「新しいアイデアが出てこない。」
「会議で同じような意見しか出ない。」
このような悩みをお持ちの方もいるかと思います。もしかしたらそれは過去の枠組みにとらわれて真の意味での新しいアイデアを出すことができていないからなのではないでしょうか。
そのような悩みを解決する方法の1つにU理論というものがあります。
U理論とは何なのかを学び、新しい思考方法を身に着けていきましょう。
1. U理論とは
U理論とは
U理論とは
過去の経験をベースとした変革ではなく、未来を見据えた変革を組織に起こすため、直観的・感性的なアイデアを形にするための実践方法
です。
U理論はマサチューセッツ工科大学のオットー・シャーマー博士(スローン校経済学部上級講師)がコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーとの共同開発よって提唱しました。
この理論は130名以上の学者や起業家、芸術家などの革新的なリーダーたちに対してインタビューを行い、それをもとに作られています。加えて、シャーマー博士含むこの理論の実践者たちは様々な問題に対してU理論を導入し、実践理論としての完成度を高めています。
この理論は企業での問題解決だけでなく、複雑な社会問題の解決現場でも活用されています。
U理論が注目される理由
現代社会では解決が困難を極める問題があふれかえっています。
オットーシャーマー博士はそういった問題が解決できない原因として「複雑性」を挙げています。複雑性には「ダイナミックな複雑性」、「社会的な複雑性」、「出現する複雑性」の3つがあると提唱しています。
ダイナミックな複雑性
要因が複雑に絡み合うことによって、原因と結果が時間的地理的に離れてしまっている状態。個別最適化することによって状況がさらに悪化する可能性がある。
社会的な複雑性
価値観、信念、利害、経験の違いによって生じる複雑性。合理的な解決が難しく、結果がお互いの利害にかかわる場合、折り合いをつけることができない。
出現する複雑性
過去に直面したことがない問題に対する複雑性。問題の規模、解決方法が現時点で未知のため、利害関係すらわからない状態。
このように、過去をもとにすると話し合いが袋小路になってしまう、過去に解決事例がない、などの過去の枠組みに答えを求めることができない事例の発生が増えており、その解決方法として未来に新たな枠組みを作り上げるU理論が注目されています。
2. U理論の3つのプロセス
U理論3つのプロセス
U理論には3つのプロセスがあります。端的に言えば自己観察→準備→実行です。 そのプロセスに沿って変革をもたらしていきます。
それらのプロセスを説明していきます。
Uの谷を下る
ひたすら自己を観察して、過去の思考を手放す
Uの谷
内省して自分の源となる世界を知り、迎え入れる準備をする
Uの谷を上る
直観をつかみ取り行動に移す
まずは自分自身の観察を行い、思い込みや、自分が執着している思想を手放します。過去に捕らわれたままでは直観的なアイデアはすぐに排除されてしまいます。
自分の過去の枠組みから抜け出した後、その過程で浮かんできたアイデアを言語化します。言語化することで次に待ち構える具体化のステップを行うことができます。
そして最後はその具体化したアイデアを実行し、構造として社会に定着させていくのです。
また自己推察については、思考方法ではありませんが自分自身の価値観を理解することも大切です。こちらの記事で自分自身の価値観を理解するためのワークをご紹介しておりますのでご覧ください。
3. U理論の7つのステップ
上記でU理論の3つのプロセスについて説明をしました。ここからは実際にU理論を実行する際の具体的な7つのステップについて説明していきます。
この7つの状態を経由していくことでU理論を実践することができます。
今回はITコンサルティング企業が新たな市場に参入するまでステップを具体例に用いていきます。
ステップ1: ダウンローディング
ダウンローディングとは自分の中の経験によって培われた「過去をもとにした枠組み」に注目してしまっている状態です。通常と変わらない対応をすることはできますが、自分の枠組みから外れているものを排除してしまったり、起こる出来事に対して感情的に対応してしまったりします。つまり、自分の外側で起こる事象に対して過去の枠組みを通した反応しかできない状態になっているということです。
