オンボーディング・アイキャッチ画像

方向性

オンボーディングとは?OJTとの違いや目的、効果的な導入のポイント解説

組織に新しいメンバーを迎え入れる際に、スムーズな適応と成長を支援する重要なプロセスが必要です。そこで注目されるのがオンボーディングです。 

また、企業の人事担当者や経営幹部の多くは、新たな仲間を迎え入れる際、迅速に戦力としての役割を果たし、企業に貢献してもらいたいと期待しています。 

しかしながら、新入社員が

「組織になじめない」

「早期に退職してしまう」

といった課題を抱えている企業は少なくありません。 

そんな課題を解決するために、オンボーディングは重要なプロセスの一つです。 

この記事では、オンボーディングとは何か、その定義や意義から始まり、具体的な実施方法や成功に至るポイントまでを深掘りしていきます。

モチベーションを向上しちえる写真

 

1. オンボーディングとは

オンボーディングの定義

オンボーディングは英語の「on-boarding」に由来し、目的地までの乗り物に乗ることを意味します。

ビジネスコンテクストでは、オンボーディングは

新しいメンバーが素早く組織に適応し、その力を最大限に発揮できるようにするための取り組み

です。

新卒社員や中途採用者、さらには社内異動者や出向者を含む、新たに組織に加わる全ての人々を対象としています。

また、新たに会社や組織に参加する人材が、早期に職場に溶け込み、組織に貢献できるようサポートする過程を通じて、個人の定着度と組織のパフォーマンス向上を実現することを目指します。

入社後に組織の文化や業務に違和感やギャップを感じたままだと、新メンバーの成長と貢献が制限され、最終的には離職のリスクが高まる可能性があります。

このため、オンボーディングは単に人事部門だけでなく、上司や同僚も積極的に関与し、サポートする重要なプロセスです。入社前からの計画とサポート体制の整備が、成功に向けて不可欠です。

 

OJTとの違い

OJT(On-The-Job Training)は、実際の業務を通じて仕事を学ぶ教育・育成手法を指します。これに対して、オンボーディングはより広範囲で包括的なアプローチを取ります。オンボーディングは単に業務の指導だけではなく、組織の文化や人間関係、環境に対する適応をサポートするための手法です。

オンボーディングは、新入社員が仕事のやり方だけでなく、組織全体の一員としての役割を理解し、組織文化に適応する手助けを行います。 これにより、新たなメンバーが早期に組織に溶け込み、効果的に貢献することが可能です。

OJTが主に実務のスキル習得にフォーカスしているのに対し、オンボーディングは幅広い視点から新メンバーの適応を支援する手法と言えます。

 

オンボーディングの目的

オンボーディングの目的は、新メンバーの早期かつ円滑な組織適応を支援し、実力を最大限に発揮させることです。以下が主な目的です。

 

離職の防止 

オンボーディングはメンター制度や1on1のようなサポートを提供し、新入社員が組織になじみ、不安を解消できるようにします。これにより、早期離職のリスクを低減します。

 

メンバーの即戦力化 

オンボーディングは企業文化や業務ルール、必要な知識を効果的に伝え、新メンバーの能力を素早く引き出す役割を果たします。ビジネスマナーや基本的なスキルも育成し、成果を迅速に上げるサポートを提供します。

 

教育格差を起こさないため 

オンボーディングは、組織全体で新入社員・中途採用者に均等な教育機会を提供するため、人材育成環境の標準化を図ります。人事部が体系的なプログラムを提供し、各トレーナー間の差異を減少させます。

 

2. オンボーディングのメリット

オンボーディングを実施することには、企業に多くのメリットが存在します。これらのメリットは、効果的なオンボーディングが新入社員や中途採用者の組織適応を促進し、生産性を向上させる手段として重要です。 

 

コストの削減 

オンボーディングは離職を防ぐことが目的の1つです。 

オンボーディングの成功により、離職率が低下すれば、新たな人材を採用する際の採用コストを削減できる可能性があります。現代の競争が激しい採用市場において、優秀な人材を獲得するためにはコストの削減が重要な課題となっています。 

 

生産性向上 

オンボーディングによって新たなメンバーが早期に組織に適応することや職務の理解を深めること、生産性を発揮することができれば、チーム全体の生産性向上に寄与します。 

新入社員が早くから仕事に取り組み、成果を上げることで、組織全体の業績も向上するでしょう。また、指導を行う社員も会社への貢献を感じることができることや本来の仕事に集中することができるのでチームとしての生産性も高めることができます。 

