リーダーの最大の仕事は、部下を成長させ、チームを成功に導くことです。ただ、いざ部下を指導するとなると「褒めて伸ばすのか?」「厳しく育てるのか?」迷うケースも多いかもしれません。
特に市場変化が激しい昨今、「部下を褒めながらゆっくり育てている時間はない」と感じるリーダーもいるでしょう。
「褒めて伸ばす」「厳しく育てる」には、それぞれ一長一短があります。
今回は「部下を褒めて伸ばすアプローチ」に焦点を当て、心理学における根拠をもとに具体的な褒める手法について考察したいと思います。
1. 部下を褒めて伸ばす?厳しく育てる?メリット・デメリットについて考察
「部下を褒めて伸ばす」「厳しく育てる」マネジメント手法には、それぞれメリットとデメリットがあります。どちらが正解かはなく、業種や部署、部下の特性などによってマネジメント方法は違ってきます。
自社が置かれた状況や目指すべき目標などを整理し、目標達成や人材育成にはどちらのマネジメント方法が最適なのか、よく考えるようにしましょう。
部下を褒めて伸ばすメリットは「モチベーションアップによる業績向上」
部下を褒めて伸ばす最大のメリットは「モチベーションアップによる業績向上」です。
モチベーションが高い部下は能動的になり、上司が気づいていない課題に対しても改善提案などをしてくれるようになります。
業績向上には、部下の内発的動機づけが重要です。
「怒られるからやる」では、瞬発的な実績向上はできても、高い実績を出し続けることはできません。
褒めることで内発的動機づけができれば、能動的に動いてくれる人材が育ちます。
また、モチベーションが高まると部下の創造力もアップします。
新しいプロジェクトや改善活動に関するアイデアも出やすくなり、結果として生産性も向上するでしょう。
褒める→モチベーションがアップする→生産性が上がる
といった好循環が生まれると社員の定着率も高まり、採用コストや育成コストも下がります。
部下を褒めて伸ばすデメリットは「オーバープレイズ(褒め過ぎ)の危険」
一方、部下を褒めて伸ばす場合のデメリットとしては「オーバープレイズ(※褒め過ぎ)」による成長の停滞があげられます。
褒め方にもよるかもしれませんが、根拠のない褒め方や、タイミングを逸した褒め方は以下のような逆効果を生むケースもあります。
【オーバープレイズ(褒め過ぎ)による悪影響の例】
過度な自己評価
部下が褒められることに慣れすぎると自己評価が過度に高まる。過剰な自己評価は必要以上に部下のプライドを高めてしまい、組織のコミュニケーション悪化を招く原因になる。
成長の停滞
常に褒められる環境では、部下が新しい挑戦や自己改善の必要性を感じにくくなる。「これ以上頑張る必要はない」「改善の必要はない」と保守的になってしまい、結果として人と組織の成長がストップしてしまう。
チーム内の不均衡
一部の部下だけを過度に褒めると、チーム内での不均衡が生じる可能性がある。チームの士気や協調性に悪影響を及ぼし、離職率が上がったり生産性を下げたりする原因になる。
信頼の低下
褒めるべきではない状況や成果でも褒めてしまうと、部下からの信頼が低下する。
部下を褒めるときには、上記のデメリットを理解し、褒めるタイミングや褒め方に注意するようにしましょう。
部下を厳しく育てるメリットは「短期的な成果と品質の維持」
一方、部下をあまり褒めず、厳しく育てるマネジメント方法についても考えてみます。
部下を厳しく育てた場合のメリットは、「短期的に成果が出る」という点でしょう。
褒めて育てるマネジメント方法は成果が出るまでに時間を要しますが、「今月の営業目標を達成させたい」など、短期的な目標達成を目指す場面では厳しく育てたほうがいい場合もあります。
そのほか、厳しく育てるマネジメント方法には、下記のメリットがあります。
【部下を厳しく育てる場合のメリット】
品質の向上
厳しい指導やフィードバックが行われる環境では、部下はミスを出しにくくなる。結果として仕事の品質が上がりエラーも少なくなる。
競争力の向上
競争文化が形成され、部下によっては成長スピードが早くなる。将来の幹部候補などを早期に育成したいときには効果が出る場合もある。
目標を早く明確に理解できる
