組織における価値観共有の重要性とは 具体的なメリットと方法を徹底解説

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組織における価値観共有の重要性とは 具体的なメリットと方法を徹底解説

2023年1月13日

皆さんは仕事をしていく上で個々の価値観を共有していますか? 

仕事上の価値観の共有というのは、友人との付き合いやパートナーとの付き合いと異なる部分があるかと思います。 

仕事で出会うメンバーというのは、必ずしも価値観が一致しているとは限りません。価値観は異なるとしても、共に活動していく必要があります。  

そういった状況において価値観の共有をしておくことで労働環境や生産性に大きなメリットがあるのです。 

本記事では価値観の共有によって得られるメリットや共有の方法まで幅広く解説していきます。

手をつなぐ会社員たち

 

 

1. 価値観の定義と理解

価値観の定義や背景、人々がそれを持つ理由 

そもそも価値観とは何でしょうか?

価値観とは

人生において何に重きを置いているのか

です。

価値観は今までの人生で経験してきたこと、詳しく言えば、「どのような行動をとってきたか」、「どのような思考をしてきたか」といったものの積み重ねによって構築されています。  

例えば、ビジネスの世界で重視される価値観はライフワークバランス、働く場所、給料やコミュニケーション方法などです。もちろんこれ以外にも無数にあります。 

それぞれが違う人生を送ってきているので、それが異なるのは当然のことです。 

価値観が人々の意思決定や行動に与える影響 

人は基本、自分の価値観に従って思考し、行動します。価値観というのは今まで自分がいた環境、経験によって構築されています。 

例えば、部活等によって監督から厳しく指導されていた人物は日常生活においてもルールや規則に対して厳格になり、集合時間などにも厳しくなります。

しかし部活長年やってきても時間や規則にルーズな人もいます。それはその部活以外の要素が価値観に影響を及ぼした結果なのです。人は基本的に無意識ながらも自らの価値観に沿って行動しています。 

つまり、価値観とは言い換えれば行動基準・思考基準であるということにもなります。 

 

2. 価値観の共有がもたらすメリット

チームや組織で共有される価値観の意義

チームや組織で価値観を共有することには大きな意義があります。 

まず、共有された価値観というのはチームや組織内での行動や判断の基準になります。 それに沿って行動・判断していくことによって全体に統一感をもたらすことができます。 

 

そのように全体に統一感が生まれていくことによって、組織のアイデンティティが形成されていきます。組織のアイデンティティが明確であるというのは組織が「何を行っているのか」が明確であるということです。 

それらが明確であることによって、社員自分が所属している組織に対して、誇りを持つことができます。 

つまり、価値観を共有することによって、全体に統一感が生まれ、それが社員の帰属意識につながっていくということです。

 

共有された価値観がチームや組織与える影響

上記で言及したように、共有された価値観は社員の組織への帰属意識を高めます。

帰属意識が高いというのは言い換えれば、

「自分たちが行っていることに誇りを持っている」状態

とも言えます。この状態がチームや組織に良い影響を及ぼします。 

自分の仕事に誇りを持っている社員は仕事を自分事にできています。自分事にできている状態であれば、モチベーションを高い部分で保つことができます。

また、自分事にして仕事の流れ全体をつかむことができていれば、様々な状況に柔軟に対応することができるので、生産性も上がります。

価値観を共有することでこの状態の社員を組織内に多数生み出すことができ、個人だけでなく全体としても生産性を高めることができるのです。 

 

また、組織文化に対しても価値観の共有は影響します。価値観を共有し、社員一人ひとりの価値観をきちんと組織運営に反映させていくことで、組織文化が多様により良く変化していきます。 

また、繰り返し共有し続けることによって網羅できる範囲が広がっていきます。多様性を取り入れている企業の生産性は高いところで一定に保つことができます。 

多様性に関してはこちらの記事で詳しく説明しています 興味のある方は是非ご覧ください。

 

3. 価値観共有によるチームや組織に生じる問題とその対処法

価値観を共有することにはたくさんのメリットがあります。しかし、メリットだけではなく問題が生じる場合もあります。問題点も正しく理解し、効果的に価値観の共有が行えるようにしましょう。

偏見や差別の可能性 

課題

価値観というのは人によって異なる部分が大きくなります。それゆえ他のメンバーから共有された受け入れられないといったことが起こる可能性があります。また、共有された価値観自体が差別的な要素を含んでいる場合もあり、大部分から受け入れられないこともあります。受け入れられない場合、それらが組織内の偏見や差別を助長してしまう場合もあります。

 

対処法

まずは、全体に共有する前に、個人で自分の価値観を見つめなおす時間を設けるべきです。自分のもっている価値観は差別や偏見を含んでいないか、含んでいる場合はそれをどのように解釈したらよいかを考える機会を与えましょう。社内に相談役を設け、そういった価値観に関して相談できる心理的安全性の高い空間を作ることも効果的です。