 

人材育成施策のアップデート 

オンボーディングは、単なる業務の指導だけでなく、面談やメンター制度、懇親会などさまざまな施策を組み合わせて実施するものです。これによって、人材育成施策全体のアップデートが可能となり、新たな教育プログラムやトレーニングの導入がスムーズに行えます。 

 

社員のエンゲージメントの向上 

オンボーディングの施策には、既存社員と新入社員のコミュニケーションを促進する効果も含まれます。このコミュニケーションは、組織内のつながりを強化し、社員のエンゲージメント向上に寄与します。エンゲージメントの向上は、社員の定着率を高め、結果的に業績向上につながるでしょう。 

 

これらのメリットを最大限に引き出すためには、オンボーディングの計画と実施が重要です。個々の企業の文化やニーズに合わせてカスタマイズされたオンボーディングプログラムを構築することが、成功の鍵となるでしょう。 

誇りを持って働く人の画像

3. オンボーディングの実施方法

実施の手順 

オンボーディングの実施手順は、新入社員が組織にスムーズに適応し、効果的な成果を上げるための基盤を築く重要なプロセスです。以下に具体的な手順を詳しく説明します。 

オンボーディングの実施方法

ステップ1|目標設定 

オンボーディングの第一歩は、新入社員の目標を設定し、それをカスタマイズすることです。個々の新入社員のスキル、経験、興味に基づいて、特定のプロジェクトやスキル向上に焦点を当てる目標を定めます。また、組織のニーズや文化とも調和するように目標を調整します。これにより、新入社員は自分の役割や貢献の意味を明確に理解し、モチベーションを高めることができます。 

たとえば、

IT企業での新入社員に対しては、最初の半年間3カ月で特定のプログラミング言語を習得し、1年後半年後には小規模なプロジェクトをリードできるようにする

などという長期的な目標設定を行います。 

 

ステップ2|プランの具体的な構築 

次に、カスタマイズされた目標を具体的に構築します。新入社員が入社後1年程度の長期的かつ、段階的なスケジュールと達成目標を備えるプランを考案します。短期から長期までのタイムフレームを考慮して、オンボーディングのプロセス全体を包括的に構築することが求められます。課題解決や成果向上に対応したカスタマイズも行いつつ、一般的な基本項目も取り入れて、個々のオンボーディングプランを最適化します。 

たとえば、

新入社員の最初の2週間は基本的なトレーニングと業務説明に充て、その後の2カ月で実際のプロジェクトに取り組むプラン

です。

また、コミュニケーションスキル向上のために週1回のチームミーティングを組み込むことも考慮されます。さらに、従来のオンボーディングプランではカバーされていない、新入社員が直面する可能性のある課題に対処するプランも組み込むことが重要です。 

 

ステップ3|ステークホルダーとの連携 

実務を担当する現場従業員や管理職との連携が不可欠です。プランが構築されたら、人事や採用担当者、新入社員の配属先など関係者とコミュニケーションを取り、プランを共有します。フィードバックを収集し、必要に応じてプランの調整を行います。また、企業の状況変化に合わせて、プランの見直しを定期的に行うことで、オンボーディングプロセスが常に最適な状態で進行するよう確保しましょう。 

たとえば、

プログラミングプロジェクトに関与する現場の開発者と協力して、新入社員の取り組みに関するフィードバックを行うこと

などが挙げられます。

また、新入社員のコミュニケーションスキル向上のために、チームリーダーと連携して週次のフィードバックを受ける仕組みを確立できます。 

 

ステップ4|実行とサポート 

プランが完成したら、実際にオンボーディングを実施します。新入社員を心から受け入れ、プランに基づいて段階的にオンボーディングを進めます。オンボーディングは即効性を持つものではありませんが、組織全体が連携しフォローすることで成果が現れます。新入社員は段階的に成功体験を重ね、実力を高め、組織への一体感を養っていくことで、生産性向上と組織の調和に寄与します。 

プランを実行しサポートする具体例として、

新入社員が最初のプロジェクトに取り組む際には、メンターを割り当ててサポートすること

などが考えられます。

また、新入社員が週ごとに定期的な進捗報告を行い、不明点や課題に迅速に対応する仕組みを構築します。 

 

