プロジェクト推進のためにKPI設定を行うことはメジャーですが、プロジェクトの成功を追求するには、KPIの設定だけでは不十分です。
成功の鍵となるのは、KPIを支えるKSF(キーサクセスファクター)です。
この記事では、KSFの定義と重要性について詳しく探求し、具体的なKSFの例に触れながら、なぜKSFを明確に把握する必要があるのかを解説します。
さらに、KSFとKPIの違いについても明確に定義し、プロジェクト戦略の最適化に向けた重要な手法をご紹介します。
1. KSFとは
それではさっそくKSFの定義やその重要性について見ていきましょう。
KSFの定義と概要
KSFとは、Key Success Factorの略で、特定の目標やプロジェクトの成功に不可欠な要素を意味します。日本語に訳すと、「重要成功要因」となります。
つまり、企業やプロジェクトの組織戦略に基づいた目標を達成するために、その組織がどうアクションすべきかを明確にしたものがKSFです。KSFの設定方法については3項で説明いたします。
組織戦略のKSFの具体例としては、製品の信頼性、職場環境内の多様性、顧客エンゲージメントなどが挙げられます。
KSFの重要性
前項でKSFの定義について解説しましたが、KSFを設定する必要性についてまだ疑問に感じている方もいるかもしれません。
そこで、まずKSFを設定しない場合に起こりうるリスクについて解説します。
KSFを設定しない際に起こりうる1つ目のリスクとして、目標や計画が曖昧であるため、チームメンバーが一体となって効果的に働くことが難しくなります。
目指すべき方向性の不明である場合、タスクの優先順位や役割分担の混乱を引き起こし、プロジェクトの進行に支障をきたす可能性があります。
また、2つ目のリスクとして、プロジェクトを進める際にKSFの設定がないと、プロジェクトマネージャーは状況に対する判断の優先順位がつけにくく、進捗状況を短時間で的確に把握することが難しくなります。
問題や課題の早期発見や対策の立案が困難になり、プロジェクトのリスク管理が不十分となる可能性があります。
一方、KSFの使用によるメリットは多岐にわたります。
KSFは組織の成功に必要な要素を明確にしたものです。
つまりKSFをもとに具体的な基準を提供し、優先事項を明確にすることで、チームが目標に向かって行動することができます。優先事項が明確になることで、タスクの重要性や緊急度も明確になるため、効率的な作業が可能になります。
また、 KSFに基づいてKPIなどの進捗を評価する数値指標を設定する事で、進捗を定量的に評価することが可能になり、早期の問題発見やリスク管理を容易にします。プロジェクトマネージャーは迅速な対策を講じ、成功率を高めることができます。
さらに、KSFを設けることで、どのアクションが最終的な組織の成功に貢献できたのかを意識することができ、メンバー全員の共通認識として最終的な組織戦略の方向性からずれずに改善点や成功要因を把握できます。
毎回のプロジェクトでKSFについて振り返り、次のプロジェクトにその経験を生かすことで、組織の成長や生産性の向上に寄与します。
KSFの設定手順
1) 目標の明確化
最初に、プロジェクトや業務の目標を具体的に定義します。明確な目標がなければ、KSFの設定は意味を成しません。
2) 目標に関連する要素の洗い出し
プロジェクトの成功に直接関与する要素や重要な要素を洗い出します。
大きく分けて、外部要素と内部要素に分けられます。
例えば、外部環境として競合他社や市場、顧客、政治や経済状況が挙げられるでしょう。内部環境としては、自社の強みとして製品の信頼性やブランドの認知度、経営資源として従業員満足度や設備投資費などが挙げられます。
企業や事業戦略を立てるためにKSFと設定したい場合、フレームワークを活用するとKSFに関わる要素の洗い出し・整理に効率的です。
どのフレームワークを使おうか悩まれている方はこちらの記事もご参考ください。
3) 要素の優先順位付け
洗い出した要素を重要度や影響度に基づいて優先順位付けします。どの要素が最も重要か、どれが成功の鍵となるのかを判断します。
優先順位をつける際は、最終的な成果に対する認識のズレが発生しないよう、企業やその組織が掲げるビジョンや戦略に基づいて設定する事が望ましいでしょう。
4) KSFの設定
優先順位の高い要素を元に、最終的な組織目標やKGIに大きく貢献していると考えられる具体的な要素を選び、KSFに設定します。KSFをもとにKPIを置くことで、目標の達成を評価するための指標として利用する事ができます。
2. KSFの具体例
組織や業界が異なれば目標も異なるように、KSFも異なります。