厳しい目標や評価基準が明確であれば、部下は「いつまでに何をすればよいのか?」がはっきりわかり結果も出しやすい。
なお、業種によっても部下の育て方は違ってきます。
例えば品質重視が求められる製造業などでは、品質を一定に保つために、ときに厳しい指導が必要になるかもしれません。
また営業職においては短期的な成果が常に求められるため、ゆっくり部下を褒めながら育てている時間はないでしょう。
短期的な成果が求められるビジネス環境においては、厳しく育てる場面も必要です。
しかし、フォローが欠けていたり理不尽な指導をしたりするのは危険です。
中長期的に成果を出し続けるのは難しく、労務問題に発展したり部下のメンタルにも支障をきたしたりするリスクもはらみます。
部下を厳しく育てるデメリットは「士気の低下や離職リスク」
部下を厳しく育てた場合は短期的な成果を出せるメリットがありますが、一方で「士気の低下や離職リスク」が起こる点がデメリットといえます。
上司が感情的に厳しく接してしまうと、部下への愛情が伝わらず心理的安全性が保てなくなり、意見や提案がしづらい組織になってしまうかもしれません。
士気の低下は、想像以上のデメリットをもたらします。
製造業などでは、士気が低下して注意散漫になることで事故が発生し、品質低下や労災事故のリスクにも影響がでるかもしれません。
また「厳しい指導=パワーハラスメント」と捉えられるケースもあります。
上司と部下とのコミュニケーションも上手くいかず、最悪のケースでは労災問題や企業のレピュテーションリスクにも影響します。
厳しく指導された部下が退職してしまうケースも多く、部内で欠員が出ると新たな採用コストや育成コストが発生し、本来の業務に時間を費やすことも難しくなるでしょう。
厳しく育てるアプローチ方法には数多くのデメリットが伴いますが、だからといって「甘やかしていい」というわけではありません。
厳しく育てた場合のリスクを最小限に抑えるためには、リーダーの柔軟なマネジメントスキルと高い人間力が求められます。
2. 部下マネジメントに参考にしたい心理学
部下の特性や目指したい目標によって育て方を変える場合は、いくつかの心理学が参考になります。
今回は次の3つの心理学をもとに「褒めて伸ばすべきか?」「厳しく育てるべきか」を考察してみたいと思います。
【部下マネジメントに参考にしたい心理学】
ピグマリオン効果 | 高い期待をかけると部下のパフォーマンスが向上する |
エンハンシング効果 | 人は称賛されると自己評価が高まりモチベーションがアップする |
アンダーマイニング効果 | 報酬だけで部下のモチベーションをコントロールすると、逆にパフォーマンスが低下する |
ピグマリオン効果「高い期待をかけると部下のパフォーマンスが向上する」
ピグマリオン効果とは、
期待値が人のパフォーマンスに影響を与える心理学的現象
のことです。
別名「ローゼンタール効果」とも言われ、部下がリーダーからの高い期待を感じると、その期待に応えようと高いパフォーマンスを発揮するようになります。
一方、期待されない部下のパフォーマンスが下がる状況は「ゴーレム効果」と呼ばれます。
高い期待値をかけて、成果が出れば「しっかり褒める」。この繰り返しで組織の成果は最大化します。
ただし、ピグマリオン効果による成果を最大化するには、納得感のある目標設定や日頃の声掛け、適切なフィードバックが必要です。
部下の育成レベルやキャリアビジョンによっても、期待値を変える必要があるでしょう。
例えば、上昇志向のない部下に無理な期待をかけると逆効果になるかもしれません。
リーダーは、部下一人一人の能力やビジョンを正確に把握し、適切な期待値を設定する必要があります。
エンハンシング効果「人は称賛されると自己評価が高まりモチベーションがアップする」
エンハンシング効果とは、
称賛や肯定的なフィードバックが、部下の自己評価や能力を高める心理学的現象
のことです。
目標に対して大きく貢献した部下を褒めると、部下のモチベーションはさらにアップし「さらに高い評価を得たい」と、更なる成長が期待できるようになります。
ただし、部下を褒めるタイミングを間違ったり、根拠のない褒め方をしてしまうと逆効果です。
