後の姿を想像することでモチベーション維持や自己肯定感の向上を目指します。このように、目標達成時の感覚や体験を具象化することが特徴です。これは心理学に近いと考えられます。
肯定的な言葉で表現することで目標に対してポジティブな気持ちで向き合えることができます。また、メタアウトカム(目標達成を超えたさらなる可能性)を設定することでモチベーション向上につながるでしょう。
目標管理制度のポイント
目標を決める上で以下のポイントに配慮しながら設定すると効果的でしょう。
社員の自主性を尊重
自主性とは、指示がなくても率先してやるべきことをやるという意味があります。目標を自分自身で考えることで率先して行動するという習慣が付くでしょう。また、自主性があることよって成長意欲が高まり、難しい課題にも積極的に挑戦してくれるでしょう。
具体的で分かりやすい目標
目標が具体的な場合、自分が何をしなければならないか明確になり、行動に移すことができます。1つずつステップを踏むことでモチベーションも高まるでしょう。もし、具体的でなかった場合、進め方が分からず停滞してしまいます。さらにモチベーション低下につながる恐れがあります。
期限の設定
期限を設定することで、自身の進捗度を把握し、その上で責任感と緊張感を持って行動することができるでしょう。 期限がなければ、目標に対する行動を先延ばしにしてしまう恐れがあります。また、進捗具合も把握できず、評価につなげることが難しくなります。
定期的な振り返りと評価
振り返りや評価することで、モチベーション向上や日々環境が変化し続ける中で目標に対して柔軟に対応することができるでしょう。 振り返りや評価がなければ、従業員は成果の実感が湧かず、モチベーション低下につながってしまう恐れがあります。また、このような機会がなければ、改善策を出すことも難しいでしょう。
振り返りに関して、以下のサイトで詳しく紹介しているため、併せてご覧ください。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
今回の記事では、「目標管理制度(MBO)」をテーマに、実際に使えるフレームワークの概要や特徴について解説しました。
目標設定は個人の育成のみならず、組織にも大きな影響を与えるものだと考えられます。そのためにはまず、組織の方向性を明確にした上で、個人の目標を決定することが重要です。
また、目標を設定することで仕事や日常生活に対するモチベーションやパフォーマンスの向上・維持につながります。目標管理制度のポイントに配慮することで、効果的な目標設定ができるでしょう。
組織の成長や個人の成長を高めるためにも、ぜひご自身に合ったフレームワークを取り入れてみてください。
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