はじめに
チームの目標とは、チームメンバーが集団で達成するための目標です。この目標を設定することで、期待されるパフォーマンスを達成し、職場で成功するための動機付けができます。
みなさんは、チームの成果やチームワークにとって最適な目標を設定できていますでしょうか?
チームの目標を設定する際は、目標設定と行動計画の策定手順を学ぶことが重要です。
この記事では、目標設定の重要性や目標の種類、目標達成のためのステップ、メンバーへの共有方法やモチベーションの維持方法など、わかりやすく説明します。
チーム目標を設定する必要性
そもそもなぜチーム目標を設定する事が必要なのでしょうか?
ビジネスにおいてチーム目標が不明確な場合、チームの方向性や努力の集中が失われ、人手や時間の無駄遣いが生じ生産性が低下します。チームには各メンバーが迷わず行動できる指針として明確な目標を設定し、そのチーム目標に沿った計画的な行動することが不可欠です。
本章ではチーム目標を設定するメリットと、チーム目標が不明確な場合の問題点について説明します。
チーム目標がもたらすメリット
チームメンバーの共通理解が深まる
明確なチーム目標があることで、チームメンバーが共通の理解を持つことができます。
これにより、タスクの優先順位や役割分担などが明確化され、チーム全体が協力してプロジェクトを進めることができます。
モチベーションの向上
チーム目標が明確であると、チームメンバーは何を目指して仕事をしているかを理解し、自身が何らかの貢献をしていると感じることができます。
そのため、モチベーションが向上し、高いパフォーマンスを発揮することができます。
逆算思考の習得
明確なチーム目標があると、チームメンバーはどのような行動をすべきかを把握し、目標から必要な要素を逆算して考える「逆算思考」をもとに、計画的な行動をとることができます。
また、目標に向けたプロセスを継続的に改善することで、より良い成果を生み出すことができます。
リソースの効率的な活用
チーム目標が明確であると、必要なリソースがどの程度必要かを把握しやすくなります。
つまり、目標を設定することで、その達成に必要な「ヒト」「モノ」「カネ」 や「時間」「情報」などといった有限なリソースそれぞれの必要量を決定することができるため、それぞれの効率的な活用が可能となり、コスト削減や生産性の向上につながります。
成果の可視化
明確なチーム目標があると、チームメンバーは自身の進捗状況を目標と比較することができます。これにより、成果を可視化することができ、問題が発生した場合は迅速に対処することができます。
問題を解決するためのアクションを迅速に取ることで、チームはより効果的な方法で目標を達成することができます。
例えば、営業チームが新しい製品の販売目標を設定したとします。チーム目標として、毎月の製品の販売数を1000個と設定しました。チームメンバーは、毎週のミーティングで個人の進捗状況を報告し、目標に対してどの程度進んでいるかを共有します。
ある週次ミーティングでチームメンバーの1人が目標に対して進捗が遅れていることを報告した場合、他のメンバーは彼をサポートするために彼の状況についてヒアリングし、その後ナレッジ共有ミーティングを開くなど、そのメンバーの目標達成に向けて決するためのアクションを迅速に取ることができます。この結果、最終的にチーム目標の達成に近づけることができます。
チームワークの向上
個人の目標をチーム目標の方向に擦り合わせ、チーム全員が共通のチーム目標に向かって動くことは、一人の成功が全員の成功につながることを意味します。社員は、冷酷な競争意識を持つのではなく、何か問題があれば積極的に仲間を助け、協力して結果を出すようになるのです。
以上のように、チーム目標が明確であることで、チームメンバーの共通理解やモチベーションの向上、計画的な行動、リソースの効率的な活用、成果の可視化などのメリットが生じます。
チーム目標が不明確な場合の問題点
チームの方向性が定まらない
一方で、チーム目標が不明確な場合、チームメンバーがどの方向に向かって取り組んでいるのかが不明確になります。
このため、チーム全体で協力してプロジェクトを進めることが困難になります。
目標に向けた努力が不十分になる
明確な目標がないと、チームメンバーがどのような行動をすればいいのかがわからず、モチベーションが低下する可能性があります。
また、タスクが不明確なため、重要なタスクを見落としてしまう可能性もあります。
結果の振り返りができない
チーム目標が不明確な場合、プロジェクトが成功したかどうかを判断しにくくなります。
短期的なプロジェクトだけでなく、中長期的な観点からも、何を理想に目指すのかがバラバラになりチームワークが崩壊する可能性があります。
成果や結果を評価する基準がないことで、今後改善する点も不明確になり、チームワークや目標達成に向けた具体的な改善行動を考えにくくなります。
