ホラクラシー型組織は、近年注目されている組織形態の一つです。その特徴的な組織形態から、注目を集めています。
しかしホラクラシー型組織は、従来の組織形態とは異なるため、導入に失敗するケースも多く見られます。
本記事では、ホラクラシー型組織における失敗事例と対処法を紹介しますので、ぜひ導入前にご参考ください。
1. ホラクラシー型組織とは
ホラクラシー型組織とは、日本の伝統的な上下関係に基づく組織形態ではなく、役割やプロジェクトに基づいて横断的に構成される新しい組織形態の事です。
ホラクラシーとは、ギリシャ語の「holon(全体の一部)」と「kratos(支配)」から派生した言葉であり、多くの部分が自己組織化され、調和的に連携することで全体を支配する組織形態を指します。
ホラクラシー型組織では、従来の階層的な組織形態よりも柔軟性が高く、より迅速かつ効率的な意思決定が可能です。この組織形態では、個々のメンバーが自己組織化され適切な権限を持ち自ら責任を持って業務を遂行することが望まれます。
では、より具体的な特徴について下記でご説明いたします。
ホラクラシー型組織の特徴
権限の分散
ホラクラシー型組織は、従来の上下のヒエラルキー構造を持つ組織とは異なり、権限の分散を特徴としています。つまり、意思決定や責任の分担がより分散され、個々のメンバーに多くの自主性が与えられます。
これによって組織全体がより柔軟性を持ち、創造性やイノベーションを促進することができます。
役割の明確化
ホラクラシー型組織では、各メンバーには明確な役割が与えられます。それによって、各メンバーが担当する範囲や業務内容が明確になり、自己責任を持って業務を行うことができます。また、誰がどのような業務を担当しているかが明確になるため、チーム内でのコミュニケーションや協調性も向上することが期待されます。
フラットな組織構造
ホラクラシー型組織はここまで述べてきた通り、フラットな組織構造を持ちます。つまり上司や部下の概念がなく個々のメンバーが並列で協力し合って業務を遂行することとなります。
これによってメンバー同士のコミュニケーションが促進され、組織内の協調性や創造性が向上することが期待されます。
またフラットな組織構造によって情報や意見が経営層に届きやすくなり迅速な意思決定が可能になります。
このようにホラクラシー型組織では、自己責任を持って業務に取り組むことが求められる為、そのために必要な環境が求められます。また自律性や自己決定能力を身に付けることを促し、働き方改革やダイバーシティ・アンド・インクルージョン(多様性と包摂)の推進にもつながります。
ただしこのような独特な特徴がある分、失敗の要因も多々あります。次の章では具体的な失敗要因をご説明いたします。
2. ホラクラシー型組織導入における失敗要因
情報共有の欠如
前章でも説明した通り、ホラクラシー型組織を成功に導くためには情報共有が不可欠です。そのため、情報共有の欠如が失敗要因となる場合があります。
情報共有が不十分な場合、タスクを遂行するための時間と労力が増大します。また、情報が不完全な場合、決定を下す際に不確実性が生じることがあり、結果として失敗する可能性が高くなります。
そのため、情報共有が欠如している場合には、問題を特定して改善するためのプロセスを定める必要があります。
ワークフローの設計不備
ホラクラシー型組織においては、タスクの分散とプロセスの改善が重要です。しかし、適切なワークフローが設計されていない場合、メンバーは自分たちの役割や責任の範囲が不明確なまま業務を進めることになります。
これは、タスクの遂行が遅れ、メンバーが自身の役割や対応範囲を自己判断で決めることになります。そういった際に、適切なワークフローの設計が不可欠であり、プロセスを改善するためのフィードバックループが常に回るようにする必要があります。
文化の浸透不足
ホラクラシー型組織に移行するには、その文化制度に関する明確な理解が求められます。文化の浸透不足があると、組織内での変化を促すことができません。
具体的にはホラクラシー型組織をなぜ導入する必要があるのか、求める自己組織化の精神やリーダーシップの分散化、情報共有の重要度などがあります。
これらが理解されていない場合、メンバーは新しい組織のあり方に適応できず、変革への抵抗感を示すことがあります。そうなってしまった場合、組織は崩壊へと進むことになります。
適切な評価指標の欠如
ホラクラシー型組織では、メンバーが自己組織化し柔軟なチームで業務を遂行することが求められます。しかし業務成果の評価指標が明確でない場合、メンバーは業務に対する優先順位を誤り最適な成果を生み出すことができません。
また評価指標が適切ではない場合、組織内での不公平感や評価の偏りが生じることがあります。
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3. ホラクラシー型組織導入における成功事例
ホラクラシー型組織を導入することで、組織がより柔軟に運営され、効率的に仕事が進み、実際に成功を収めた企業の事例を紹介します。
Zappos
Zapposは、2000年代後半にホラクラシー型組織を採用し、従業員の自律性と創造性を促進しました。
ホラクラシーの実践において、Zapposは従業員を小さなチームに分け、各チームは自分たちの仕事を組織内で自律的に進めます。
これにより、決定を下すのに必要な時間が大幅に短縮され、従業員がより自由に動くことができるようになりました。
