「ティーチング」と「コーチング」 どちらも似たような言葉ですよね。
しかし、この2つには大きな違いがあります。 2つの違いを理解してこれらを状況別に使い分けられるようになりましょう。
ここでは、ティーチングとコーチングの違いを理解した後、それぞれの使い分け方を活用例と共に解説していきます。
1. ティーチングとコーチングの違い
ティーチングとコーチングは何がどのように違うのか?
それぞれを比較して違いを見てみましょう。
ティーチングとコーチングの違い
目的
ティーチングは上司(教える側)が持っている経験や知識を共有するというのが目的です。問題解決や目標達成のために知識として不足している部分を補うためのものだと思ってください。
コーチングは相手自身の成長のために気付きを与えるのが目的となっています。 相手が自分自身で物事に気が付けるようになるためにコーチングを行う側が促していきます。こちらは知識ではなくヒントを与えるものです。
与えるもの
ティーチングによって与えられるものは「知識」です。ティーチングの目的は教育なので、その過程で上司の経験などが知識として共有されます。
コーチングによって与えられるものは「気付き」です。相手自身の成長を目的としている場合、ティーチングの場合のように知識として与えられるものは多くありません。むしろ、相手が知識をこれから蓄えていけるようになるために、根本の部分を生成するための気付きを与えるのがコーチングです。
関係性
ティーチングは上記で説明した通り、「知識を共有する」ことが目的となります。すると関係性も、自然と「教える側・教えられる側」のように二分化されます。よってティーチングを行う際の双方の関係性というのは「先生と生徒」のようなものになります。
コーチングはあくまでも、ヒントを与えるだけです。教える側、教えられる側といった立場の違いはなく、どちらも対等の関係性として行うのが一般的です。
答えを持っている方
ティーチングは「教育」を目的としたものです。知識を与えるものなので答えが用意された状態で行われます。つまり、答えは自分(教える側)が持っておりそれを相手に共有するのです。
コーチングでは決まった答えが存在しません。相手の成長を促すための気付きを与えることを目的としています。つまり、自分(コーチングを行う側)は相手(コーチングを受ける側)にとっての答えを持っておらず、相手が答えを自分自身の中から探し出すことが必要です。
焦点
ティーチングでは答えがあるものを扱います。上記で述べましたが、決まった答えがあるものを扱っているので、人によって教える事や行うことが変化するものではありません。つまり、「事柄」に焦点を当て、行われるということです。
コーチングは「人」に焦点を当てます。その人が自分自身で思考できるようになるためにヒントを与えていくので、各個人の能力、スキル、性格、経験等を考慮した上で実施されます。そのため、方法や手順などは各個人に合わせ変化します。「相手(人)がどのように思考するのか」が重要なのです。
下記の表にそれぞれの違いをまとめました。
ティーチングとコーチングの使い分け
ここまで2つの違いを比較しました。違いを理解した上で、次は使い分け方を確認しましょう。
ティーチングが効果的なケース
対象者のスキルや経験が乏しい場合
業務等に関する知識の少ない対象者に対しては知識の共有を目的としたティーチングが有効です。
まだ、自走ができない対象者は、柔軟に状況に対応できるようになっていくために現状、学ぶことのできる知識を身に着ける必要があります。よって、対象者に「考える」ことを促すコーチングよりも、ティーチングが有効であるといえます。
早急に対応すべき業務を担当する場合
ティーチングは直近で効果が出ることが期待できます。ティーチングは短期間で行うことができ、考える時間を長期間必要としません。
そのため、対象者に対してティーチングを行い、対象者は共有された知識を状況に合わせてすぐに活用することができます。緊急性の高い業務に対してはティーチングが有効です。
コーチングが効果的なケース
対象者がその業務に対してある程度経験・スキルがある場合
コーチングは対象者の成長を目的としたものです。
対象者に知識・スキルが十分に身についている場合、ティーチングのように教育を目的としたものは必要ありません。このような段階にいる対象者に対しては「考える」ことを促す必要があるのでコーチングが有効です。
長期的に重要である内容を教える場合
コーチングは知識を与えるものではなく、長期的な目標を達成するのに用いられます。対象者が自分自身で考え、実行するというプロセスを身に着けることをサポートする際に有効になります。
そのため、短期間で結果を出しにくいですが、これらを行うことで対象者の大きな成長が見込めます。
これらの有効な場面を考慮すると、以下のようにメンバーの成長段階に応じて使い分けるのが効果的だと考えられます。
2. メリット・デメリット
ここまではそれぞれの違い、特徴や使い分け方を見てきました。 次はどのようなメリットとデメリットがあるのか説明していきます。
