皆さんは、「レコグニション」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
リーダーとして、メンバーの努力や頑張りを評価することは重要です。 メンバーの成果や仕事ぶりに対し喜ぶだけでなく、レコグニションを行うことで、チーム全体にも多くのメリットがもたらされます。
この記事では、レコグニションとは何か、メリット、加えて効果的にレコグニションを実施するためのポイントについて説明します。
1. レコグニションとは
レコグニションの定義
レコニグション(recognition)を直訳すると、「認識」、「承認」です。
レコグニションとは、人事用語として「企業組織やチームのメンバーが優れた業績を上げたことを認める行動のこと」を指します。
「褒めて伸ばす」というのは昔からよく聞く教育法ですが、「レコグニション」が必要とされているのはなぜなのでしょうか。
マズローによると、人間の欲求の5段階の頂上(最も強い欲求)に「自己実現欲求」があるとされています。
リーダーがメンバーにレコグニションを行うことで、メンバーは自分の仕事や成果に対して認められ、自己成長やキャリアの発展を実現できる場があると感じることで、自己実現欲求を追求する意欲が高まります。
自己実現欲求の追求は、メンバーの満足度やモチベーションの向上につながるだけでなく、組織全体の成果や競争力の向上にも寄与します。
メンバーが自己実現欲求を追求できる環境が整っている組織では、優れたパフォーマンスや創造性が促進され、組織の目標達成に貢献することができるのです。
また、Great Place To Workが2018年から2020年にかけて、中小企業、大企業で集められた170万件の従業員のアンケートを分析したところ、職場で認められていると常に感じていない人に比べ、職場で認められていると感じている人は、以下のようになることが分かりました。
昇進が公平であると考える確率が2.6倍高い。
イノベーションを推進し、新しいアイデアを持ち込む可能性が2.2倍高くなる
2.0倍の確率で、この会社の人々はそれ以上のことを進んでやってくれると答える
参照元:[Great Place To Work]
これらのことから、メンバーのパフォーマンスだけでなく、職場やチーム全体の成果にも良い影響があると期待できます。
2. レコグニションの種類
レコグニションの具体的な例として、以下のようなものがあります。
金銭的なボーナス
給与や報酬の形で直接的な評価として提供されることで、メンバーのモチベーションや働きへの意欲を高める効果が期待されます。
表彰
月間最優秀社員の選出や、表彰イベントの開催、同僚による表彰プログラムなどが考えられます。
言葉による賞賛
口頭でのポジティブフィードバックだけでなく、お礼状や、メールでメンバーに業務依頼をする際に一言賞賛を添えるなど、文面での賞賛も有効です。
ランチイベント
食事を一緒に取る事は人々の心理的距離を近づける良い機会です。
シェフや板前を招待するランチ会のセッティングや表彰式の前後にビュッフェや立食パーティーの提供を行うことで、今まで話してみたかった人に声をかけるチャンスが生まれたり、いつもより深い話ができたりするかもしれません。
メンバーに対するレコグニションやリワードの形態は様々ありますが、個々のメンバーのニーズや好みに合わせて適切な形態を選択することが重要です。
2. レコグニションの4つの効果
モチベーションの向上
メンバーは自分の努力や貢献が認められることによって、仕事への情熱や意欲を増し、より高いパフォーマンスを発揮する傾向があります。
彼らは自己成長や目標達成への意欲を抱き、より高い品質の仕事を提供するために努力します。
また、レコグニションによってメンバーが目立った成果を挙げた場合には、他のチームメンバーや同僚にも良い影響を与えます。
メンバー同士がお互いの成果を認め合うことで、チーム全体のモチベーションや連帯感が高まります。
離職率低下
リーダーは、メンバーの教育だけでなく、メンバーが自分の能力を最大限に発揮し、長く仕事を続けられるように動機付けすることも重要です。 メンバーの離職率が高いと、生産性や士気の低下につながることもあります。
しかし、メンバーにレコグニションを行うことで、彼らのモチベーションを高め、定着率を向上させることができます。 また、メンバーが競合他社に移籍するのを防ぐこともできます。
自己研鑽の文化醸成
メンバーが表彰されるかどうかは別として、このようなレコグニションの仕組みを設定することで、仕事で良い結果を出そうという意欲を持つことからメンバーはそれぞれのスキルを磨きます。
その結果、生産性が向上するだけでなく、自分のスキルや業界の知識について常に最新の情報を得ることができるようになります。 さらに他のメンバーの自己研鑽意欲を向上させる良い循環が生まれます。
目的意識向上
レコグニションによって、会社が定期的にミッション達成に向けた取り組みや進捗状況を共有し、各メンバーの目標がそのビジョンとどのように関連しているかを説明します。
これにより、メンバーは自分の役割が組織の目標にどのように貢献しているのかを理解することができます。
また、レコグニションはメンバーに対してフィードバックや称賛を行うことも含みます。 メンバーに自身の成果や貢献が評価されることで、彼らは自己肯定感や安心感を得ることができます。