また、このような問題に対しては組織全体として多様性を受け入れるための研修である「ダイバーシティ・トレーニング」を実施することも必要です。他人を受け入れるための準備を組織主導で行いましょう。

 

価値観を共有しにくい環境 

課題

価値観の共有を行う際に共有することを抑制してしまう場合があります。チームや組織において十分な関係性を構築できていない場合、自分の本当の価値観を共有できず、周りに同調してしまう可能性があります。このようなズレというのは、のちに不信感集団思考につながり、価値観を共有することが組織やチームにとって逆効果になってしまいます。

 

対処法

このような問題の原因として考えられるのは心理的安全性の低さです。心理的安全性が高い状態とは「組織の中で自分の考えを述べることにためらいがない」ということです。つまり、心理的安全性が低いと率直な意見は出てきにくくなります。心理的安全性を高めることによって率直に価値観を共有しやすくすることがこういった環境を変化させていきます。

心理的安全性を高める方法はこちらの記事で詳しく解説していますので興味がある方はぜひご覧ください。 

 

4. 価値観の共有が難しい理由と解決方法

「価値観の共有」が難しい理由

価値観の共有が難しい理由は大きく分けて以下の3点です。 

  • 価値観は個人によって大きく異なる
  • 価値観は無意識に構築される
  • 価値観は変化する

そもそも価値観とは個人によって大きく異なる場合があります。異なる価値観を共有するためにはコミュニケーションを慎重に取る必要があります。コミュニケーション方法等を間違えると、価値観の共有はうまくいきません。 

また、価値観というのは無意識に構築されている場合があります。無意識の価値観というのは本人にもわからないことがあります。本人が気が付いていない場合、それを他人に共有することは不可能に近くなります。 

 

加えて、価値観は変化していくものです。様々な経験をすることによって従来の価値観が塗り替えられることもよくあることです。

そのように自分の価値観の変化というのを自認するためには個人が定期的に自分の価値観を従来のものと照らし合わせる必要があるため、全体で価値観を共有することの難易度は高くなります。 

 

個人が自分自身の価値観を理解するために

組織やチーム全体で価値観を共有する前に個人での価値観の理解というのは必要不可欠です。

自分自身の価値観を理解する機会を設けることで、無意識に変化した価値観を明確にすることができます。  

個人が自分自身の価値観を理解するためには以下のような手段が有効です。

 

またご紹介している内容を資料化しておりますのでぜひダウンロードしご利用ください。

 

自身の価値観に関して仮説検証してみる

自分自身で認識している価値観と実際の行動を照らし合わせてみてください。 

例えば、「私は時間よりもお金を大事にしている」という価値観を自覚している場合、それを自らの価値観だと仮説を立て、日常生活の行動と照らし合わせてみましょう。 

電車に乗る際などに、電車賃は高くなるけど、早く目的地に着く電車か、電車賃は安いけど目的地に着くまでに時間がかかる電車のどちらを選ぶかどうかなどからも自分の価値観を判断する材料になります。 

仮に、仮説通りであれば、それを自分の価値観として認識することができます。反対に仮説通りでない場合、その逆、またはほかの選択肢が出てきます。そこから同じことを繰り返していけば正しい価値観に出会うことができます

 

他者との会話

個人の価値観に気付く機会は一人の時のみではありません。他者と話をすることによって、違う考えに触れ自分の価値観を明確にすることができる場合もあります。

友達や同僚、家族との会話にいつもより注力してみてください。自分の中で気付きを得ることができます。 

 また、他者にどのような印象を持たれているかを知ることも大切です。自分で認識している自分の価値観と実際の自分の行動の差異を知ることができます。

自分の行動を客観的に判断することは難しい場合があります。なぜなら、自分は自分の思考に基づいて行動をしているつもりのため、その行動が実際どのような印象を持たれているのか判断しにくいからです。

 

しかし、他者には思考が見えておらず行動をもとに思考を推測されています。つまり、他者から見た自分というのは行動をもとに考えられています。

つまり、「自分」という存在に対する見方のプロセスが逆なのです。

他者の客観的な意見を聞くことで、無意識のうちにとっている行動を知ることができるのです。無意識に取っている行動を知り、その行動をとっている理由を考えるきっかけになります。それを繰り返すことで自分の価値観を明確にすることができます。

にこやかに話し合う上司と部下の画像

 

チームや組織で価値観を共有するために

個人で価値観を明確にすることがきたらそれらを全体で共有していきましょう。そのための方法には以下のものがあります。 

ミーティングやワークショップの開催 

価値観を共有することに関してミーティングやワークショップを行い、社員が主体的に価値観を共有できる機会を設けましょう。

ワークショップというのは参加者が主体となって行われる講座のことです。ただ、価値観の共有やとらえ方に関してティーチング形式の研修を行うだけでは意味がありません。社員が主体的に自分の価値観を深めていくことで、社員同士が意見交換をし、お互いの理解を深めることができます。それによって価値観が共有されていきます。 