両方のメリットとデメリットを理解して、適切かつ効果的に使い分けることができるようにしていきましょう。
ティーチングのメリット・デメリット
ティーチングは知識を共有する一方的なコミュニケーションになることが多いため、一度に大勢の生徒に対して行うことができます。
また、ティーチングは既存の知識を教えるので、短期間で行うことができ、かつ直近で効果が出やすいものでもあります。
しかし、デメリットとしてティーチングにおいてそれを受ける側は自分で答えを探す必要がないため、自主性やオリジナリティーが育ちにくいという点があります。
コーチングのメリット・デメリット
メリットとして、自主性やオリジナリティーの向上につながります。コーチングには決まったことがないため、相手自身に自分なりの答えを見つけてもらう必要があります。 その過程でコーチングを受ける人は自分自身で考えるという作業を定期的に行うようになるため、自主性や思考力が育ちます。
しかし、コーチングは「人」に焦点を当てて行うことのため、大勢に一括で行うことが難しく、時間がかかってしまうという点が挙げられます。また、相手自身の成長を目的としているため、長期間になることが多く、直近で効果を出すことは難しいです。
それぞれのメリット・デメリットを表にまとめるとこのようになります。
3. ティーチング・コーチングの活用例
ここからはどのようにティーチング・コーチングを組み合わせて活用していくのか、例を用いて説明していきます。
ティーチングとコーチングを組み合わせた会話例
部下:来週行われる商談で使用するパワポ資料に関して質問があるのですが、お時間よろしいですか?
上司:もちろん。どうしたのかな?
部下: この資料だと重要な部分が分かりにくいかなと思いまして、、、
上司:なるほどね、具体的には何が原因だと思う?
部下:データの数値が伝わりづらい部分だと思います。
上司:いいね、どうしたらデータの数値が伝わりやすい資料にできる?
部下:それが、どうもわからなくて、、、
上司:そうか。じゃあ、1つ提案なんだけど、以前の数値と比較する資料を入れるのはどう?
部下:そうですね!それでわかりやすくなるかもしれません。
上司:ただ、文字で比較しても視覚的にはまだわかりづらいかもしれないね。どうすれば視覚的にわかりやすくなると思う?
部下:以前先輩の資料では、数値の比較が分かりやすくなるようにそれらの数値をグラフにして表示していました。
上司:それ、いいね!やってみよう!
部下:はい!ありがとうございました。
この例で用いた会話の中ではティーチングとコーチングの両方が用いられていました。「具体的には何が原因だと思う?」等の部分は部下に考える事を促す質問はコーチングのコミュニケーションです。
相手の言葉を整理した上で、次の答えにたどり着けるように質問をすることによってヒントを与えています。
一方、「1つ提案なんだけど、~」のように相手になかった知識を提供しているのはティーチングのコミュニケーション方法です。
人によっては「教えられている」という感覚が苦手な人もいます。このように「提案」等の言葉を使用し、相手にそれを使用することの選択権を与えることで、相手はそれを受け入れやすくなります。
場面によってはティーチングとコーチングは組み合わせることで効果的に使用することができます。
4. まとめ
ティーチングもコーチングも一見同じような言葉に見えます。
しかし、この2つには明確な違いがあり、使われる場面が異なります。
最後に本記事の内容を以下にまとめました。
ティーチングとコーチングの違いについては、こちらの表をもう一度確認してみましょう。
ティーチング、コーチングのそれぞれのメリット・デメリットは以下になります。
- ティーチング
- メリット:一度に大勢の生徒に対して行うことができる・短期間で行うことができ、かつ直近で効果が出やすい
- デメリット:自主性やオリジナリティーが育ちにくいという点
- コーチング
- メリット:自主性やオリジナリティーが向上する
- デメリット:大勢に一括で行うことが難しく、時間がかかってしまう
これらメリット・デメリットを理解し、対象者の段階別にティーチングとコーチングを使い分けることで、成長に寄り添っていきましょう。
弊社のチームマネジメントツールについて
- チームメンバーの心身状態が見えていますか?
- 目標達成に向けたメンバーマネジメントができていますか?
こんな課題を解決したく弊社はチームマネジメントツール【StarTeam】を開発しました。
チームワークを見える化し、チームリーダーのマネジメント課題解決をサポートします!
Starteamは
- チームやメンバーの状態の可視化
- 状態に応じた改善アクションの提供
- 改善サイクルの自走化
ができるサービスとなっております。
目標達成に向けたメンバーマネジメントにより
- 離職率が約30%→約15%への改善
- 残業時間が約1/3への改善
につながった実績が出ている企業様もございます。
ぜひ以下のバナーをクリックし詳細をご覧ください。