ホラクラシーの組織により、Zapposはより柔軟かつ迅速に対応できるようになり、エンゲージメントを高め、生産性を向上させることができました。
参照元:[ Beyond the Holacracy Hype - Harvard Business Review ]
https://hbr.org/2016/07/beyond-the-holacracy-hype
Buffer
Bufferは、ソーシャルメディアマネジメントツールの開発企業であり、従業員の多くがリモートで働いています。2015年にホラクラシーを採用し、意思決定のプロセスを改善し、情報共有を促進しました。
Bufferは、組織内の役割と責任を明確にし、タスクを管理する方法を変更しました。ホラクラシーの実践により、Bufferはより透明かつプロアクティブになり、自律的に働くことができるようになりました。
ホラクラシーにより、Bufferは従業員の能力を最大限に引き出し、生産性を向上させ、創造的なアイデアをより多く生み出すことができました。
参照元:[ What We Got Wrong When We Tried Flat Management ]
https://www.fastcompany.com/3050759/what-we-got-wrong-about-holacracy
株式会社アトラエ
株式会社アトラエは、日本におけるホラクラシー型組織の導入事例の一つです。同社では、従来の役職や組織枠をなくし、全員が自己決定的に行動できる環境を目指しています。ホラクラシー導入後には、人事評価制度を撤廃し、目標設定やキャリアアップにおいて従来の上司部下関係による指導体系を廃止しました。
同社ではホラクラシー型組織導入によって、従来の上司部下関係から解放され、自ら考え行動する社員が増加し、それが組織のイノベーションや競争力向上に繋がっていると報告しています。具体的には売上高の中心である「Green」においてセールスの一人当たり約3.5億円の売上高を創出しました。また期末従業員数がYoY 22%増加と過去最高水準の生産性を実現したそうです。
また、同社では従来の評価制度の代わりに、社員が自ら目標を設定し、達成度合いを進捗管理ツールを用いて透明化することで、個人の成長や業務効率の向上を促進しています。
アトラエは、ホラクラシー型組織導入においては、社員が自律的に活躍できる環境を構築することで、従業員のやりがいやモチベーションを高め、組織の成長や競争力向上に貢献していることが示されています。
参照元:[上司と部下のいない世界ーーフラット型組織の実態]
https://get.wevox.io/media/atrae-think
4. ホラクラシー型組織の導入と運用における注意点
ここまで記述してきた通りホラクラシー型組織の導入には、従来の組織形態とは異なる特徴があるため、その導入と運用には注意が必要です。
以下に、ホラクラシー型組織の導入と運用における注意点を紹介します。
ホラクラシー型組織への理解を深める
ホラクラシー型組織を導入する前に、組織のメンバーに対して何故このような組織形態が選択されたのか、どのような効果が期待できるのかを十分に説明することが大切です。
従業員に対して理解を深めるためのワークショップや研修を行うことで、組織の全員が同じ目標に向かって協力することができます。
決定プロセスを明確化する
ホラクラシー型組織では、決定権が分散されているため、誰が何を決めるのかを明確にする必要があります。また、決定プロセスを定期的にレビューし、必要に応じて改善を行うことが求められます。決定プロセスが明確になっていることで、不必要なミスコミュニケーションや、意思決定に関する混乱を防ぐことができます。
情報共有を徹底する
ホラクラシー型組織では、情報が自由に共有されることが前提となっています。情報を共有することで、各メンバーが必要な情報にアクセスできるようになり、よりスピーディーな意思決定が可能になります。
情報共有のためのプラットフォームやツールを提供し、情報共有の重要性を徹底することが必要です。
関わる人材の選定に注意する
ホラクラシー型組織を導入する際には、組織の運営に関わる人材の選定に注意する必要があります。
ホラクラシー型組織は、従来の上下関係に基づく組織とは異なり、自律的なチームワークによって業務を進めていくため、チームメンバーの自己管理能力やコミュニケーション能力が求められます。
そのため、組織に必要な役割や業務を担う人材を選定する際には、その能力や意欲を評価することが重要です。
また、ホラクラシー型組織では、各チームが自律的に業務を進めるため、業務内容に応じたスキルや専門知識を持った人材を配置することも必要です。
さらに、自律的なチームワークにおいては、チームメンバーの自己裁量が大きくなるため、その人物像や行動原理についても選定の際に考慮する必要があります。
組織にとって適した人材を選定することが、ホラクラシー型組織の導入成功の鍵となるでしょう。
5. まとめ
当記事ではホラクラシー型組織の導入や運用において起こりうる失敗事例を紹介し、それに対処する方法を解説してきました。
導入後の成功に向けた取り組みが行えるように当メディアは応援しております。
ホラクラシー型組織に対する理解を深め、決定プロセスを明確化し、情報共有を徹底し、関わる人材の選定に注意して導入してみてはいかがでしょうか。