リーダーは、具体的かつ適切なタイミングで肯定的なフィードバックを提供することが重要です。
アンダーマイニング効果「報酬だけでモチベーションコントロールするとパフォーマンスが低下する」
アンダーマイニング効果とは、
外部からの報酬や評価が内発的な動機付けを低下させる心理学的現象
のことです。
営業職などにおいては、過度なインセンティブを与え続け、モチベーションコントロールをするケースが多く見られます。
高い報酬をもとに部下をコントロールすると、短期的な成果は得られますが、報酬を重視し過ぎることで部下の内発的な動機付けが低下し、長期的な業績は悪化します。
「仕事で成長したい」「会社に貢献したい」といったことはどうでもよくなるかもしれません。
「インセンティブをもらいたい」「昇格して高い給料を得たい」など報酬面だけが動機付けとなり、報酬がなくなると同時に業績は急降下するのが特徴です。
リーダーは報酬や評価を適切に運用し、部下が内発的な動機で働くことができる環境を作る必要があります。
3. 部下のモチベーションを左右する褒め方
「部下を褒めて伸ばす」マネジメント方法はメリットも大きいですが、褒め方や褒めるタイミングを間違うと、部下のモチベーションを低下させる原因にもなってしまいます。
アドラーの心理学では、褒めることを否定せずとも「上から目線の褒め方」や「条件付きの称賛」を否定しています。
また、内発的動機づけを促すうえでは、結果そのものを褒められるよりプロセスを評価したほうが効果的です。
部下を褒めて育てる場合は、次の4つのポイントを覚えておくといいでしょう。
1.結果を褒めるよりプロセスを評価することが大切
2.アドラー心理学による褒め方の基本「上から目線の褒め方は逆効果」
3.褒めるタイミング|遅すぎると効果は半減
4.褒める方法|メールや面談など部下の特性によって使い分けることが大切
アドラー心理学による褒め方の基本「上から目線の褒め方は逆効果」
部下を褒めるときには「アドラー心理学」がとても参考になります。
アドラー心理学では、他者との連帯や相互依存を重視する「共同体感覚」を大切にしています。
共同体感覚を忘れてしまい「上から目線で褒める上司」は、部下の成長を止めてしまうかもしれません。
「自分は偉いんだ」という意識で褒めてしまうと、部下は自分が上司よりも劣っていると感じ、自己成長へのモチベーションがダウンしてしまいます。
上から目線で褒められた部下は、「上司に気に入られたい」という意識が強くなり、上司が異動してしまった際に急に成長が止まるケースもあります。
部下を褒めるときには、次のような意識をもつと効果的です。
【アドラー心理学に基づく褒め方】
・人としては上司も部下も「平等」という意識を持つ。共に並走しているアドバイザーとして敬意を持つ。
・具体的に褒める。「よくやった」という一般的な言葉よりも、プロセスや努力した姿勢を褒める(数字だけではなく人間性を評価する)
・相手の立場になって褒める。部下が誉め言葉をどのように解釈するか常に考える。
褒めるタイミング|遅すぎると効果は半減
褒めるタイミングも重要です。遅すぎる褒め方は部下の成長を半減させてしまいます。
心理学においても「即時性の原則(Principle of Immediacy)」は重要です。
部下が良い行動をした直後に褒めると、その行動が再現される確率が高くなり、部下の成長は早まることが証明されています。
一方で褒めるタイミングが遅れてしまい「あ~そういえば先日の成約だけど…」と褒めても、まったく意味を成さない称賛になってしまうでしょう。
タイミングよく褒めるには、いつも部下とコミュニケーションをとっておく必要があります。
上司がKPIの進捗を毎日チェックするのはもちろん、定期的な1on1面談を設定し、部下から能動的にアピールできる機会を作っておく方法もおすすめです。
褒める方法|メールや面談など部下の特性によって使い分けることが大切
部下の特性をよく見ながら、褒め方も工夫しましょう。
全員の前で称賛されるとモチベーションがあがる部下もいれば、メールなどで個別に褒められるのを好む部下もいます。
