相互フィードバックとは|メリットとデメリットをわかりやすく解説

コミュニケーション

相互フィードバックとは|メリットとデメリットをわかりやすく解説

ラフなコミュニケーションを交わす社員

フィードバックと聞いて、初めに思いつくのはリーダーからメンバーへの評価のようなものと考えるかもしれません。 

しかし、フィードバックは今やリーダーからメンバーだけでなく、メンバーからリーダー、メンバー同士といった関係性でも活用するのが当たり前なことはご存知でしょうか。 

 

今回は、評価の一方的なフィードバックではなく、お互いの理解が深まるような相互フィードバックの概要とグループワークについて解説していきたいと思います。 

相互理解がなぜ大事なのか気になった方はこちらの記事をお読みください。 

生産性UPのために!相互理解を深める3つの方法

 

1. 相互フィードバックとは 

上司・部下リーダーメンバー・先輩・後輩の関係にこだわらないフィードバックが相互フィードバックです。 

主な目的としてコミュニケーションを円滑にすることや自分で気づかない強みや弱みを改めて理解することです。

また、グループワークを通してチームに一体感をもたらすことも目的の一つです。

 

具体的には、定期的に実施される会議や、プロジェクトの進捗状況を共有する際などに、チームメンバー同士がフィードバックを交換することがあります。 

相互フィードバックが必要となった背景には、以下のようなものが挙げられます。 

  • チーム内でのコミュニケーションの不足や、問題の解決が遅れることがあるめ。 
  • チームメンバー同士が適切な評価を行うことで、スキルアップや職務成果の上につながるため。 
  • フィードバックを行うことで、相手に対する理解が深まり、チーム内の信頼関係が向上するため。 

 

相互フィードバックによる効果には、以下のようなものがあります。 

  • チームメンバー同士がお互いに評価し合うことで、目標設定やスキルアップの方向性が明確になり、成長の機会が増える。 
  • コミュニケーションが改善され、チーム内の問題解決が早まる。 
  • チームメンバー同士の信頼関係が向上し、チームワークが向上する。 
  • チームと個人が相互に信頼することができる下地が創られ、モチベーションの高い組織が形成される。

 

効果的なフィードバック方法については、こちらの記事をご一読ください。 

 

2. 相互フィードバックのメリットとデメリット 

相互フィードバックには、以下のようなメリットとデメリットがあります。 

メリット 

パフォーマンスの向上 

相互フィードバックによって、他者からの視点や評価を受け取ることができます。

このフィードバックを活用することで、自分自身の行動や業務に対する評価や改善点が明確になり、その改善に取り組むことでパフォーマンスが向上します。 

【具体例】

営業部が売り上げをあげたいと考えている場合

【リーダーからメンバーへのフィードバック例】

リーダーからメンバーのフィードバックの場合、後輩の仕事の課題を指摘し、アドバイスを伝えると良いでしょう。

「営業先との商談において、相手の要望をもっと聞いてから自社製品を提案すべきだ。 」

とフィードバックを行うことで、メンバーは営業テクニックを改善することができ、売上の向上に繋がります。

【メンバーからリーダーへのフィードバック例】

リーダーからメンバーへのフィードバックと同時に、後輩から先輩へのフィードバックも重要です。

リーダーの業務量が増えて忙しそうな場合、メンバーからは以下のようにフィードバックができます。

「最近リーダーの業務量が増えているように感じます。

それに伴って先輩方からの指示やアドバイスが少なくなっていると感じています。

今後、どのように工夫して業務負荷を軽減し、リーダー方からの指示やアドバイスを受けやすくするか検討してみませんか?」

フィードバックを受けたリーダーは、指摘箇所である業務分担や指示出しの改善に取り組むことで、え偉業部全体の生産性が向上します

 

