会議資料には、会議参加者の理解を深めたりプロジェクト推進の決議をとったりと、重要な役目があります。
「会議資料ひとつで会議進行が決まる」といっても過言ではありません。
今回は、わかりやすい会議資料を作るための6つのポイントを詳しく解説します。
この記事の最後では、早速会議で使える会議資料のテンプレートもダウンロード可能です。ぜひ資料作りの参考にしてください。
1. 会議資料作り方6つの極意
会議資料を作るときは、次の6つのポイントを考えながら作るといいでしょう。
- 最初に全体構成を考える(いきなり作り出さない)
- 資料の目的とゴールを設定する
- デザインに凝りすぎない
- ページごとの上段で伝えたいメッセージを入れる
- ページ内に多くの要素を入れすぎない
- オンライン会議に使用する資料は文字の大きさに注意する
やみくもに言いたいことを詰め込んだ資料は読みづらいですし、ストーリーがない資料は読み手の行動を促すことにつながりません。
「良い会議資料」の条件は、会議内容を要約するだけではありません。資料をもとに参加者の心を動かし、スムーズに決議を取ることや、新しいプロジェクトを進めるうえでの動機づ付けとなる必要があります。
会議資料を作る時は最初に全体構成を考える(いきなり作り出さない)
会議資料を作るときは、いきなり冒頭のページから作成するのではなく、全体構成を考えるところからはじめるといいでしょう。
例えば、次のような構成があるとわかりやすいかもしれません。
【会議資料の構成例 ※新しいプロジェクトについて議論する場合】
- 導入部分:会議の背景や目的を簡潔に記載
- 目的の明確化:会議で達成したい具体的な目的やゴールを示す
- 現状分析:現在の問題点や課題をデータや事実に基づいて提示
- 提案や解決策:課題に対する提案や解決策を具体的に示す
- 実行計画:提案を実現するためのステップや計画を示す
- 結論:会議のまとめや次のアクションを明確にする
- 質疑応答:参加者からの質問やフィードバックを受け付ける
資料の構成は手書きメモでもいいですし、パワーポイントの目次欄に自由に書き込んでもいいでしょう。
頭のなかで簡単にプレゼンをするイメージを描きながら、会議参加者の立場や意図を考えると、理想的な構成ができあがります。
資料の目的とゴールを設定する
資料作成でもっとも重要なポイントは「資料の目的とゴールを設定すること」です。
目的とゴールが明確であれば、会議参加者は
「会議で何を議論すべきか?」
「自分はどんな行動を起こすべきなのか?」
がはっきりします。
ゴール設定が曖昧な資料を提出してしまうと、会議での議論ポイントが曖昧になり、無駄な会議になってしまいます。
資料の目的は、会議の内容によりさまざまです。
「社内で起きている問題解決策を決める」でもいいですし、「意識を統一させたい」という定性的なものでもかまいません。また、ゴールを決めるときは、会議の内容にもよりますが「方針の承認を得る」または「タスクの割り当て」などが一般的です。
見やすい会議資料は「はじめからデザインに凝りすぎない」
会議資料でよくあるミスのひとつに「デザインに凝りすぎる」があります。
たくさんの図形やグラフを使ったりフォントを強調しすぎたりすると、「結局どれを強調したいのか?」がわからなくなります。
また、デザインに時間をかけすぎて、肝心の資料が陳腐化することもあるでしょう。
資料のデザインは、情報を視覚的に伝える手段にしか過ぎません。まずは会議で伝えるべき情報を整理し、内容が固まったあとでデザインを施すようにしましょう。
ページごとに伝えたいメッセージを入れる
数値やグラフを使った会議資料を作る場合は、そのグラフを使って伝えたいことをページ上段に書くといいでしょう。
例えば、年度ごとの売上推移を示したグラフを挿入した場合は、冒頭で「2020年~2023年まで売上成長率〇%で推移。課題は〇〇」と書くといいでしょう。
読み手が見るべきポイントがわかりやすく、会議もスムーズに進行します。
ちなみに、メッセージを入れる場所は「上部」か「下部」に意見が分かれます。数字やグラフで伝えたいポイントが明確なら、上部にメッセージを入れたほうが混乱を招かずに済みます。
一方、数値やグラフなどを見ながら議論したい場合は、結論を書かずページ下部に質問を投げかけるかたちでメッセージを残すのがおすすめです。