そして、彼らは自らの働きに誇りを持ち、より高いパフォーマンスを維持しようとする意欲が生まれます。
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3. レコグニションを導入する際のポイント
レコグニションの導入にあたって、公平性の担保と組織の成果に寄与できるかをよく考えて慎重に行う必要があります。
以下のポイントを参考に、組織にとってより効果的なレコグニションを設定していきましょう。
対象範囲の明確化
特定のメンバーやチームを対象から外すことなく、全員がレコグニションの機会を得ることが望ましいでしょう。 同じ社員が何度も活躍している場合でも、その度に表彰されることで、社員は励まされ、自身が組織の一員であることを実感できます。
しかし、評価基準が偏っていると公平性に疑問を感じるメンバーが多い場合、他の評価基準を設けるのも良いでしょう。
例えば、
売上成績の優れた社員だけでなく、チームプレーヤーやイノベーションへの貢献も表彰の対象とすること
で、個々の貢献を公平に評価できます。
全員を対象にした表彰プログラムは、チームワークを促進し、メンバーのモチベーションを高める効果があります。
公平な運用ルールの策定
レコグニションの方法は多岐にわたります。
組織やメンバーそれぞれの特性に合わせて、以下の項目について事前に決めておくことで、あとから発生する不満やトラブルを最小限にすることができます。
- 目的と目標:レコグニションの目的や目標を明確に定義すること。
- 対象範囲:レコグニションの対象となる行動や成果を具体的に明示すること。
- 基準と基準の一貫性: レコグニションの基準を設けて、メンバーの評価や表彰の一貫性を確保すること。
- 選考プロセス:レコグニションの対象を選ぶ方法や手順を明確化すること。
- レコグニションの種類:レコグニションの形式や報酬の種類を決めること。
- レコグニションの頻度:レコグニションをどのくらいの頻度、またはいつ行うかを決めること。
- 発表方法: レコグニションをどのようにしてメンバーに発表するかを決めること。
- 発表場所: レコグニションを行う場所や環境を設定すること。
- 発表者: レコグニションを行う人や部門を指定すること。
- フィードバックと改善: レコグニションの効果を評価し、運用ルールの改善に取り組むこと。
これらの項目を考慮して、明確な運用ルールを策定することで、運用するレコグニションの公平性と効果を高めることができます。
メンバーへの周知
メンバーへのレコグニションの周知は欠かせません。 メンバーがレコグニションの存在や仕組みを理解した上で参加してこそチームや組織でのレコグニションの効果が発揮されるからです。
例えば、
定期的な会議や社内メール、社内ポータルなどを活用して、レコグニションプログラムの内容や目的、対象となる行動や成果を明確に伝えること
が重要です。
また、
成功したケースや表彰された人のストーリーを共有することで、他のメンバーにインスピレーションを与えること
も効果的です。
メンバーへの周知を怠ると、レコグニションプログラムが十分に活用されず、参加者が限られた状況になる可能性があります。 これにより、モチベーションの低下や公平性への疑念が生じてしまう場合があります。
効果検証と迅速な改善
レコグニションプログラムを導入したら、その効果を定期的に評価し、必要な改善を迅速に行うことが重要です。
具体的な効果検証方法は、
- メンバーのモチベーションやエンゲージメントの調査
- 生産性や定着率のデータの分析
- フィードバックの収集
などがあります。
これにより、レコグニションの効果や課題が明らかになり、改善点を特定することができます。
例えば、
メンバーの参加率や表彰される回数が増えているかどうかを確認し、メンバーの満足度やエンゲージメントが向上しているか
を評価します。
また、フィードバックを活用して、メンバーの意見や改善案を取り入れることも重要です。
効果的なフィードバックの方法に興味がある方は、是非こちらの記事もご覧ください。
効果検証を怠ると、プログラムの効果が不明確になり、メンバーの関心や参加意欲が減少する可能性があります。
それに対して、迅速な改善を行うことで、プログラムの効果を最大化し、メンバーのモチベーションや組織のパフォーマンス向上に貢献することができます。
適切なタイミング
原則として、メンバーが目標達成した後の表彰が早ければ早いほど、その表彰はより信頼できるものになります。
例えば、
社員がプロジェクトを完了したばかりの場合、数カ月後に褒めるよりも、すぐに褒める
方がより有意義です。
メンバーの評価を優先し、いつ褒めるべきかを覚えておくためのシステムを導入しましょう。
4. まとめ
最後に、本記事の内容を以下にまとめました。
レコグニションの4つのメリットには以下のものがあります。
モチベーションの向上
離職率低下
自己研鑽の文化醸成
目的意識向上
レコグニションを導入する際は、以下の5つのポイントに気を付けましょう。
対象範囲の明確化
運用ルールの策定
メンバーへの周知
効果検証と迅速な改善
適切なタイミング
メンバーのパフォーマンスだけでなく、職場やチーム全体の成果を向上するために効果的にレコグニションを運用してみましょう。