チームワークの向上 

相互フィードバックを通じて、リーダーはメンバーの状況や課題を把握し、必要に応じて適切なアクションを取ることができます。 

また、メンバーが率直な意見を述べることができる環境が整うことで、チームの信頼関係が深まり、チームワークの向上につながります。 

【具体例】

プロジェクトリーダーがチームメンバーに対して、プロジェクト全体の進捗状況についてフィードバックを行う場合。

【プロジェクトリーダーからメンバーに対してのフィードバック例】

プロジェクトリーダーは、チームメンバー同士のコミュニケーションを促進するように指導し、必要な場合は調停やアドバイスを提供します。

これにより、チームメンバー同士がより協力的になり、プロジェクトの成果に対する責任感を共有することができます。

例えば、リーダーから

「昨日の打ち合わせで、〇〇さんとの意見が食い違ってしまいましたね。

今後はどうやって円滑なコミュニケーションを取っていけばいいか一緒に考えてみましょう」

と伝えることで、業務進捗だけでなく現場のコミュニケーション状況を改善することができます。

【メンバーからプロジェクトリーダーに対してのフィードバック例】

リーダーの業務分担で特定のメンバーが負荷を感じている場合、「業務分担に不満がある」と伝えるのではなく、

「私たちのチームメンバーの中に、一人が仕事の負荷に耐えられなくなってしまっているようです。

どのようにサポートしてあげられるでしょうか?」

とフィードバックすると良いでしょう。

こうしたフィードバックを通じて、プロジェクトリーダーはチームメンバーの状況や課題を把握し、必要に応じて適切なアクションを取ることができます

また、プロジェクトの進行状況ついて問題を指摘し、スケジュール管理の必要性を主張したい場合、

「最近、業務の進行に遅れがちなプロジェクトがあります。

私たちは、もっ明確なスケジュール管理が必要だと思います。」

とフィードバック出来ます。

 

自己成長の促進 

フィードバックを受けることで、自分自身の課題や強みが明確になり、それに対しての改善策を考えることで、自己成長につながります。 

【具体例】

メンバーが仕事に慣れず、不安や疑問を抱いている場合

【リーダーからメンバーへのフィードバックの具体例】

メンバーが業務に取り組む上で、改善点や強みを見つけることができていない場合、

リーダーメンバーに対して、

「今回のプロジェクトでは、あなたが担当した部分はとても良かったです。

ただ、次回はもう少しデザインのバリエーションを増やしてみてはどうでしょうか?」

というフィードバックをすることで、新入社員は自分の強みを再確認し、同時に改善点にも気付くことができます。

これによって、メンバーは業務スキルの向上に繋がることが期待されます。

【メンバーからリーダーへのフィードバックの具体例】

自分たちの担当分野についての情報共有の不足を指摘し、より詳細な話し合いを提案したい場合、

「前回のミーティングでは、私たちの担当分野についての話が少なかったに感じました。

もっと詳しく話し合うことで、今後のプロジェクトにもっと献できると思います。」

とフィードバック出来ます。

フィードバックしている写真

デメリット 

フィードバックを受けることへの抵抗感 

自分自身の行動や業務に対する批判的な意見を受けることに抵抗感を感じる人がいるため、フィードバックが受け入れられない場合があります。 

 

具体例

例えば、自分の仕事ができていると思っている人が、他人からの意見を受け入れず、フィードバックを拒否する場合があります。

特にメンバーからリーダーへのフィードバックの際は、リーダーが権威的な存在であるため、メンバーがリーダーに対して意見を述べることに躊躇することがあります。

また、リーダーがフィードバックを受け入れない姿勢を示す場合、メンバーたちもフィードバックを与えることをためらうようになることがあります。このような場合、チーム全体の成長が阻害されることがあります。さらに、フィードバックを受け入れられない人がいると、その人自身が成長できないという問題も生じる可能性があります。

 

フィードバックすることの難しさ 

相手に適切なフィードバックを提供するためには、その相手の性格やスタイルを理解する必要があり、適切なアプローチが求められます。 

特に、コミュニケーションが苦手な相手に適切なフィードバックを与えるためには、その相手の性格やスタイルを理解する必要があり、適切なアプローチが求められます。 

 

