上司として管理職を務めている方は、部下の気分の浮き沈みを感じ取ることがあるのではないでしょうか。
誰にでも、仕事中に気分が落ち込む時期や悲しい時期があるものです。
その中でもやる気をなくしている部下、私生活で問題を抱えている部下、それが日常生活にも影響を及ぼしている部下など、理由は様々です。
彼らに対して何ができるのでしょうか?
部下のやる気を上げるには、どんな言葉をかければいいのでしょうか?
部下のやる気はチーム全体の士気を高め、チームメンバーそれぞれが自分の仕事に誇りを持てるようにするために不可欠です。
そのためには、コミュニケーションを取り、部下に共感することから始め、やる気が出ない原因を特定し、部下が自分自身で問題を解決できるようにサポートすることが重要です。
本記事では、上司として部下の問題を理解するために、部下がやる気を失う原因からその対策までわかりやすく解説していきます。
1. 部下がやる気を失う原因とは
仕事内容への不満
仕事内容への不満は、部下がやる気を失う原因の1つです。
仕事が単調で退屈である場合や、将来への繋がりや成果が感じられない場合、部下は仕事に対するモチベーションを失いやすくなります。
具体例
経理部に勤める部下が、毎日同じ作業を繰り返すことに嫌気がさしている場合が挙げられます。
特に、将来部下が実現したいと思っている目標やゴール、または理想の働き方とギャップがあればあるほど、不満がたまり、やる気を失います。
向上心がある部下ほど、過去と比べて成長した実感や、チームに自身ならではの価値を提供できた体感を感じなければ、モチベーションが下がってしまいます。
職場の人間関係
職場の人間関係が悪い場合、部下のやる気が低下し、自己成長が阻害されます。
コミュニケーション不足や不適切なコミュニケーションもやる気低下に影響します。
具体例
上司が部下に対して常に厳しい態度を取り、冷たい態度を示す場合、部下は上司に対して不安や恐怖心を感じるようになります。
その結果、部下はミスを恐れて新しいことに挑戦することができず、自己成長を阻害されてしまいます。
他にも、上司や同僚からのパワハラやセクハラがある職場や、同僚の競争心が強すぎて協力関係が築けない職場、情報共有が不十分で業務にミスが生じても誰からもフォローされない職場は、人間関係が悪いと言えます。
逆に、良好な人間関係では、部下は自信を持ち、やる気が高まり、成果を出すことができます。
具体例
上司が部下の取り組みを褒めたり、感謝の言葉をかけたりすることで、部下は自信を持ち、やる気を高めることができます。
また、同僚とのコミュニケーションが活発である場合、部下はアイデアや意見を自由に出し合うことができ、新たな発見や成果を生み出すことができます。
自分がチームにいる意味を感じられない
チームで自分が携わった業務を認めてもらえない状態が長く続くと、部下は自分の所属価値を見いだせなくなり、やる気を失ってしまいます。
さらに、 上司や周りから自分の努力が認められず、報われないと感じる部下は、チームにおける自分の存在価値やチームでの居場所を感じられなくなり、将来的に自分の役割に対するやる気や熱意が低下し始める可能性があります。
些細な事柄でも、部下の業績や努力の過程を賞賛し、手柄を立て、彼らに自己有用感を感じてもらうことが重要です。
2. 部下のやる気を引き出す方法
目標設定の重要性
部下がやる気を出し、より高いパフォーマンスを発揮するためには、明確な目標が必要です。
目標設定には、「SMARTの法則」と呼ばれる原則があり、目標は具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、期限が設定されている必要があります。
具体例
営業部門の目標を設定する際、「売上を30%増やすこと」は具体的で測定可能な目標です。
目標を設定することで、部下は自分の進捗状況を理解し、努力を継続するためのモチベーションを得ることができます。
ポジティブフィードバックの提供
ポジティブフィードバックは、部下のやる気を引き出すために非常に重要です。
ポジティブフィードバックを提供することで、部下は自分の成果に自信を持つことができ、成長することができます。
ポジティブフィードバックを相互に提供し合う文化が定着することで、職場やチーム内で心理的安全性や信頼関係を深めることができ、人間関係を良好に保ちやすくなります。
ポジティブフィードバックは、達成した目標や成果を認めることから始め、部下の強みや改善点を指摘し、具体的なアドバイスやサポートを提供することで、より効果的に行うことができます。
効果的なポジティブフィードバックの方法について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
裁量権の提供
裁量とは、部下が自分自身で決定し、責任を持って行動することを意味します。
部下が自分自身で決定することで、より責任を持って業務に取り組み、自己成長の機会を増やすことができます。
上司は、部下に意見を求め、自己決定の機会を与えることが重要です。
具体例
新しいマーケティング戦略を立案する場合、上司は部下に自分のアイデアを出させ、彼らのアイデアを尊重し、最終的な決定をすることができます。
成長機会の提供
部下が自己成長するためには、学びの機会や成長の機会を提供することが必要です。
成長機会は、トレーニングプログラム、キャリアパスの確立、適切なプロジェクトの振り分けなどが含まれます。
成長機会を提供することで、部下は自分のスキルや能力を向上させることができ、自己成長を実感できるようになります。
さらに、成長機会を提供することで、部下はよりやる気を持ち、組織に貢献したいという気持ちが高まります。
上司は、部下のスキルや能力を評価し、それに応じた成長機会を提供することが重要です。
また部下に対話や質問、フィードバックなどを通じて成長機会を提供する一つの手段として、コーチングが挙げられます。
OJTや研修では、講師やトレーナーから知識やスキルを受け取ることが主な目的であり、トレーニーがその知識やスキルをどのように適用するかは自己判断に委ねられます。
コーチングは、個別の部下に対してカスタマイズしたアプローチを提供するため、部下の特質やスキル・能力に合わせた成長プランを策定することができ、部下も自己成長意欲が高まります。