以上のように、チーム目標が不明確な場合には、チームの方向性や努力の集中が失われ、トラブルが増加したり、結果の振り返りができず今後の改善につなげられなかったりする可能性が生じます。
企業が成功するためには、明確な目標を持って、計画的に行動することが不可欠です。
チーム目標の設定方法
チームの目標設定の基本となるSMARTの法則をご紹介します。
以下の記事内容で理解するとともに、弊社が提供しているSMARTの法則のテンプレート資料を利用し目標設定に活かしてください。
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目標設定の基本:S.M.A.R.T.の法則
Specific:「具体的な、明確な」
→何をしたらいいかが具体的か
Measurable:「数字で測定可能な」
→達成度を測ることができるか(定量的・定性的・5W1Hが明確)
Achievable:「達成可能な」
→現状を鑑みて無理がないか
Relevant:「関連性のある」
→達成したら利益にどうつながるか
Time-bound:「期限が明確な」
→期限が設定してあるか
NG・OK具体例
Specific:「具体的な、明確な」
NG例:「とりあえず痩せる」
OK例:「12/31までに今の体重よりも3㎏落とそう」
Measurable :「数字で測定可能な」
NG例:「社内のコミュニケーションを活発にしよう」
OK例: 「月に1回直属の上司と1on1、週に1回でチームで定例ミーティングを設定しよう。」
Achievable :「達成可能な」
NG例:「今月中にTOEIC満点を取る」
OK例:「毎日100個の英単語の暗記に加え、30分英語のリスニング教材を学習するこの点数を今月中に現在の550点から650点超えを目指す。毎月同じペースでの学習を続け、1年以内に900点以上の取得を目指す。」
Relevant :「関連性のある」
NG例:「業務ミスをなくすため、筋トレを行う」
OK例:「業務ミスをなくすため、Todoリストや進捗管理シートを利用する他、チームのメンバーやリーダーと積極的に質問・確認するよう心掛ける。」
Time-bound :「期限が明確な」
NG例:「来月までにタイピングのスピードを倍にする」
OK例:「来月末までに、タイピング速度を現在の毎分50字(50wpm) から毎分100字(100wpm) を目指します。そのために毎日20分タイピング練習をし、毎週末にタイムテストを受け、上達度を測定します。」
チーム目標設定のためのステップ
ステップ1:ビジョンの共有
チームメンバーが共有するビジョンを明確にすることが、チーム目標を設定するための重要な第一歩です。ビジョンは、チームが達成したいと思う長期的な目標を表します。
ビジョンが共有されることで、チームメンバーは全員が同じ方向を向いて進むことができます。
ステップ2:目標の設定
ビジョンが共有されたら、チームはビジョンを実現する長期的な目標を設定でき、それから逆算・細分化して短期的な目標を設定することができます。これらの目標は、ビジョンに向かって進むための小さなステップとなります。
目標は、SMART原則(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、時間に基づく)に従って設定することが重要です。
ステップ3:タスクの洗い出し
チーム目標を達成するためには、具体的なタスクを洗い出し、それらを整理することが必要です。
タスクの洗い出しの方法は、以下のような手順で行います。
①チームで話し合い、目標を達成するために必要な全てのタスクを洗い出す。
②洗い出したタスクをリストアップし、細かく分解する。
③各タスクの優先順位を決定し、必要なリソースや担当者を割り当てる。
④タスクを実行するためのスケジュールを作成する。
タスクの洗い出しを行うことで、目標達成までの具体的なステップを明確にし、効率的に作業を進めることができます。
これらのステップを踏む上で、難しいと感じるステップは
「タスクの優先順位付け」の部分ではないでしょうか。
優先順位付けの際のポイントは、目標達成に必要なタスクを特定し、重要性と緊急性に応じて順位付けをすることで行います。
具体的には、時間的な緊急性、目標達成に対する影響度、リソースの利用可能性などを考慮して、優先順位をつけることが重要です。
ステップ4:担当者の設定
目標が設定されたら、チームメンバーに役割と責任を割り当てる必要があります。これにより、チーム全体が目標に向かって協力し、目的を達成するために必要な行動を取ることができます。
また、チームメンバーの強みに合った業務の担当者決めを行うことで、メンバーにとってもストレスが少なく効率的に目標を達成することができます。