控えめな部下を全員の前で褒めてしまうと「自分だけ特別視されるのは嫌」と逆効果になる場合もあります。
褒める際には、以下の方法を使い分けるようにしましょう。
・控えめな部下…メールや面談で褒める
・周りからの承認欲求が強い部下…朝礼やミーティング時に全員の前で褒める
・コミュニケーションが苦手な部下…飲み会などの和やかな場所で褒める
「褒めていることを第三者に伝える」方法もおすすめです。
Aさんを称賛したいときは直接Aさんを褒めるのではなく、他部署のBさんに「Aさんって〇〇が凄いよね」と称賛するのです。
人によっては直接褒められるのではなく、普段接していない他部署の人から称賛の声を聞くと、さらにモチベーションが上がることがよくあります。
そういった第三者を通じた評価の方が説得力や信頼感が強まる現象をウィンザー効果と呼日ます。
ウィンザー効果についてはこちらの記事で詳しく解説してるので、ご覧ください。
https://leaders.seattleconsulting.co.jp/relevance/windsor-effect/
4. 部下を褒めるまえに必要な4つのステップ
部下を褒める効果を最大限に引き出すためには、いくつかのステップが必要です。
目標設定もせずに、ただ漠然と部下を褒めても、部下は何を褒められているのかわからず何を頑張ればいいのか曖昧になってしまいます。
褒めるアクションを起こす前には、下記4つのステップを必ず踏むようにしましょう。
【部下を褒めるまえに必要な4つのステップ】
STEP1「適切な目標設定」
STEP2「進捗管理」
STEP3「フィードバック」
STEP4「人事評価とフォローアップ」
STEP1「適切な目標設定」
どのような業種や職種であれ明確な目標設定は、とても大事なポイントです。
営業や生産工程など、定量的に評価できる業務なら目標設定は簡単かもしれません。
しかし、管理や人事など定性的な業務を行う部署の場合、目標設定のやり方に迷うリーダーも多いでしょう。
定性的な業務がメインの職種であっても、目標設定時には、必ず「上司が評価できる項目」を設定することが大切です。
もっとも評価しづらいのは「〇〇を強化する」「〇〇に特化する」「〇〇を前年度より改善する」といった漠然とした目標です。
「強化する」や「特化する」などの表現だけでは、部下もどこまで頑張ればいいのかわからないですし評価の仕方も曖昧になってしまいます。
定量的な目標設定が難しい場合でも、明確な業務目標や改善数値などをできるだけ設定し、一定の評価基準を設けることが大切です。
また、目標設定をする場合は下記3つのポイントにも注意しましょう。
高すぎない現実的な目標
目標を高く持つのはよいことですが、実現可能な目標設定をしましょう。
公平性
まわりのメンバーとの公平性が担保された目標でないと部下のモチベーションは下がります。
柔軟性
一度立てた目標でも、予期しない事情で達成不可能になるケースがあります。
個人の力ではどうやっても達成できないような目標は、期中であっても柔軟に変更することも視野に入れておきましょう。
STEP2「進捗管理」
目標設定をしたら、適正な評価をするための「進捗管理」は徹底するようにしましょう。
定量的なKPIを設定し部下と進捗を共有できれば、納得感のある評価ができるようになります。
具体的には次のような進捗管理が理想です。
1.透明性を確保する…上司や部下はもちろん、まわりのメンバーも公平に確認できるように進捗を公開する
2.中間レビューの徹底…年間目標を設定したら四半期ごとにレビューし、改善が必要な場合は目標を微調整する
一方、過度に部下を管理し過ぎるマイクロマネジメントは、部下を育成する場面では逆効果です。
プロセスを評価することは大事ですが、プロセスを「細かく管理し過ぎる」のはやめましょう。
マイクロマネジメントについては別記事にて詳しく説明しているため、気になる方はぜひご覧ください。
また過度なプレッシャーも危険です。
「期待しているから」「将来の幹部候補だから」と厳しく接し続けると疲弊してしてしまいますし、心理的安全性もなくなります。
進捗管理は、部下のモチベーションを高めるためにも、非常に重要な要素です。