 具体例

例えば、コミュニケーションが苦手な相手に対して、直接的なフィードバックを与えると逆にストレスになってしまう場合があります。

このような場合には、まずは相手との信頼関係を築くことが大切であり、適切なタイミングや方法でフィードバックを与える必要があります。また、フィードバックを与える際には、相手に対してポジティブな面もしっかりと認めることが大切です。否定的なフィードバックばかり与えると、相手がモチベーションを失ってしまう恐れがあります。

 

対策

そのため、相手の強みや成果に対しても適切なフィードバックを与えることで、より建設的なフィードバックを心掛けましょう。

さらに、フィードバックを与える際には、感情的にならずに客観的な視点で行うことが重要です。相手に対して感情的になってしまうと、フィードバックが伝わらず、かえって相手との関係を悪化させることになります。そのため、事実に基づいた客観的なフィードバックを与えることが求められます。

以上のように、相互フィードバックにおいては、フィードバックを受ける側だけでなく、フィードバックを与える側も慎重に行う必要があります。 

適切なフィードバックを行うことで、チーム全体のパフォーマンス向上や自己成長につながります。

 

 

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3. 相互理解を深めるワーク

お互いのことを共有し合う写真

本章では相互理解を深めるワークを2つご紹介します。

360度フィードバック 

相互フィードバックを通じて相互理解を深めるワークの一つに、360度フィードバックがあります。

360度レビューでは、チームメンバーはあらゆる角度からフィードバックを受けることができます。 

上司、直属の部下、同僚が、その人のスキル、行動、チームへの影響について意見を述べます。 

360フィードバックでは、実際の成果に焦点を当てるのではなく、メンバーの行動に起因するすべての側面に焦点を当てます。 

このようにして、チーム内のコミュニケーション、そして最終的には仕事のパフォーマンスを向上させることができます。

匿名で行われるため、仕事上の人間関係に負担をかけることなく、自分では気づけなかった部分を知ることができるのです。 

 

360度フィードバックの手順を具体的に説明します。 

【手順】

1.フィードバックの対象となる人物を選ぶ  

まず、フィードバックを受ける対象なる人物を決めます。

通常、自己評価を含めた複数の評価者からのフィードックを収集するため、組織の中で管理職やチームリーダーなどが対象となるとが多いです。

 

2.複数の周囲の人々にフィードバックを依頼する

対象となる人物が決まったら自己評価、上司からのフィードバック、同僚や部下からのフィードバックど、複数の人々にフィードバックを依頼します。

評価方法は、アンケート形で回答してもらう、個別に面談してもらうなど様々な方法があります。

フィドバックを依頼する前に、依頼の目的や評価の指標、回答期限などを明確にえておくことが大切です。

 

3.収集したフィードバックを統合的に分析する

依頼したフィードバックを収集したら、集めたフィードバックを統合的に分析します。

この時、自己評価と他からの評価の違いを比較し、自己評価の偏りを把握することが重要です。

 

4.振り返る 

分析したフィードバックをもとに、自己長につながる改善策を考えます。 

フィードバックの内容によっては、スキル知識の不足が指摘される場合もあります。 

その場合は、トレーニングや研修ど、学習機会を利用してスキルアップすることが必要です。 

 

フィードバックを依頼する人、受ける人、回答者の3者が共通の目的を持ち、適切なフィードバックを得ることが大切です。

類似した概念として360度評価があります。

360度フィードバックは、自己成長のためのフィードバックを得ることに重点が置かれているのに対して、360度評価は、評価を目的として行われるものです。 

360度評価に興味がある方、失敗せず360度評価を取り入れてみたい方はぜひこちらの記事もご覧ください。 

360度評価の失敗事例から学ぶ成功のためのポイント

 

グロースファインダー 

相互フィードバックを用いて行うグループワークの一つにサイバーエージェント社が作成したグロースファインダーがあります。 

グロースファインダー(Growth Finder)とは文字通り、成長ポイント(Growth)を見つける(Finder)グループワークです。 

自分自身の強みや弱みを再確認し、伸ばすべきところや改めるべきところを理解することができます。

また、お互いの理解が深まり、チームとしての一体感が向上します。

 