1ページ内に多くの要素を入れすぎない
会議は限られた時間しかないため、資料には多くの要素を入れすぎないようにしましょう。
会議で伝えたいポイントを整理し、優先順位を決めれば、省くべき要素が見えてきます。
資料を作る段階では思いつくまま数枚の資料を作成し、あとで余計な情報を削ぎ落していくと、より洗練された資料ができあがるでしょう。
関連性のある情報は1枚に収めたくなりますが、重要な情報だけ掲載して、そのほかはappendixなどで補完しておくのがおすすめです。
オンライン会議に使用する資料は文字の大きさに注意する
オンライン会議は、パソコンやタブレットスマートフォンなどで参加する人も多いため、文字の大きさに注意して作成するようにしましょう。
文字サイズは、最小でも12ポイント以上あるのが理想的です。それ以上小さくなると読みづらくなり、会議参加者の混乱を招きます。また、使用するフォントも「メイリオ」など、読みやすいフォントが理想です。
背景やグラフの色合いとのコントラストにも注意し、モバイル端末でも読みやすいカラーで装飾するのがオンライン会議用の資料を作るコツです。
2. 具体例1:社内会議資料作成のポイント
「会議資料」とひと言でいっても、「社内会議で使う資料」もあれば「クライアントとの会議(※プレゼン)で使う資料もあるでしょう。
はじめに、社内会議で使う資料を作るうえでのポイントや、資料作成に至るまでの事前準備の方法をご紹介します。
会議主催者への事前確認
社内会議資料を作る際は、会議主催者への事前確認を怠らないようにしましょう。
一見面倒な作業のように見えますが、会議主催者の考えがわからないと資料作成の視点がズレてしまい、わかりづらい資料になってしまいます。
【会議主催者へ確認すべきポイント】
- 会議の目的とゴールはなにか?
- 会議参加者の人数と背景は?(なぜその人を呼んだのか?どんな判断をしてほしいのか?)
- 期待される資料の内容は?(必要な情報など)
- 発表時間は?(与えられた時間によって資料のボリュームを変える必要がある)
- ほかの発表者との連携は必要ないか?(議題や内容が重複しないようにする)
- 会議資料の事前提出期限は?
発表時間を考えシンプルな構成を考える
社内会議は「30分以内」など、会議時間が短いケースも多いため、発表時間を考えたシンプルな構成を考えるようにしましょう。
限られた時間のなかで目的が明確な資料を作るには、資料の中身に優先順位をつけておくのがおすすめです。
場合によっては会議が紛糾し「何も決められなかった」といったこともあり得ます。
会議で議論すべき点は冒頭で伝えておくなど、資料の目的を曖昧にしないように注意しましょう。
会議資料ができあがったら、一度発表者が練習をし、時間内に収まるかどうか確認しておくことも重要です。
誤字脱字や数字の誤表記を再チェックする
会議資料を提出する前には、誤字脱字や数字の間違いがないか再確認しておきましょう。
会議資料の数字が間違っていたり誤字脱字があったりすると、資料の信頼性がなくなり、会議進行にも支障をきたします。
数字を確認する場合は、資料作成者だけがチェックするのではなく、第三者の目でも再確認するようにしましょう。
校正を行うときには、資料をもとに実際に声を出して発表してみるのがおすすめです。
余計な文章が含まれていたり、声に出すことで間違っている語句や数字に気づけることも多いです。
文字や数字を修正するときは、修正履歴がわかるように、資料にバージョン番号を付与するなどして後々見返せるようにしておきましょう。
重要性の薄い資料はappendixにする
会議資料の質を高めるためには、重要性の薄い頁をappendixにまとめるようにしましょう。
例えば下記のような情報は、会議資料の本題のなかに入れないのがおすすめです。
- 根拠データや統計データ
- 研究や調査結果
- 関連資料や文献データ
- 補足情報など
appendix以外の資料を重要なものとするためにも、必須ではない根拠資料などは別添にしておきましょう。
3. 具体例2:クライアントとの会議資料作成のポイント
次に、クライアントとの会議で使う資料作成のポイントについても詳しくご紹介します。
クライアントとの会議ではプレゼンを伴うことも多く、会議資料のクオリティ次第で売上にも影響がでるケースもあります。