チームメンバーは、自分の強みを活かして仕事をすることを好みますし、そうすることで、自分の強みにマッチしていないときよりも、より多くのことを達成することができます。
ステップ5:目標達成のためのプランの策定
チーム目標を達成するためには、明確な計画が必要です。
以下の手順で計画してみましょう。
①目標を達成するために必要なステップを洗い出し、それらを時系列に沿ってスケジュールを作成します。
②各ステップに必要なリソース(人員、予算、ツールなど)を特定し、それらを確保します。
③目標を達成するために必要なアクションプランを作成します。このプランは、達成目標を分解し、それぞれのステップをリスト化して、チームの誰が責任を持ち、何を、いつまでにやるかを明確にします。プランには、進捗状況を把握するためにコミュニケーションと協力を促進する方法も含める必要があります。
④チームのプロジェクトが開始した後も、進捗を定期的にモニタリングし、プランが進行しているかどうかを確認します。その際、プランの進行状況に合わせて、必要な修正や変更を加えていくことが大切です。
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チーム目標設定における注意点
誰でも理解できる明確な表現を心がける
目標が漠然としていると、チームメンバーは方向性を見失い、目的意識を持つことができません。そのため、具体的な数値目標や期限を設定し、目標について全員が明確に理解できるようにする必要があります。
たとえば、チーム目標を「商品の改善を行い、顧客満足度を向上させること」と設定すると、漠然としており、いつまでにどのような改善が必要なのか、どの程度の顧客満足度を目指すのかが不明瞭になります。
しかし、具体的な数値目標や期限を設定することで、方向性を明確にすることができます。
たとえば、目標を「商品のパッケージングを改善し、顧客満足度を前年比で5%以上向上させること」とすれば、改善の具体的な方向性が示され、目標達成に向けた期限や数値目標も明確になります。
このように、目標を具体的な数値目標や期限として表現することで、チームメンバーが目標に向けた方向性を理解し、目標達成に向けた取り組みを行うことができます。
また、誰でも理解できる明確な表現を心がけることで、情報共有や意思疎通のミスを防ぎ、効率的なチームワークを実現することができます。
各メンバーの個人目標とチーム目標の方向性をすり合わせる
チーム目標を設定する際に、各メンバーの個人目標とチーム目標の方向性をすり合わせることは非常に重要です。
たとえば、あるチームでの目標が「年間売上を前年比で20%アップすること」とすると、個人目標には「自分が担当する商品カテゴリーの売上を10%アップすること」などがあるかもしれません。この場合、チーム目標と個人目標の方向性が合っているかどうか、すり合わせが必要です。
具体的には、チーム全体で目標を共有し、各メンバーがそれぞれの役割や責任を理解するように努めます。また、個人目標とチーム目標が矛盾している場合は、適切な調整を行い、共通の目標に向けて協力することが必要です。
このように、目標設定の共有と周知を徹底することで、チーム全体が一丸となり、目標達成に向けて努力することができます。また、個人目標とチーム目標が合致している場合は、各メンバーが自分の目標を達成することで、チーム全体の目標達成に貢献することができます。
目標設定の共有と周知を徹底する具体的な方法について気になる方はぜひこちらの記事もご覧ください。
焦らずに合意形成する
チーム目標を達成するためには、チーム全員で目標を共有し、合意形成をすることが重要です。しかし、チーム全員で目標を決めることは現実的ではありません。代わりに、リーダーが目標を設定し、チームメンバーと協力して目標達成のための計画を策定する必要があります。
このプロセスで、リーダーはチームメンバーの意見を聞き、議論を促すことで、チーム全員が目標に納得し、共感することができるようになります。そして、個々の目標をチーム目標に結びつけるために、チームメンバーとリーダーは自分たちが達成すべき具体的なタスクやステップを話し合います。
合意形成のプロセスには時間がかかる場合もありますが、最終的にはチームメンバー全員が目標に向かって一致団結することができるため、目標達成に向けた努力がより効果的になります。
また、チーム全員が目標に納得していることで、目標に向かって取り組むモチベーションも高まります。
まとめ
この記事では、チーム目標の設定の重要性やそのメリット、目標達成までの具体的なステップについてご紹介しました。
最後に、目標達成までのステップを実行し、評価・改善することで、より効率的かつ効果的なチーム目標の達成が可能となります。
目標達成までのステップをしっかりと実行し、チーム目標の達成に向けて全員で協力して目標達成に繋げていきましょう。