また、1つのテーマに対して意見を交換するのも効果的でしょう。共通の目標に対しどのようにアプローチをかけていくのかが明確になり、それらが価値観の違いを浮き彫りにします。それによって異なる価値観を社員同士で共有することができます。

 

パーソナリティテストの実施 

MBTI診断などのパーソナリティテストを行い、個人のパーソナリティをある程度のタイプに分類し、それを全体で共有するのも有効です。

同じ質問に対しての回答の違いが明確にわかるのでそれらを意識することで違いを理解しやすくなります。また、普段の行動などと照らし合わせることでお互いに自分自身について話し合うきっかけ作りにもなります。

加えて、結果の項目や傾向の表示の仕方が同じなので、比較しやす、共通点などを見つける事もできますこのように同じ媒体を使用し、パーソナリティをある程度の型にあてはめて考える事も、全体で価値観を共有する際に役に立ちます。 

 

5. 価値観共有ワーク

ここまで、価値観の定義から価値観を共有する方法まで説明してきました。 

ここからは具体的に価値観を共有するためのワークを紹介します。 

 

まず、価値観の共有のカギはコミュニケーションです。  信頼関係を築き、互いの価値観を開示していくことで、相互理解が深まります。  

雑談を行うなどの日常のコミュニケーションで価値観を理解していくことも大切ですが、共有するためにはある程度自分の価値観を理解し、言語化していく必要があります。 

そのために、お互いの価値観を明確にし、言語化できるようにするためのワークをはじめに紹介します。 

 

80の価値観リスト

目的:メンバーが人生において大切にしているものを明確にする

所要時間:30分

 

80の価値観リストとは、メンバーが人生において何を大事にしているのか知るためのワークです。 

ニューメキシコ大学の研究で提唱された「価値観リスト」という、自分の価値観を改めて認識するためのリストを使用します。  

弊社が提供している資料に、80の価値観リストと具体例を記載したテンプレートをご用意しておりますのでダウンロードしワークを行なってください。

以下にリストの一部を記載させていただきます。(全容は上記のURLから資料をダウンロードください。)

そこから大切なものを10個選んでもらい、それに優先順位をつけてもらいます。

  1. 受容ーありのままの自分を受け入れてもらうこと
  2. 正確ー自分の意見や信念を明確にすること
  3. 達成ー重要な物事を達成すること
  4. 冒険ーワクワクする新しい体験をすること
  5. 魅力ー体的な魅力を持つこと

など

10個の優先順位がつきましたら、10個の価値観それぞれについて、  

「その言葉が自分にとってどんな意味であり、なぜ重要なのか」  

 を考えてもらいます。  

ひとくちに「受容」が最も重要だとしても、いつ「受容」されていると感じるかは人によって異なります。    

話を聞いてもらうことで「受容」を感じる人もいれば、肯定されることで「受容」を感じる人もいます。  

人生の価値観を知ることで、メンバーとの接し方もを見直せます。  

また、メンバーの価値観を知ることで、言動の意図を読み取りやすくなり、コミュニケーションが活性化することも見込めます。  

 

14の労働価値

目的:仕事において何を重視するか

所要時間:15分

 

次にメンバーが仕事において何を大事にしているのか知るワークをご紹介します。   

アメリカのキャリア研究家 ドナルド・E・スーパーが提唱した14の労働価値を使用します。 

14の労働価値は、仕事に対する人の価値観を14項目に分類したものです。 

こちらも弊社が提供している資料に、14の労働価値と具体例を記載したテンプレートをご用意しておりますのでダウンロードしワークを行なってください。

以下にリストの一部を記載させていただきます。(全容は上記のURLから資料をダウンロードください。)

そこから大切なものを3個選んでもらい、それに優先順位をつけてもらいます。

14の労働価値

  1. 能力の活用―能力を発揮できること 
  2. 達成―良い結果が生まれた実感を得ること 
  3. 美的追求―美しいものを創りだすこと 
  4. 愛他性―人の役に立つこと 
  5. 自律性―自律していること 

など

 

80の価値観リストと同様に、「その言葉が自分にとってどんな意味であり、なぜ重要なのか」を考えてもらいましょう。  

メンバーが仕事に何を求めているのかを知ることで、適切な配属やキャリアプランの提案ができます。  

また、能力の開発を重要視しているメンバーにはあえて困難な課題を与えて成長を促す、達成を重要視しているメンバーにはゴールを提示して達成を意識させるなど、個々に合ったマネジメントができます。  

 

6. まとめ

いかがだったでしょうか。 

最後に大切な4点をまとめます。 

価値観とは人の思考基準であり、行動基準 

経験に基づいて形成される 

価値観の共有は生産性をアップさせる

個人で自己分析をしてから全体への価値観の共有を行う 

 

価値観の共有というのは難易度が高いものだと思います。 

しかし、丁寧にお互いを尊重しながら行うことによってたくさんのメリットがあります。 

この記事で紹介した方法を参考にしながら状況に合わせて取り入れていってください。 

 

 

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