社内資料とは違い、一度提出すると修正がきかなかったり、資料だけが一人歩きしたりすることもあるため、慎重に作成する必要があるでしょう。
誰が見てもわかる資料にする
クライアントとの会議で使う資料を作る際は、誰が見てもわかる資料にしましょう。
会議の場に参加するのは、いつもコミュニケーションが取れている担当者とは限りません。
初対面の人が会議に出ることもありますし、先方の経営層が参加するケースもあります。
「普段交渉している人には細かい説明をする必要はないだろう」と資料を省略してしまうと、詳細の確認に時間が割かれ、肝心のプレゼン時間がなくなるかもしれません。
また、会議終了後にクライアントの社内で資料だけが一人歩きし、まったく知らない部署に転送される可能性もあります。
クライアントに提出する資料は、誰が見てもわかる「補足説明不要」の資料が理想です。
目次を使いプレゼン終了時間をイメージしてもらう
プレゼンするための資料を作成するときには、目次を使ってパートごとの所要時間を書いておくといいでしょう。
例えば下記のようなイメージです。
【目次】
- 商品開発の背景(3分)
- 新商品のご提案(10分)
- 価格イメージ(5分)
- 今後のスケジュール(3分)
クライアント側の参加者は、忙しい時間を割いて会議に参加してくれています。
有意義な会議となるように終了時間をイメージしてもらい、最後まで集中して参加できるように資料作成も工夫しましょう。
3色以上使わない(1カラーでも可)
パワーポイントで資料を作る際は、3色以上使わないように注意しましょう。
3色以上使うと強調する部分が曖昧になり、読み手の集中力もなくなります。
商品プレゼンなどをする際は訴求したい箇所がたくさんあり、つい多くの色を使ってしまいがちです。
シンプルで訴求力のある資料を作りたいなら、一色で濃淡をつけて作ってみるのもひとつの方法です。
黒やグレーで資料を作成し、もっとも協調したいところだけブランドカラーを使うのもいいでしょう。
資料の最後は熱意をこめたメッセージで締めくくる
プレゼン資料は最後の印象も重要です。
さまざまなデータや提案だけの資料で終わるのではなく、最後に下記のようなメッセージで締めくくるのも効果的です。
- クライアントへの感謝の言葉やお願いをこめたメッセージを残す
- 今後の提案やアクションプランを明確に示す
- 資料でもっとも伝えたい部分を再度強調し印象に残るようにする
4. 具体例3:営業会議や経営会議資料作成のポイント
営業会議や、経営会議資料を作るポイントについてもご紹介します。
営業会議や経営会議では、正確な数値やグラフなどを使った資料が必要で間違いも許されません。
正確な情報を、よりわかりやすく伝えられるように工夫しましょう。
データの可視化に工夫する
営業や経営の幹部が見る資料を作成する場合は、複雑なデータや統計をできるだけグラフ化するようにしましょう。
グラフを作るときは、伝えたいメッセージを資料冒頭に書き、会議のゴールと連動させた数値やグラフを作るのが上手な資料作成のコツです。
ただし「事実と異なる見せ方」や「過大表示や過少表示」は控えるようにしましょう。
前年度成長率など推移をグラフ化する場合、成長率を誇張するために、グラフ目盛りを大きくする人がいます。
信頼を失うような資料を作ってしまうと、提出したすべての資料が疑われてしまい、資料全体の信頼性もなくなります。
また会議のマンネリ化を防ぎ、注目すべきタイミングで資料に誘導するためには、資料内でアニメーションを入れるなどの工夫もおすすめです。
ただし、アニメーションを使いすぎると資料で伝えるべき焦点が曖昧になってしまい逆効果です。
特に注目させたい部分だけに限定して使うようにしましょう。
また、資料内でデータを使う場合には、必ず引用元を明記してデータの信頼性を損なわない工夫も大切です。
ビジョンとの整合性を考える
経営層が参加する会議においては、会社のビジョンと資料の方向性にズレがないか、整合性を考えた資料にしましょう。
例えば次のような点は再確認しておく必要があるでしょう。
- 会社の中長期計画や将来のミッションとの整合性はあるか?
- 経営層やステークホルダーが重視するポイントや課題とズレはないか?
- 企業戦略と整合性のある内容になっているか?