また、部下が成長するためには、失敗や挑戦を経験することも大切です。
上司は、部下に失敗を恐れずに挑戦する機会を与えることで、成長機会を提供することができます。
3. 上司が注意すべきポイント
コミュニケーションの重要性
上司にとってコミュニケーションは、部下との間で情報や意見を共有する上で最も重要な要素の一つです。
上司が部下とのコミュニケーションを十分に行うことで、部下は仕事に対する明確な方針や目標を理解し、仕事への取り組み方や改善点などのフィードバックを得ることができます。
また、コミュニケーションを通じて部下の意見やアイデアを受け止め、それを活かすことで、より効果的な意思決定や問題解決が可能になります。
具体例
ある会社で上司が、新しい製品の開発に取り組む部下たちと、週次ミーティングを実施しているとします。
ミーティングでは、進捗状況の報告や問題点の共有を行うと同時に、部下たちからのアイデアや提案にも積極的に耳を傾け、それを反映することで、製品の開発がより良いものになるように努めていることが理想です。
優れた上司の特徴
上司には、組織を成功に導くための様々なスキルや特徴が求められます。
その中でも、優れた能力を発揮するために必要な特徴は以下のようなものがあります。
ビジョンを持っていること
チームをまとめる力があること
問題解決能力が高いこと
柔軟性があること
他者と協調することができること
具体例
ある会社の上司が、新しい事業部の立ち上げに取り組んでいるとします。
新規で事業を立ち上げるという事は、従来の事業とは異なる分野に進出することになり、多くの未知数が存在します。
そこで、上司は自らビジョンを描き、チームをまとめて、課題を解決するためのアイデアを出し合いながら、柔軟に対応していくことで、事業部の立ち上げに尽力することが重要です。
部下をサポートすること
部下が問題に直面した場合、上司は適切なフィードバックやサポートを行う必要があります。
具体例
スキルや知識の不足、課題の達成に必要なリソースの不足、個人的な問題などがある場合、上司は部下をサポートすることで、彼らのやる気を高めることができます。
また、部下をサポートすることは、彼らのキャリアパスや能力開発に関する計画を立てることも含まれます。
上司は、部下の強みや興味に基づいて、キャリアの目標を設定し、成長の機会を提供することができます。
これにより、部下は将来に向けて自信を持って働くことができ、上司に対する信頼感が高まります。
加えて、部下をサポートすることは、上司が部下に対してフィードバックを提供することも含みます。 特に上司はメンバーの努力や頑張りを評価することが重要です。効果的なレコグニションを行うことで、部下のモチベーションを上げ、成果の向上が期待できます。
レコグニションについての詳細はこちらをご覧ください。
レコグニションとは何?その概要をわかりやすく解説し導入方法も紹介します!
しかし、適切なフィードバックを意識して公平性と納得感を部下に得てもらえるように、主観的でネガティブなフィードバックを行わないように注意しましょう。
4. 部下のやる気を高めるために実践すべき取り組み
週次ミーティングの実施
週次ミーティングは、部下のやる気を高めるために非常に重要な取り組みです。
このミーティングは、週の始めに行うことが多く、過去の週の振り返りや今後の週の予定などを話し合うことができます。
週次ミーティングを実施することによって、部下たちは自分たちがどのような目標に向かっているのかを明確に理解し、進捗状況を共有することでモチベーションが高まります。
また、週次ミーティングは、上司と部下の間でコミュニケーションを促進するためにも役立ちます。
部下たちは、自分たちの考えやアイデアを共有することができ、上司からフィードバックを受けることができます。
週次ミーティングは、部下たちが上司とのコミュニケーションを通じて自信をつけ、仕事に対する熱意を高めることができます。
コミュニケーションの促進
部下のやる気を高めるためには、コミュニケーションの促進が欠かせません。
上司は、部下たちと積極的にコミュニケーションを取り、彼らの意見やフィードバックに耳を傾けることが大切です。
また、上司が部下たちに自分の考えや目標を明確に伝えることも重要です。
コミュニケーションを促進するためには、上司は部下たちとの面談や週次ミーティング、チームビルディングなどの機会を設けることが有効です。
上司は、部下たちとのコミュニケーションを通じて、彼らが直面する課題や問題を理解し、適切なアドバイスやサポートを提供することができます。
チームビルディングの重要性
チームビルディングは、部下たちの信頼関係やコミュニケーション能力を向上させることができます。
これによって、部下たちはお互いに理解し合い、仕事を円滑に進めることができます。
チームビルディングの手法としては、以下のような例があります。
具体例
チームビルディングイベントやアクティビティの実施、チームワークを強化するためのトレーニングや研修、部下同士のコミュニケーションを促進するツールやプロセスの導入など。
また、上司はチームビルディングを通じて、部下たちに自分たちの責任や役割について明確に説明し、共通の目標に向かって協力する意識を醸成することができます。
5. まとめ
本記事では、上司が部下のやる気を上げるために取り組むべき対策について解説しました。
まず、上司は部下たちとコミュニケーションを取り、部下たちが抱える問題や悩みを共感することが重要です。
また、部下たちが自分自身で問題を解決できるようにサポートすることが大切です。
部下のやる気が下がる原因は、様々であることから、その原因を特定することも重要です。
対策としては、週次ミーティングの実施やコミュニケーションの促進、チームビルディングの実施などがあります。
また、上司自身が部下たちに向けた言葉を選び、部下たちにとっての意義や重要性を伝えることも必要です。
上司として、部下のやる気を上げるためにも、一人一人に向き合った対応を心掛け、チーム全体のモチベーションも上げていきましょう。
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