例: ITコンサルティング企業が、自社の顧客基盤を拡大するために新たな市場に進出することを決定する。
ステップ2:観る
自分の中の枠組みに意識を奪われず、自分の外側で起こる事象に対して注目する状態のことです。この状態は集中状態です。目の前の事象に関することのみに集中しているため、討論や議論等を行う場合白熱します。しかし、課題自体が複雑な場合、解決には至らず、その結果ステップ1に立ち戻ってしまう可能性もあります。
例:チームは市場調査や競合分析を行い、新たな市場での潜在的な需要や競合状況に注目する。
ステップ3:感じ取る
過去の枠組みにとらわれずに目の前の事柄に取り組めるようになり、かつ今までになかった思考や直観を発見できるようになります。ステップ2と違い、目の前の事柄に集中した状態で新たな思考にむずびつけていける状態です。今までの枠組みから外れているため、自分自身に混乱が生じる場合がありますが、新しい思考を身に着けることにつながる段階です。
例:これまで行ってきたインフラ設備に関するソリューションの提供ではなく、経営戦略に関するソリューションを行うべきではないかと武器を発見する。
ステップ4:プレゼンシング
いままで自分の枠組み(部分的)に向いていた関心が、全体へと向き始める状態です。ステップ1~ステップ3までは個人の内側での変化でしたが、ステップ4のプレゼンシングの段階では他の人を巻き込んでいくことができます。つまり、自分とその他(他人・組織・状況)が共鳴する段階です。
例えば、この段階では以下のような現象が生じます。
- 組織やチームに一体感をもたらす。
- 過去の事例にとらわれない新たなアイディアが出る
- 袋小路のように見える段階に対して落ち着いて行動がとれる(袋小路とは過去の枠組みにとらわれているから)
- 個人でなく組織やチームとして成し遂げるべきことが明確になる
例:チームは既存のサービスやビジネスモデルから脱却し、さらに既存顧客の大規規模企業ではなく小規模企業向けに準備した経営されたソリューションを提供することを計画する。
ステップ5:結晶化
この段階ではかすかなアイデアを具体化していきます。ステップ4のプレゼンシングでは頭の中のイメージであったアイデアを目に見える形にします。しかし、ステップ4の段階ではイメージにすぎないので、そのアイデアの意図を少しずつ明確にしていきます。明確にする際も過去の考えに基づいて行うのではなく、広義的にとらえていくことが大切です。そして、少しずつ活動を展開し始めます。
例:チームはマーケティング戦略や販売計画を立て、新たな市場での展開を開始する。また、小規模企業に対するセミナーやワークショップを実施し、製品やサービスの価値を伝える。
ステップ6:プロトタイピング
次に、ステップ5の結晶化で得られたイメージを具体的な施策のレベルに落とし込んでいきます。この際に大切なのはスピード感です。得られたかすかなイメージを具体化し、素早く試作品を作り上げ、フィードバックを回収し、ブラッシュアップしていきましょう。
例:顧客とのコミュニケーションを通じてフィードバックを得る。カスタマイズやサポートの改善点を洗い出し、顧客のニーズに合わせた新たな資料やデータの抽出に取り組む。
ステップ7:実践
この段階ではステップ6でできた施策が使用され、社会や組織の中で構造として認められ、動いている状態を指します。
例:チームは顧客満足度や売上データを評価し、事業の成果を確認する。また、反省点や改善点を洗い出し、継続的なイノベーションと成長を促す。
3つのプロセスを細分化した7つのステップによってU理論はイノベーションを起こすのです。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
今回の重要な4点をまとめます。
過去の枠組みを捨てる
直観的なアイデアを言語化する
アイデアを具体化するときはスピード感をもって行う
構造として定着するのがゴール
解決方法が見つからず袋小路のように感じられても、それは過去の枠組みにとらえられているだけかもしれません。
過去でなく、未来に目を向け、新たな視点をU理論を参考にして身に着けてみてください。
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