ステップ5|評価と改善 

オンボーディングが終了した後も、プランの評価と改善は継続されます。受け入れ側と新入社員の双方からフィードバックを得ることで、施策の効果を把握します。PDCAサイクルを回し、より効果的なオンボーディングを実現するための改善を行います。また、離職率やエンゲージメントの向上を測定することで、オンボーディングプロセスの成果を確認します。 

たとえば、

新入社員からのフィードバックを受けて、プログラミングプロジェクトへの参加がスムーズでなかった場合には、プランを見直してサポート体制を強化すること

などです。

また、離職率やエンゲージメントの向上を定期的に測定し、プランの改善に反映させることで、オンボーディングプロセスの効果を最大限に引き出すことができます。 

 

実施するオンボーディングの具体例 

オンボーディングの成功には、入社前、入社直後、そして入社後に継続的なフォローを提供することが欠かせません。 

以下では、それぞれのタイミング別に具体的なオンボーディング施策例をご紹介します。

入社直後のオンボーディングの例 

企業理念や文化の研修 

新入社員に対して、社長や経営陣から企業の理念や文化を直接伝える研修を行うことで、企業への理解を深めます。これにより、新入社員は自身の役割をより意識し、組織への熱意を高めることができます。 

 

業界の知識や理解を深める研修 

新入社員が自社の業界や市場について理解を深める研修を提供することで、ビジネス全体への視野を広げることができます。たとえば、金融業界の新入社員には金融市場の基礎知識やトレンドを学ぶ機会を設けることで、顧客に対してより価値のあるサービスを提供する能力を向上させることが可能です。 

 

入社後に継続的に実施するオンボーディングの例 

1on1の実施やメンター制度でのフォローアップ 

入社後、新入社員と上司との1on1ミーティングを定期的に行うことで、個別のニーズや成長の進捗を把握できます。さらに、メンターを割り当てて定期的なアドバイスや指導を提供することで、新入社員のスキル向上や職場適応を支援します。 

にこやかに話し合う上司と部下の画像

定期的なスキルアップ研修と交流会 

入社後も定期的なスキルアップ研修や交流会を実施することで、新入社員の成長を促進していくことが狙いです。さまざまな部署や同期との交流を通じて、新たな知識や視点を得る機会を提供することで、新入社員の職場でのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。 

 

オンボーディングは、入社前から入社後、そして継続的なフォローまでのプロセスです。特に新入社員の成功を支えることができる重要な取り組みです。 企業独自の状況やニーズに合わせて、これらの具体的な施策を組み合わせて実施することで、新入社員の成果を最大限に引き出すことが可能です。 

 

4. オンボーディング実施のポイント

オンボーディングを成功させるには、以下の6点のポイントを効果的に活用することが欠かせません。 

信頼関係の構築

新入社員と人事部とのコミュニケーションは、オンボーディングの成功において基盤となります。入社前からのコミュニケーションを通じて、企業文化や業務内容についての理解を深めることが大切です。これにより、新入社員は入社後のスタートをスムーズに切ることができるでしょう。例えば、企業のビジョンやミッションを事前に共有することで、新入社員は組織への共感を得やすくなります。 

また、同僚や上司などのさまざまなポジションの社員とのコミュニケーションも大切です。例えば、面談やミーティング、ランチを利用することです。実務で関わる機会が少ない違う部署の社員など、会社全体としてコミュニケーションをとる機会を増やすこともオンボーディングでは重要です。 

 

教育体制の整備

オンボーディングの教育プログラムは、新入社員が仕事をスタートするための基礎となります。入社研修や外部研修の充実は必須ですが、新たな働き方やテクノロジーの進化に対応するためにも、常に教育体制を見直すことが重要です。また、個々の学習スタイルに合わせたカスタマイズされた教育プログラムを提供することで、新入社員の学習意欲を高めることができます。 

また、キャッチアップに必要な情報の管理することも大切です。コロナ禍の影響でテレワークが主流になったことで、気軽に上司や先輩に相談や質問をすることが難しくなったという声も少なくありません。 

そのため、会社の情報や仕事に必要な情報を集約し、「基本的なことはここで理解できる」というファイル管理場所やポータルサイトを提供することで、新入社員の迅速なオンボーディングを実現している企業も増加しています。入社が決定した時点でアカウントを作成し、必要な情報へのアクセスを早めることで、新入社員は基本的な知識やルールを迅速に身に付けることができます。  

