【リーダーシップ論】行動理論を分かりやすく解説|基本的な概念や歴史、種類を紐解きます

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【リーダーシップ論】行動理論を分かりやすく解説|基本的な概念や歴史、種類を紐解きます

近年、経済状況のグローバル化とビジネスの高度化に伴い、リーダーシップの重要性が一層高まっています。

日本企業においても、優れたリーダーシップを発揮できる人材を育成する必要があり、そのために行動理論が注目を浴びています。 

 

行動理論は特性理論の次に主流になったリーダーシップ論であり、特性理論にはない後天的な要素「行動」を重要視する考え方です。 

 

この記事では、行動理論の基本概念から、リーダーシップとの関連性などについて詳しく探っていきます。さらに、行動理論の種類と行動理論が直面する問題点についても解説します。 

1. 行動理論とは 

行動理論は、リーダーシップに関する理論の一つであり、リーダーシップを説明しようとするアプローチの一つです。 

行動理論とは、

優れたリーダーシップを発揮する人々に共通して見られる「行動パターン」に焦点を当て、リーダーシップの本質を解明しようとするもの

 です。

 

行動理論の基本概念 

共通の行動パターンが基準となるため、行動理論は「特定の行動がとれる人材は、すべて同じレベルのリーダーシップを実現している」という仮説に立っています。

これは、ある行動パターンを身につけることで、特定のリーダーシップスキルを獲得し、強化できる可能性があることを示唆しています。  現代のリーダーシップ育成理論やプログラムは、この行動理論を土台として確立されています。

これらの理論とプログラムは、リーダーシップを行動モデルに基づいて育成し、強化することができるという信念に裏打ちされています。 

 

また行動理論の特徴の一つは、リーダーシップ行動を2つの相反する行動パターン軸に分類することです。これにより、リーダーシップの多様性を理解し、異なるアプローチやスタイルを探求する基盤が提供されています。 

この分類は、リーダーシップ研究と実践において重要な役割を果たしています。 

モチベーションが上がっている女性

 

2. 行動理論の歴史

1940年代に特性理論に代わるリーダーシップ理論として登場したのが、行動理論です。 

特性理論はリーダーシップを個人の固有の特性に焦点を当てるアプローチでしたが、行動理論はリーダーシップの核心を「行動」に見い出しました。 

特性理論では「良いリーダーになるためにはどのようなステップを踏めば良いか?」といった実用的なアプローチには至らなかったことに対し、行動理論は、この良いリーダーになるためにはという課題解決に挑戦しリーダーシップの本質を特性ではなく行動に求めました。 

 

特性理論から行動理論への移行は、リーダーシップ理論の進化において画期的な出来事であり、現代のリーダーシップ育成に大きな影響を与えています。 

また、特性理論についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 

【リーダーシップ論】特性理論とは|基本的な概念と歴史まで徹底解説!

 

3. 行動理論の種類

リーダーシップに関する行動理論にはさまざまな種類が存在します。ここでは、その中でも代表的な2つの理論、PM理論マネジリアル・グリッド論に焦点を当ててみましょう。 

この理論は、行動理論の特徴の一つである、リーダーシップ行動を2つの相反する行動パターン軸に分類して表したものです 

 

PM理論 

PM理論は、三隅二不二により提唱されたリーダーシップ理論の一つです。この理論は、リーダーシップ行動を2つの軸である「目標達成能力(Performance)」と「集団の維持能力(Maintenance)」に基づいて評価します。 

この2つの軸を組み合わせることにより、4つの異なるリーダーシップスタイルが導かれます。 

PM理論 図

  • pm型(集団をまとめる力も成果を出す力も弱い) 
  • pM型(集団を維持・強化する人望はあるが、成果を出す力が弱い) 
  • Pm型(成果をあげられるが、集団を維持・強化する人望が弱い) 
  • PM型(成果を出すと同時に、集団を維持・強化する人望もある) 

 

PM理論においては、PM型のリーダーが最も望ましいとされています。

なぜなら、彼らは目標達成と集団の維持の両方に優れた能力を持つためです。

一方、pM型やPm型のリーダーも組織内で重要な役割を果たすことがあり、どのようなリーダーシップスタイルが求められるかを理解するのに役立っています。 

 

また、PM理論についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 

自身のリーダーシップの特徴を診断できるテストもご用意していますので、ぜひご覧ください。 

【PM理論】診断テストとPM理論の概要を分かりやすく解説!あなたはどのリーダータイプ?