定性面、定量面ともに納得感ある評価ができるよう、進捗管理していくといいでしょう。
STEP3「フィードバック」
目標設定と進捗管理ができたら、フィードバックの方法についても工夫が必要です。
漠然と評価するのではなく、次の3つのポイントを網羅するといいでしょう。
具体的かつ明確なフィードバック
部下の具体的な成果を定量的に褒め、次に何を改善すべきかを具体的に指摘する
タイムリーなフィードバック
部下が成果を出した直後や、問題が発生した直後にフィードバックする
ポジティブな言葉遣い
「〇〇ができていない」ではなく「〇〇に伸びしろがある」など前向きな言葉を使うようにする
一方で、片方向のフィードバックや「答えありき」の面談は、部下のモチベーションを下げる原因にもなります。
フィードバック面談時には、まず部下の言い分を「聞き切る」ことが大切です。
少しでもあやふやな部分があったら、質問を重ね、部下の本意を確認するといいでしょう。
さらに効果的なフィードバックを行うためには、上司と部下との関係性(LMX品質)を向上させておくことも重要です。
LMX(Leader-Member Exchange)とは、
リーダー(上司)とメンバー(部下)の間の関係品質
を指す用語です。
普段のコミュニケーションが深く良好な関係を築けていると、信頼関係も生まれフィードバックも部下の心に届きます。
立命館大学山浦教授の論文「「部下に対する上司のポジティブ・フィードバックが機能しないとき」でも、次のような記述があります。
【論文「部下に対する上司のポジティブ・フィードバックが機能しないとき」より】
- 日本企業において上司のなかには「褒めることで部下の作業が緩慢になる」などの弊害を懸念し部下を十分に褒めていない者もいる
- 一方、ポジティブなフィードバックであっても、前向きな成果が得られないケースもある
- 上司と部下が、額面通りの課題をこなすだけの「疎遠な関係」だと、フィードバックによる成果は出ない
参考:論文「部下に対する上司のポジティブ・フィードバックが機能しないとき」
参考:立命館大学 山浦教授「関係性リーダーシップとチーム力向上に関する心理学的研究」
定期的な1Ion1I面談や業務外のコミュニケーション、そして共に業務に取り組む姿勢を見せて関係の質をあげていけば、フィードバックの効果も最大化します。
STEP4「人事評価とフォローアップ」
部下を褒めて伸ばす最後のステップは、適正な人事評価とフォローアップです。
単に褒めるだけではなく、プロセスや成果を評価したあとは、人事評価にも反映させる必要があります。
普段の業務の成果が人事評価に反映されていないと「単に褒められただけ」「上司に上手く利用されているのかも?」といった疑義が生じ、継続的な成長は望めません。
成果を出した部下は、昇給や昇格など平等に評価するようにしましょう。
また、評価をする際には「能力評価」などの定性面と、「業績評価」の定量面を分けて評価することも大切です。
数字面だけではなく、能力評価でプロセスを評価すれば、さらに部下のモチベーションもアップします。
5. 部下マネジメントでよくある悩み
部下を褒めることの重要性は理解していても、実際には多くの悩みがあるでしょう。
例えば「上昇志向のない部下をどうやって褒めるのか?」「リモート環境での効果的な褒め方を教えて欲しい」など、いまどきの社内事情を象徴する悩みがあるかもしれません。
上昇志向のない社員を褒めても効果が見られません
上昇志向のない社員を褒めても、成果を出すのは難しいでしょう。
組織のなかには一定数「指示されたことだけをやる」「上を目指すと仕事が増えるからほどほどにする」など、消極的な思考を持つ部下がいます。
上昇志向のない社員に対する褒め言葉が効果を発揮しない場合、その背後にはいくつかの要因が考えられます。
無駄に褒めるのではなく、部下の心の奥底に次のような問題がないか、よく確認するといいでしょう。
・ミスマッチした目標…個人の価値観や目標が組織目標と合致していない。一部のメンバーだけが評価されるなど不公平感があり努力する気持ちが失せている
・プライベートの問題を抱えている…仕事以外に家庭の問題などを抱えており、仕事が手につかない