 

スモールステップ法の導入

スモールステップ法は、大きな目標を小さなステップに分解し、段階的に達成感を得るアプローチです。新入社員が長期的な目標に向かって途中で挫折することなく、成果を実感することができます。新入社員の業務スキル向上を目指す際には、簡単なタスクから始めて徐々に難易度を上げることで、自信をつけながら成長していくことが可能です。 

たとえば、新入社員がビジネスプレゼンテーションのスキルを向上させたい場合、最初のスモールステップは簡単なトピックでの練習から始めることです。その後、少しずつプレゼンの複雑さや対象観客のレベルを上げながら、徐々に自信をつけていけるように課題を進めていくことがあります。 

 

メンター制度の活用

新入社員の成功をサポートするために、メンター制度を導入することが効果的です。メンターは経験豊富な社員であり、新入社員の質問や悩みに対して的確なアドバイスを提供します。この制度を通じて、新入社員はよりスムーズに業務に適応し、組織への結びつきを感じることができます。メンター制度の導入に当たっては、メンターと新入社員の相性やコミュニケーションスタイルを考慮し、適切なペアリングを行うことがポイントです。 

 

期待値のズレを解消

新入社員の定着率向上のためには、入社前後の期待値のズレを最小限に抑えることが必要です。入社前にリアルな業務内容や職場環境を伝えることで、新入社員が入社後に驚きやストレスを感じることを減少させることができます。逆に、新入社員が自身のスキルやキャリア目標を明確に伝えることで、企業側も適切なサポートを提供しやすくなります。 

入社前から企業側、新入社員側の期待値を十分にすり合わせていくことで入社後の期待値のずれが起こることを避けましょう。 

採用はゴールではなく、社員が定着することが初めて採用活動の成功になるということを心得ておくことが大切です。 

 

全社的な協力体制の構築

オンボーディングは単なる部門の取り組みだけではなく、全社的な意識と協力が必要です。全ての社員が新入社員の受け入れとサポートに参加する文化を醸成することで、新入社員はより早く組織に溶け込むことができます。例えば、社内交流イベントや新入社員歓迎会を通じて、異なる部署の社員との交流を促進することができます。 

 

以上のポイントを踏まえ、オンボーディングの計画と実施を進めていくことで、新入社員の定着率向上やチーム全体の生産性向上に貢献できます。適切な指導とサポートを通じて、新入社員が組織の一員として自信を持ち、成長していくプロセスを支援しましょう。 

お互いのことを共有し合う写真

5. まとめ 

いかがでしたでしょうか。オンボーディングは新入社員や中途採用など新たなメンバーの職場定着を図ることに加え、チームの生産性を向上させるために必要不可欠な施策です。 

以下に本記事のまとめを行います。 

 

 オンボーディングとは、

新しいメンバーが素早く組織に適応し、その力を最大限に発揮できるようにするための取り組み

です。 

 

オンボーディングの目的には 

離職の防止 

メンバーの即戦力化

教育格差を起こさないこと 

があります。 

 

実施の手順は以下の通りです。メンバーとのコミュニケーションを大切にし、全社的に取り組んでいくことがオンボーディング成功のポイントです。 

  • ステップ1|目標設定 
  • ステップ2|プランの具体的な構築 
  • ステップ3|ステークホルダーとの連携 
  • ステップ4|実行とサポート 
  • ステップ5|評価と改善

 

弊社のチームマネジメントツールについて

  • チームメンバーの心身状態が見えていますか?
  • 目標達成に向けたメンバーマネジメントができていますか?

こんな課題を解決したく弊社はチームマネジメントツール【StarTeam】を開発しました。

チームワークを見える化し、チームリーダーのマネジメント課題解決をサポートします!

 

Starteamは

  • チームやメンバーの状態の可視化
  • 状態に応じた改善アクションの提供
  • 改善サイクルの自走化

ができるサービスとなっております。

目標達成に向けたメンバーマネジメントにより

  • 離職率が約30%→約15%への改善
  • 残業時間約1/3への改善

につながった実績が出ている企業様もございます。

ぜひ以下のバナーをクリックし詳細をご覧ください。

-方向性
-