 

マネジリアル・グリッド論 

マネジリアル・グリッド論は、リーダーシップ行動の理論の一つで、1964年にブレイク(R.R. Blake)とムートン(J.S. Mouton)によって考案されました。 

このアプローチでは、リーダーシップのスタイルを「人間に対する関心」「業績に対する関心」という2つの要因に焦点を当て、それぞれの軸に対する関心の程度を9段階で評価します。

この評価を通じて、81の異なるグリッドが生成され、各グリッドは5つの主要なリーダーシップタイプに分類されます 。

以下は、各リーダーシップタイプの特性です。 

NO.111_行動理論 マネジリアル・グリッド論 図解

 

  • 1・1型: 放任型リーダー 生産性と人間関心の両方に対して無関心 
  • 1・9型: 人情型リーダー 生産性を犠牲にしてでも人間に高い関心を示す 
  • 9・1型: 権力型リーダー 人間に対する関心を犠牲にしてでも生産性の最大化に関心が高い 
  • 9・9型: 理想的リーダー 生産性と人間関心の両方に最も高い関心を示す 
  • 5・5型:妥協型リーダー 生産性と人間関心の両方に中庸な関心を示す 

 

マネジリアル・グリッド論では、理想的なリーダータイプは9・9型とされています。

このタイプは、生産性と人間関心の両方にバランスよく関心を持つことから、優れたリーダーシップを実現するとされています。 

 

4. 行動理論の問題点

行動理論は古典的なリーダーシップ理論の一つであり、実践的でシンプルなアプローチを提供しますが、その実用性には限界があります。 

行動理論の問題点は行動模範だけでは不十分であることです。 

行動理論の問題点は、「行動模範だけでは不十分」ということで、リーダーシップの成功には状況、部下の多様性、タスクの性質、外部環境の変化などを考慮する必要があるという点です。 

 

単純に「優れたリーダーの行動を模倣することがリーダーシップの鍵である」というアプローチが、実際のビジネス環境において不十分であることを指摘しています。 

なぜなら、リーダーシップは単に特定の行動パターンを複製するだけで成功するものではなく、さまざまな要因に依存するためです。状況や環境の変化、部下やチームの多様性、タスクの性質など、外部要因はリーダーシップに大きな影響を与えます。 

 

リーダーシップ研究により、同じリーダーであっても異なる状況下で異なる結果を出すことがあることが示されました。

優れたリーダーシップ行動が状況に応じて変化する可能性があり、したがって、特定の行動パターンがどんな状況に最適かを理解する必要があります。 さらに、部下やチームの多様性、文化もリーダーシップに影響を与えることが考慮されるようになりました。

優秀な部下とそうでない部下、チームの規模、文化の違いなどがリーダーシップの成功に寄与する可能性があります。 

疑問に思っている人の画像

 

5. 行動理論から条件適合理論への移行 

行動理論は優れたリーダーシップを解明し、育成するために多くの利点を提供してきました。

その実用性や直感的なアプローチは今なお評価されています。 

しかし、この理論も完璧ではなく、特に1960年代には新たなアプローチである「条件適合理論」へと移行する必要が生じました。 

 

それは、前章の通り、行動理論が主に優れたリーダーの能力と特性に焦点を当てていることで、「行動模範だけでは不十分」であることです。 

実際のビジネス環境では、外部の要因や状況がリーダーシップに大きな影響を及ぼすことが多いため、個人の能力だけでは説明しきれないのです。 

さらに、マネジリアル・グリッド論において「チーム管理型のリーダー」やPM理論の「PM型リーダー」について行われた実証研究が、一貫して優れたリーダーシップを発揮できるわけではないことを示しました。

同じリーダーが異なる状況下では異なる結果を出す可能性があり、したがって、どのような状況でどのようなリーダーシップアプローチが適しているかについての研究が求められました。 

 

これにより、リーダーシップ研究は「個人の特性」だけでなく「環境」や「状況」の影響といった外部要因を強調する「条件適合理論」への移行を果たしました。

行動理論の限界を克服し、リーダーシップの理解をさらに進化させる道が拓かれたのです。 

階段と前を指差すビジネスマン

 

6. まとめ 

いかがでしたか。 

行動理論はリーダーシップの理解を深めるために重要なリーダーシップ理論です。 

本記事のまとめを以下に行います。 

 

行動理論とは、

優れたリーダーシップを発揮する人々に共通して見られる「行動パターン」に焦点を当てる理論

です。

行動理論の種類は以下のようなものがあります。

  • PM理論リーダーシップ行動を2つの軸である「目標達成能力(Performance)」と「集団の維持能力(Maintenance)」に基づいて評価
  • マネジリアル・グリッド論:リーダーシップのスタイルを「人間に対する関心」と「業績に対する関心」という2つの要因に焦点を当て、それぞれの軸に対する関心の程度を9段階で評価

行動理論の問題点は、

「行動模範だけでは不十分」ということで、リーダーシップの成功には状況、部下の多様性、タスクの性質、外部環境の変化などを考慮する必要があるという点です。

 

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