経営層の意向と合致した資料ができたら、最後に経営層に対し「目標達成に必要なリソース」や「サポート」を求めるページを作ってみるのもおすすめです。
また企業戦略と一括りに行っても経営戦略や事業戦略など様々な戦略があります。
これらの違いについては別記事でもご紹介しているので、ビジョンをより理解するためにもぜひご一読ください。
経営戦略とは?|事業戦略との違いと役立つフレームワークを紹介
質問やフィードバックのコーナーを設ける
資料の最後には、質問や経営層からのフィードバックを受けるページも作っておきましょう。
具体的には「質疑応答」などタイトルだけを記載し、空白のページを作っておくだけで質問を考えてくれるようになります。
会議までに時間がある場合は、事前に資料を渡しておき、想定される質問や答えを事前に用意しておくといいかもしれません。
オンライン会議をする場合は、資料の最後にアンケートURLやQRコードを設置しておくなど、質問や提案がスムーズにできる仕組みを作っておくのもいいでしょう。
5. 会議資料のテンプレートと参考にしたい動画や本
会議資料の作成に使えるテンプレートをお探しなら、下記ダウンロードリンクから社内会議資料のサンプルを入手してください。
社内会議資料の作成には時間を割けないことも多く、テンプレートがあれば時間の節約にもなります。
見やすい会議資料テンプレート
今回用意したテンプレートは「h3)会議資料を作るときは全体構成を考える」でもご紹介したプロジェクト提案に関する資料の例です。
下記の構成に沿った資料テンプレートがダウンロードできます。
【プロジェクト提案に関する社内会議資料テンプレート】
- 導入部:会議の背景や目的を簡潔に説明
- 目的の明確化:会議で達成したい具体的な目的やゴールを示す
- 現状分析:現在の問題点や課題をデータや事実に基づいて提示
- 提案や解決策:課題に対する提案や解決策を具体的に示す
- 実行計画:提案を実現するためのステップや計画を示す
- 結論:会議のまとめや次のアクションアイテムを明確にする
- 質疑応答:参加者からの質問やフィードバックを受け付ける
会議資料作成で参考にしたい動画「シリョサクTV」
YouTubeなどの動画サイトには、社内会議資料の作成で役に立つ、さまざまな動画が掲載されています。
そのなかでも、会議資料を作るときに参考にしたい動画サイトが「シリョサクTV」です。
シリョサクTVは、「資料をもっとおもしろく」をテーマに掲げているシリョサク株式会社が運営しているチャンネルです。
資料作りに重要な構成の作り方や、実際に作られた資料をもとに添削する様子が見れるなど、実務の参考になる242本の動画が視聴できます。
実際の社内資料作成で十分に使えるテクニックが数多く掲載されていますので、ぜひ参考にしてください。
会議資料作成で参考にしたい書籍
会議資料の作成に困ったら、下記の書籍も参考にしてみましょう。
PowerPointなどの資料作成テクニックだけではなく「説明スキルの磨き方」や「資料骨格の考え方」なども学べます。
★おすすめ書籍1:【Google流 資料作成術】
【Google流 資料作成術】は、会議資料を作るうえでの考え方が学べる書籍です。
- 会議資料を作るときは「3分しかなかったら相手に何を伝えるか?」を考えると良い
- パワーポイントなどで資料を作成する前には、ストーリーボードで全体骨格を考える
- 表やグラフを使うときは相手の注意がそれないように飾りすぎない
- 資料の色は統一感を持たせる
実際にGoogle社内で活用されているテクニックが学べる一冊です。
★おすすめ書籍2:【「分かりやすい説明」の技術】
【「分かりやすい説明」の技術」】は、会議資料の作り方よりも「わかりやすい説明とはどういうことか?」がわかる書籍です。
- 分かりやすい説明とは概要から先に話すことである
- 会議などで人に説明するときは裏付けを用意し理論武装をすること
- ・説明中は聞き手に時間軸の立ち位置を伝え、飽きさせないようにする
会議では「わかりやすい資料+明快な説明」が求められます。この書籍を読めば、論理的に説明できるテクニックが学べるでしょう。
★おすすめ書籍3:【PowerPoint資料作成 プロフェッショナル】
【「PowerPoint資料作成 プロフェッショナル】」は、「人を動かす」「一人歩きする資料を早く作る」ことを実現させるためのテクニックが学べる書籍です。
- PowerPointで資料を早く作るテクニックとは?
- 人を動かす資料を作るためにはストーリー作りが重要
- 一人歩きする資料を作るためには「図解の型」を学ぶ
この書籍を読めば、資料を作成するうえでの作業環境の作り方やPowerPointのテクニック、最終的な流れの整理に至るまで、資料作りに必要なトータルスキルが学べます。
6. まとめ
社内会議資料を作る際は「プロジェクトの実行」や「社内課題の解決」など、「ゴールや目的」をイメージしながら作るのがポイントです。
思いつきで資料作成にとりかかるのは時間の無駄です。
会議のゴールを見据えて構成を作り、余計な情報は削ぎ落して洗練しながら作ると、良い資料ができあがります。
弊社のチームマネジメントツールについて
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執筆者:嶋よしかず