・報酬に見合った業務内容…努力しても満足した報酬が得られないなど
上昇志向のない社員に対しては、一般的な褒め方やモチベーション向上策が効かない場合が多いです。
そのため、そのような社員に対しては、個別に合わせたアプローチが必要です。
年上の部下を褒めるのが苦手です
年上の部下を褒めることに抵抗を感じる場合、その原因は多くの場合「権威主義的な価値観」にあります。
権威主義的な価値観とは、「年上の人が偉い」という固定概念から起きる考え方です。
たしかに、人としては人生経験が長い年上の人のほうが経験値も高く、学ぶことも多いでしょう。
しかし、いざ「実務」となれば話は別です。人を敬うことと、仕事を指示することは違います。
年上の人に敬意を払いつつ、褒めるときは褒め、指摘するときは割り切って厳しく指示するようにしましょう。
年上の部下も自分自身が評価されることを望んでいます。
相互尊重を基盤としたコミュニケーションを心掛ければ、きっと上手くいくはずです。
テレワークをしている社員を褒める効果的な方法を教えてください
テレワーク環境ではコミュニケーションも取りづらいため、褒める機会も減少します。
リモート環境での効果的な褒め方としては、「デジタルコミュニケーションツール」を活用する方法がおすすめです。
例えば、オンライン会議の最後に成果を共有し、その場で褒める、または成果をSlackなどで公開して褒める方法などが考えられます。
オンラインミーティングはコミュニケーションが取りづらい部分もありますが、慣れてくると対面よりも本音が言えることもあるでしょう。
非対面での業務が中心の職場でも、メールや電話Web会議など、部下の特性に合った褒め方で称賛するようにしましょう。
テレワークでの効果的なコミュニケーションについてはこちらの記事でも詳しくご紹介していますので、気になる方はぜひご一読ください。
部下が褒められることに慣れてしまうのを避ける方法はありますか?
部下が褒められることに慣れてしまうと、効果が薄れてしまう可能性があります。
「褒め慣れ」を避けるためには、褒め方に変化性を持たせることが有効です。
具体的には、褒める内容やタイミング・方法を変えることで、部下は新鮮な気持ちで受け止めることができるようになります。
また、褒める頻度や質を変える工夫も大切です。
ときには予測不可能なタイミングで褒める方法も検討してみましょう。
褒めることでリーダー自身が得られるメリットを教えてください
リーダー自身が褒めることで得られるメリットとしては、「部下から信頼と尊敬が高まること」があげられます。
相互の信頼性が高まればまわりのメンバーにも良い効果が波及し、全体的なボトムアップも図れるでしょう。
また上司自身も部下が成長し成功を収めることで、大きな自己満足と達成感を感じることができます。
まとめ
部下を褒めることで得られる最大のメリットは「組織全体の生産性の向上」です。
褒められた部下がモチベーションを高め、組織のシナジー効果が出せるようになれば組織全体としても高い成果を出すことが可能になります。
部下を褒めるときには、適切な目標設定や進捗管理が重要です。
部下の特性を見極めつつ、タイミングよく褒めることができるように、常に部下とコミュニケーションを取っておくことも忘れないようにしましょう。
弊社のチームマネジメントツールについて
- チームメンバーの心身状態が見えていますか?
- 目標達成に向けたメンバーマネジメントができていますか?
こんな課題を解決したく弊社はチームマネジメントツール【StarTeam】を開発しました。
チームワークを見える化し、チームリーダーのマネジメント課題解決をサポートします!
Starteamは
- チームやメンバーの状態の可視化
- 状態に応じた改善アクションの提供
- 改善サイクルの自走化
ができるサービスとなっております。
目標達成に向けたメンバーマネジメントにより
- 離職率が約30%→約15%への改善
- 残業時間が約1/3への改善
につながった実績が出ている企業様もございます。
ぜひ以下のバナーをクリックし詳細をご覧ください。
執筆者:嶋よしかず