弊社では、相互理解を深めるためにグロースファインダーのワークをご紹介しています。
以下の記事内容で理解するとともに、弊社が提供しているグロースファインダーのワークのテンプレート資料を利用しメンバーへの理解を深めてください。
是非以下のURLからダウンロードしてご使用ください。

 

続いてグロースファインダーの手順を解説します。 

【手順】

時間の目安としては、一人につき10~20分です。 

1.対象者を選定し、一度部屋から退席

 

2.部屋に残った人が対象者の「強み」をA4の紙に書き出します。(2分)

 

3.続けて対象者の「弱みまたは改善すれば更によくなる点」をA4の紙に書き出します。(2分)

*対象者がリーダーの場合は、書き出しやすくするために語尾をあいまいな「かも」にすると良い

 

4.ファシリテーター役が紙を回収し、ホワイトボードにそれぞれ書き出す

*誰が言ったか不明確にすることが大切

 

5.全員で「強み」と「弱みまたは改善すればよくなる点」についてディスカッション(5分)
*共感した点や追加の意見等々を話し合います。

 

6.対象者が入室、ファシリテーター役から簡単に説明し、共有します。

 

7.対象者の方から簡単に感想を述べます。

*提示された強みや弱みについての意見を述べ、改善点を宣言します。(7分~8分)

以上が手順となります。 

 

このワークを実施することにより、得られるメリットは3つあります。 

【メリット】

1.周りから自分のことがどのようにみられているかを認識することができる 

2.自分の成長できるポイントを認識することができる 

3.相互理解が深まり一体感が向上する 

 

これらのメリットを得るためには、ワークの中でもらったフィードバックを受け取るときのマインドが重要になってきます。

どういったマインドかについては次の段落でご説明いたします。 

3. 相互フィードバックをする上で大事なマインドセット 

マインドセットとは、経験・教育・先入観から形成される考え方や物事の見方の「癖」のようなものを意味します。 

つまり、グループワークなどでフィードバックをもらう際、フィックストマインドセットであると相互理解は深まっても弱みなどが改善されないため、成長が見込まれません。

 

そのため、グロースマインドセットでフィードバックを受け取ることが効果的です。 

グロースマインドセット

グロースマインドセットとは 

成長マインドセットとも呼ばれ、スタンフォード大学で心理学の教授として活躍するキャロル・ドゥェック氏によって提唱された概念です。 

このマインドセットは、「自分も他人も含めて、人はみな成長するもの」 という思考から積極的に挑戦し、自主的に努力する傾向があります。 

フィードバックにおいても、自身のスキルアップや「人は変われる」と信じているため、積極的に聞きます。

フィックストマインドセットとは 

硬直マインドセットとも呼ばれ、グロースマインドセットとは双極に位置する考え方です。 

「人の能力は固定的で努力しても変わらない」というように思考が硬直してしまいます。 

フィードバックにおいても自分自身が否定されているように感じ、反論したくなってしまうため、消極的になります。

 

どんなにポジティブな人でもストレスなどの影響からフィックストマインドセットに陥ってしまうことがあります。 

グロースマインドセットを育むためには、常にポジティブな姿勢で挑戦し続けることや意識や考え方を変えることが近道です。 

とはいえ、急に変えようと意識しすぎるとかえってストレスになってしまうため、徐々に変えてみることをお勧めします。 

 

4. まとめ 

相互フィードバックを用いたグループワークを通じてお互いの強みや弱みを知ることにより、理解が深まります。 

また、知った強みや弱みに対して意見や改善案などを自らが発信することにより、自信や改善の意識が芽生えるためチーム内の雰囲気が良くなります。 

雰囲気が良くなるとメンバーのモチベーションやる気が上昇し、チーム内の生産性が高まります。 

それだけでなく、チームの一体感も向上します。 

つまり、相互理解を深めることが生産性を高めることへの近道かもしれません。 

 

是非、相互フィードバックを取り入れてみてはいかがでしょうか。 

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