以下は製造業、マーケティング、小売業、IT、それぞれの業界におけるKSFの具体例を紹介します。
製造業におけるKSF
製造業におけるKSFとしては、生産性向上、品質管理、納期遵守などが重要な要素となります。
具体的な例として、製品の生産量や品質指標の達成率、生産ラインの稼働率などがKSFとして設定されることがあります。
これらのKSFの達成によって、製造業は効率的な生産体制を確立し、競争力を向上させることができます。
マーケティングにおけるKSF
マーケティングにおけるKSFは、市場シェアの拡大、顧客満足度の向上、ブランド認知度の向上などが重要です。
具体的な例として、売上や利益の成長率、新規顧客獲得の数や顧客ロイヤルティの向上などがKSFとして設定されます。
これらのKSFの達成によって、マーケティング活動は効果的な広告やキャンペーンを展開し、企業の成長と競争力の獲得につなげることができます。
小売業におけるKSF
小売業におけるKSFとしては、売上増加、顧客満足度向上、在庫管理の最適化などが挙げられます。
具体的には、売上の成長率や来店客数の増加、顧客からのリピート率の向上などがKSFとして設定されることがあります。
これらのKSFの達成によって、小売業は競争力のある商品ラインナップや優れた顧客サービスを提供でき、売上と利益の向上を実現できます。
IT業界におけるKSF
IT業界におけるKSFとしては、明確なプロジェクト目標の設定、優れたコミュニケーション能力、リスク管理のスキルなどが重要とされます。
具体的な例としては、メンバー全員が納得する明確な目標の設定、心理的安全性の高い職場環境の構築、リスクの早期発見と適切で迅速な対応がKSFとして設定されることがあります。
これらのKSFによって、プロジェクトの成果を最大化し、成功に導くために重要な役割を果たします。
3. KSFとKPI の関係
KSFとKPIの定義
KSF(Key Success Factors)は、組織やプロジェクトの成功に不可欠な要因や要素のことを指します。これは、目標達成や成果の最大化に寄与する重要な要素です。
一方、KPI(Key Performance Indicators)は、組織やプロジェクトのパフォーマンスを測定し評価するための指標です。KPIは具体的で測定可能な成果や目標に関連しており、結果の追跡や進捗の評価に使用されます。
具体例として、企業のKSFは顧客満足度、競争力、イノベーション力などといった要素であり、これらが企業の成功に重要な役割を果たします。
一方、KPIは売上高、顧客数、市場シェア、時間効率などの数値であり、これらは企業のパフォーマンスを測定するために使用されます。
KPIとKGI、OKRなどの他の指標との違いも確認したい方はぜひこちらの記事もご覧ください。
KSFとKPIの違い
KSFとKPIの主な違いは、
KSFが成功要因や重要な要素に焦点を当てるのに対して、
KPIは結果や成果を測定するための指標として使用される点
です。
KSFは組織やプロジェクトの成功に必要な要素であり、戦略的な方向性を示します。KSFは一般的に定量的な指標ではなく、主観的な要素や質的な要素も含まれます。
KSFは企業やプロジェクトのビジョンや目標に基づいて定義され、成功への道筋を示す役割を果たします。
一方、KPIは具体的で測定可能な数値や指標です。KPIは目標や成果に関連しており、定量的なデータに基づいて組織のパフォーマンスや進捗を評価します。
KPIは具体的な目標を追跡し、結果を定量化するためのツールとして使用されます。
つまり、KSFは成功のための重要な要素や要因を示し、戦略の策定に役立ちます。
一方、KPIは目標の達成度やパフォーマンスの評価に使用される具体的な数値や指標です。両者は組織の成功に向けて補完的な役割を果たします。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。
KSFはKPIなど他の指標と紛らわしい響きですが、どんな組織においても有効に使えば目標達成に大きく貢献することができます。
最後に、本記事の内容を以下にまとめました。
KSFとは、特定の目標やプロジェクトの成功に不可欠な要素(重要成功要因)を意味します。
KSFの設定手順は、以下の4つです。
- 目標の明確化
- 目標に関連する要素の洗い出し
- 要素の優先順位付け
- KSFの設定
KSFとKPIの主な違いは、KSFが成功要因を意味するのに対し、KPIは結果や成果を測定するための指標として使用される点です。
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